ギター自慢その2:弦の本数は6~10!? 多弦ギターで1人で通奏低音まで奏でられる!
アーティストが自分の楽器の魅力をとことん語る連載「My楽器偏愛リレー!」。各楽器につき、3つの自慢ポイントを紹介して、次の奏者にバトンを渡します。今回は、アコーディオンのcobaさんよりバトンを受け取った鈴木大介さんによるギター自慢です。
作曲家の武満徹から「今までに聴いたことがないようなギタリスト」と評されて以後、アンサンブルとコンチェルトを含む膨大なレパートリーでの、明晰な解釈力と洗練された技術など...
クラシック・ギターというだけでもこれだけある多弦ギターの歴史
リュートがルネサンス期に6コース(コースというのは同じ音の弦を複数張って同時に弾くセットのこと)から始まって、バロック時代には13コースまで音域を拡大していったことにも似ていますが、19世紀に6本単弦に落ち着いたギターにも、ことあるごとに番外弦を追加しようとする人が現れます。
パリで活躍したフェルディナンド・カルッリ(1770~1841)は、10弦ギターを開発。ロマン派時代の巨匠ナポレオン・コスト(1805~1883)やヨハン(最近ではヨゼフ説が有力)・カスパル・メルツ(1806~1856)も7弦や8弦ギターを使っていました。酒場などで演奏される音楽に使われるウィーンのシュランメルンというギターは、通常の6弦のほかに、もう1本別のネックに張られた低音弦を持っていました。ロック・ミュージシャンが使うダブル・ネック・ギターのはしりですね。
20世紀に入ると、『禁じられた遊び』の演奏で有名なナルシソ・イエペス(1927~1997)が、4本の共鳴弦を追加した10弦ギターを開発。ブラジル音楽のショーロやサンバの演奏では7弦ギターによる華やかな通奏低音のようなグルーヴが欠かせないものとなっています。
かく言う僕も、ただいま8弦ギターを発注中……。バロック音楽の通奏低音やピアノ作品からの編曲を弾くときに、「あ〜あとちょっと」というところでオクターブ高く変更するのがストレスで使おうと思っているのですが、弦が増えると、そこにはどんな世界が広がっているのでしょうか……!?
ギターの魅力を味わう作品
バッハ:サラバンドBWV 1002
僕もマスタークラスを受講したことがあるスウェーデンのマエストロ、イェラン・セルシェルさんの11弦ギターによる演奏。11弦ギターはもともとルネサンス・リュートの音楽をそのまま再現するために開発されたそうですが、セルシェルさんはその楽器による端正なバッハ演奏で有名です。
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