読みもの
2020.05.19
気まぐれ音楽カレンダー♪

109年前の今日、ラヴェルのオペラ《スペインの時》初演!

《スペインの時》初演時の5人の歌手を描いたポール・シャルル・デラロシュによるスケッチ。

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

1911年5月19日、ラヴェルの初のオペラ《スペインの時》がパリのオペラ・コミック座で初演されました。演出はアルベール・カレ、多くのフランス語オペラを初演したベルギー人指揮者フランソワ・リュルマンが指揮を務めました。

続きを読む

原作は1907年にオデオン座で上演されたフラン=ノアン作(1873-1934)の道化芝居で、オペラ用の台本もフラン=ノアン自身が担当しました。

《スペインの時》は、正確には「オペラ」ではなくコメディ・ミュジカル(音楽的喜劇)。時計屋の主人トルケマダと、その美しい妻コンセプシオン、学生のゴンサルヴェと、ロバひきのラミロ、銀行家ドン・イニーゴ・ゴメス。5人の登場人物が、スペインの時計屋の店先で起こすドタバタを、一幕で描いています。

《スペインの時》は内容的には喜歌劇ふうだが、常に生き生きとした、音楽化された会話によって運ばれている。しかしいつもおなじようなレチタティーヴォ調というのではなく、詩的なことばをうたったり、愛を告げたりするくだりは、アリア調の流麗な旋律となっているが、古典的なオペラのように、ここはアリア、ここはレチタティーヴォというふうに区別されることはなく、自然にうつりかわってゆく。

(中略)

登場人物わずか5人だけ、場面も時計屋の店先という、いかにも他愛もない場面を使って、こんなに溌剌とした面白い作品をつくりあげたのである。

『作曲家別名曲解説ライブラリー ラヴェル』(音楽之友社)135-136ページより

「道化師の朝の歌」でご紹介したように、ラヴェル自身スペイン(正確にはバスク人)の血をひいており、常にスペインへのシンパシーを感じていました。この作品もフラメンコ調の節回しや、フィナーレの盛大なハバネラのリズムなど、随所にスペインのエッセンスが溢れています。

初演の様子は……

マスネのオペラ《テレーズ  Thérèse》との2本立てだったが、《スペインの時》は大成功を博した。

『作曲家別名曲解説ライブラリー ラヴェル』(音楽之友社)136ページより

《スペインの時》と同時に、フランス初演されたジュール・マスネ作曲オペラ《テレーズ》(初演はモンテ・カルロで1907年2月)

『作曲家別名曲解説ライブラリー ラヴェル』(音楽之友社)
作品別に、基本的な情報から創作背景までまとめられている。さらに、豊富な譜例による楽曲解説で、理解を深めることができる。

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ