キャラクターの違う2人の若きピアニスト、三浦謙司と務川慧悟の競演! ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールのガラコンサート
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
昨年11月にパリで開催された、ロン・ティボー・クレスパン国際音楽コンクールのピアノ部門。第1位が三浦謙司さん、第2位が務川慧悟さんと、日本人が上位を独占したことで、東京でのガラコンサートが9月7日に開催されます(4月からの延期公演/ライブ配信& 見逃し配信あり)。共演は、広上淳一さん指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団。
上:同じく第2位の務川慧悟さん。©️浜松国際ピアノコンクール
私は、三浦さん、務川さんとも、浜松国際ピアノコンクールで初めて直接お会いしました。公式ライターとして現地取材をしていたので、連日たくさんの個性的なコンテスタントにインタビューするのですが、お二人はその中でも特に印象に残った存在です。
三浦さんは2015年浜コンのセミファイナリスト。大胆でのびのびとした演奏、なんだかちょっと独特の気配を漂わせるピアニストだったわけですが、子どもの頃から海外育ち、13歳からロンドン単身留学、さらに音楽を離れて別の仕事についた時期もあるという経歴を聞いて、それであの自由さなのかと妙に納得しました。
コンクール中も友達に囲まれ、他のコンテスタントの楽屋にもかけつけて冗談を言い合っている様子を見かけて、とてもオープンな方なのだろうと思ったものです。
三浦謙司さんの演奏(2015年の第9回浜松国際ピアノコンクールにて)
一方の務川さんは、続く2018年浜コンのファイナリスト。音楽にズドンと没頭していく雰囲気が印象的だったのと、普段会場周辺であまり見かけることがなかったことが記憶に残ります。というのも、コンクールの最後に聞いた話によると、ファイナル進出が決まるまで、「誰が何と言おうと孤独でいようと決めていた」というのです。
基本、練習以外はホテルの部屋にこもるか一人で散歩、練習室に行くにも人目を忍んでいた(!)というから、すごい徹底ぶり。それには、人の言葉を避けることで、自分だけの音楽をもう一度確認したいという考えがあったとか。
務川慧悟さんの演奏(2018年の第10回浜松国際ピアノコンクールにて)
こんなふうにかなりキャラクターの違うお二人ですが、だからこそ、それぞれに自分にないところを尊敬しあう同志となった模様。一方でお話を聞いていると、ピアノが大好きだという気持ち、いつも音楽に真摯でいたいという心意気は共通していると感じました。
ガラコンサートでは、それぞれコンクールの本選で演奏した協奏曲を披露。加えて、モーツァルトの2台ピアノのための協奏曲で初共演されるということで、とても楽しみです。
日時: 9月7日(月)19:00開演
会場: Bunkamuraオーチャードホール
出演:
三浦 謙司 (2019年度コンクールピアノ部門優勝)
務川 慧悟 (2019年度コンクールピアノ部門2位)
広上 淳一指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
曲目:
サン=サーンス:ピアノ協奏曲第5番 ヘ長調 Op.103「エジプト風」(ピアノ:務川慧悟)
ショパン:ピアノ協奏曲第2番 ヘ短調 Op.21(ピアノ:三浦謙司)
モーツァルト:2台のピアノのための協奏曲 変ホ長調 K.365(ピアノ:三浦謙司、務川慧悟)
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