読みもの
2023.02.26
新刊『音楽家のマリアージュな世界』から~企業経営者たちの音楽とのマリアージュ

ホッピービバレッジ株式会社・石渡美奈社長~人々をつなぐ音楽で真に幸せな社会を

音楽家がふだんステージで見せている顔とは違うオフショットを、マリアージュするお酒やお店とともに紹介する新刊『音楽家のマリアージュな世界~エネルギーの源泉をたどる』。この中から抜粋して、いま世間の注目を浴びる企業経営者たちの音楽とのマリアージュをお届けします。そこには熾烈な日々を支えるエネルギー源であり、未来への希望を託された音楽の姿がありました。

音楽の友 編集部
音楽の友 編集部 月刊誌

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

犬島ホッピーバーにて。福武總一郎(公益財団法人 福武財団名誉理事長/株式会社ベネッセホールディングス 名誉顧問)とZOOM対談する、左から石渡美奈(ホッピービバレッジ株式会社代表取締役社長)、伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)、下野竜也(指揮者、広島交響楽団音楽総監督)の各氏(写真=飯島 隆)

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Part.1 犬島ホッピーバーで(岡山・犬島)~音楽を通じた地域復権を

ホッピービバレッジ株式会社の石渡美奈社長が、パンデミックを機にいっそう関心を寄せているのは、地球環境問題である。

備讃瀬戸の島々を中心に3年に1度開催されている瀬戸内国際芸術祭は、(公財)福武財団の福武總一郎名誉理事長によると、直島(香川県)や犬島(岡山県)の公害問題、豊島(香川県)の産業廃棄物不法投棄問題や、かつてハンセン病患者を収容し、いまでも40数名が生活する大島(香川県)での人権問題などに対する憤りを「現代アートを通じて真に豊かな島を取り戻し、真に幸せな環境を創り出す」ことを目的に始められたという(直島メソッド)。

写真左:石渡美奈 (いしわたり みな)
1968年生まれ、東京都出身。立教大学を卒業後、日清製粉(現:日清製粉グループ本社)等を経て、ホッピービバレッジに入社。広報宣伝を経て、2003年取締役副社長、2010年に代表取締役社長に就任。早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了、経営学修士(MBA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(SDM修士課程)修了。ラジオ番組『看板娘ホッピーミーナのHOPPY HAPPY BAR』(ニッポン放送)でパーソナリティを務める。Super GT 300クラス HOPPYteam TSUCHIYA チームオーナー。著書に『社長が変われば会社は変わる!』(阪急コミュニケーションズ)などがある(写真=飯島隆)

その強い信念に「人生観が変わるほどの衝撃を受けた」石渡は、2019年に直島や豊島の向かいに浮かぶ犬島に「犬島ホッピーバー」を開設、みずから店主として店頭に立ち、芸術祭へも深くかかわるようになった。

2023年1月31日、福武名誉理事長や指揮者の下野竜也らと座談会の場が実現した。さらに下野とともに犬島に上陸したクライスカルテットによって、犬島の住民のかたがたに美しい音楽を聴いていただくこととなった。

〈協力〉犬島ホッピーバー 〒704-8153 岡山県岡山市東区犬島281-1/ TEL:03-3583-8255

クライスカルテット(松本さくらvn、河原冴子vn、田中 茜va、石原まりvc)による演奏風景。島民のみなさんは初めて聴く弦楽四重奏の響きに魅せられ、下野竜也の作品解説に耳を傾けた(写真=飯島 隆)

Part.2 ある赤坂のバーで(東京・赤坂)~ホッピーと音楽に酔いしれるハッピーアワー

黒ホッピーにジンを組み合わせた絶品のカクテルで乾杯! 左から石渡美奈(ホッピービバレッジ株式会社代表取締役社長)、武田良太(衆議院議員)、下野竜也(指揮者、広島交響楽団音楽総監督)、髙木凜々子(ヴァイオリニスト)、伊熊よし子(音楽ジャーナリスト)の各氏(写真=ヒダキトモコ)

岡山の犬島から東京に帰った下野竜也と伊熊よし子の2氏。石渡社長の招きで赤坂のとあるバーに足を運んだ。

3人で犬島の思い出を話しているところに、思いがけない人物がお店に入ってきた。元総務大臣の武田良太衆議院議員だ。クラシック音楽好きで知られる武田議員は、3人とともに音楽談義に加わる。

武田良太(たけだ りょうた)
1968年生まれ、福岡県出身。早稲田大学文学部英文学専修卒業。2007年に早稲田大学大学院公共経営研究科に入学し2009年に修了。2003年の第43回衆議院議員総選挙で初当選。これまで防衛大臣政務官、衆議院安全保障委員長、防衛副大臣、国家公安委員会委員長、行政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、国土強靭化担当大臣、内閣府特命担当大臣(防災)等を務め、2020年9月、菅義偉内閣において総務大臣に任命される。現在、自民党災害対策特別委員会委員長、志帥会事務総長を務める。(写真=ヒダキトモコ)
下野竜也 (しもの たつや)
1969年生まれ、鹿児島県出身。2000年東京国際音楽コンクール優勝、2001年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝。国内の主要オーケストラに定期的に招かれる一方、海外においても次々と客演を重ねている。これまで読売日本交響楽団の初代正指揮者、同響首席客演指揮者、京都市交響楽団常任客演指揮者、同響常任首席客演指揮者等を務める。2011年から広島ウインドオーケストラ音楽監督を務め、2017年4月に広島交響楽団音楽総監督に就任。2002年出光音楽賞、2014年度第44回東燃ゼネラル音楽賞奨励賞等、受賞歴多数(写真=ヒダキトモコ)

そこにもう一人、下野と共演したこともあるヴァイオリニストの髙木凜々子が来店。武田議員、下野、髙木、石渡社長、伊熊の5氏でまずはホッピーのカクテルで乾杯。黒ホッピーにジンを組み合わせた絶品のカクテルなどが用意された。

話が盛り上がってきて、クラシック音楽好きの武田議員から髙木に演奏のリクエストが。髙木は持参したストラディヴァリウス「Lord Borwick」で、武田議員が好きだというチャイコフスキーの作品から《メロディ》を演奏。奏でられる美しい音楽にも酔ったその場にいた面々は髙木にいろいろとリクエスト、髙木はドヴォルジャーク《ユモレスク》、モンティ《チャルダッシュ》などを続けて演奏。赤坂の夜は演奏とお酒に酔いしれ更けていく。

〈協力〉ホッピービバレッジ株式会社 〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目15番12号/TEL:03-3583-8255(代表)

髙木凜々子(たかぎ りりこ)
1996年生まれ、東京都出身。東京藝術大学音楽学部卒業。幼少時からさまざまな国内外のコンクールで優勝、入賞する。2018年、第1回バルトーク国際ヴァイオリンコンクール第2位、併せて特別賞受賞で注目を浴びた。これまでハンガリー国立交響楽団、読売日本交響楽団、広島交響楽団等、内外の主要オーケストラと共演。リサイタルも多数行なう。2023年4月からパシフィックフィルハーモニア東京のソロコンサートマスターに就任。使用楽器は黒澤楽器店より貸与のストラディヴァリウス「Lord Borwick」(1702年)(写真=ヒダキトモコ)
ONTOMO MOOK『音楽家のマリアージュな世界』

ONTOMO MOOK

音楽家のマリアージュな世界~エネルギーの源泉をたどる

伊熊よし子監修、『音楽の友』/Webマガジン「ONTOMO」編

 

音楽家は演奏会などが終わったあと、お酒や食事を楽しみながら、その緊張をほぐす人が多い。お酒にも詳しく、グルメも多い彼ら・彼女らのいわばオフショットを紹介し、その音楽性はもちろん、ふだんステージや現場で見せている顔とは違う一面を、マリアージュするお酒やお店とともに紹介。それらを通して音楽家の魅力あふれる人間性、彼らの音楽活動に取り組むエネルギーの源を伝える。

また、「食」以外では、「オーディオ」や「美容」、「楽器」など、さまざまな観点からアーティストのエネルギーの源泉となるものを取材。読者がそれぞれの源泉を感じ、至福なひとときを過ごしていただけるような1冊。

音楽の友 編集部
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1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

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