松井咲子の 毎日がespressivo! #3 いつも未来の種を植えておく
元AKB48のメンバーで、当時は珍しかった現役音大生のアイドルとして注目された松井咲子さん。得意のピアノを生かして活動の幅を広げてきた彼女が、ずっと一緒だったピアノを通して見えてくる表情豊かな(espressivo)世界、音楽が与えてくれる❛気づき❜について、語っていきます。
ピアノ教育とジャズ・フュージョンを軸に執筆。ピアノ教本研究家として全国で講演を行なう。著作に「ひとりですいすいひける!はじめてのピアチャレ」1〜3、「練習しない子のた...
埋もれそうになったら人と違うことをやってみる
AKBでは総選挙があったり、ダンスの立ち位置を決められたり、順番をつけられることがたくさんありました。日本でいちばん小さい市の埼玉県蕨市出身なのですが、小学生の頃は思っていたんです。自分は蕨でいちばん可愛いくて、ピアノも埼玉では上手い方だと。
でも、東京音大の付属高校に進んだら、すごくかわいい子がたくさんいて度肝を抜かれ、ピアノも全国の上手い人が集まってくるので、上には行けないと気づきました。ピアノの試験も点数が出ますし、高校はピアノ演奏家コースにも出願しましたが、そちらは難しくて、ピアノ科で入学。現実を突きつけられました。
AKBでは、王道アイドルはそこにいるだけで華があるから、おしゃべりをする必要もないんです。でも、私は前田あっちゃん(前田敦子)や、まゆゆ(渡辺麻友)にはなれない。
「中途半端なことをやっても埋もれるだけ。人がやらないことをやろう」と考えて、まずはMCを頑張ることにしました。ラジオが好きだったので、ラジオにたくさん出演できるようになるのを目標にしていたら、だんだんMCでの仕事の依頼が来るようになり、オールナイトニッポンを急遽任されたこともありました。
ピアノで自分の居場所が見つかった
最初の頃はAKBでピアノを弾く機会もなかったけれど、野外ステージでカラオケ大会があったとき、ピアノを弾きたいと自分から手を挙げて、電子ピアノを用意してもらって弾くチャンスをいただきました。それを秋元先生が見てくださっていて、ピアノでのソロ・アルバムデビューにもつながった気がします。
ただ、最初はピアノを弾くアイドルは少なかったのが、だんだんと増えてくるようになりました。火花が散るライバル同士とか、そういう感じではなかったけれど、私だけがピアノを弾いていたのが、「今日は別の子に弾かせよう」ということもあったりして、「あっ、また何か探さなきゃ」と思いました。そこは今でも課題です。
いつも何かの種を植えておかなければならない。いつも少しずつ準備しておかなければ、と思っています。
関連する記事
-
ピアニスト4人に超絶技巧について質問! 一番難しかった曲は? 練習の秘訣は?
-
フジコ・ヘミングは「ときめく」ピアニスト! 傍らで感じた魅力、変化、死生観...
-
コロナ禍に挑戦した3つの習い事。遠い世界を経験して得たもの
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly