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2025.03.10
名曲解説100

30秒でわかるベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番《月光》

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番《月光》について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770〜1827)は、18世紀の古典派のスタイルから出発しましたが、革新家だった彼はそうした古典派の枠を超えた新しいスタイルを求めて、さまざまな試みを行なっていきます。

この《月光》ソナタも、通常のソナタとは違って冒頭楽章が速いソナタ形式楽章ではないといった、型破りのスタイルがとられており、また曲想の点でものちのロマン派を予告するような幻想的な性格を示しています。

ただ《月光》という名称は、第1楽章の暗い幻想味に満ちた性格ゆえに他人がつけたもので、ベートーヴェンがこの曲で月光を表現しようとしたわけではありません。ベートーヴェンはこのソナタを、ジュリエッタ・グィッチャルディという女性に捧げました。彼はこのジュリエッタとの結婚を夢見ていたといわれ、このソナタの持つロマンティックな面や激情的な面はそうしたことに関係しているのかもしれません。

曲は、3連音の分散和音、動きの少ない旋律線、弱音とデリケートな響きによって暗い幻想的雰囲気を生み出す静かでゆっくりとした第1楽章に始まり、軽妙な第2楽章を挟んで、激情的ともいえるダイナミックな第3楽章で閉じられます。

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「幻想曲風ソナタ」嬰ハ短調 作品27-2

作曲年: 1801年

演奏時間: 約15分

編成: ピアノ

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1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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