プレイリスト
2020.05.27
おやすみベートーヴェン 第164夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調《月光》」——ベートーヴェンが恋心を抱いた少女に献呈

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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ベートーヴェンが恋心を抱いた少女に献呈「ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調《月光》」

1800年にはブルンスヴィク姉妹とは従姉妹にあたるユリア(愛称ジュリエッタ)・グイッチャルディ(1784〜1856)が弟子入りする。

(中略)

ベートーヴェンは一時期彼女に恋愛感情を抱いたことがあった。1801年11月16日付でヴェーゲラーに宛てた長い手紙(BB70)で持病の内臓と難聴の悩みを述べたあとに、「ひとりの愛すべき、夢のように魅惑的な少女が状況を一変させてくれたのだ、彼女は私を愛し、私も彼女を愛している。この2年間には幸せなことも時にはあったのだ。結婚が私に幸福をもたらしてくれるかもしれないと、初めて感じている」と述べている。

この少女が当時17歳のジュリエッタ・グイッチャルディである。もちろんベートーヴェンは身分の違いとはっきりと自覚しており、この結婚が実現するとは考えていなかったが、ジュリエッタにレッスンすることは、身体的な苦痛を抱えていたベートーヴェンの心をいくぶんか癒したのも確かだ。1802年3月に出版する「嬰ハ短調」ソナタ《2つの幻想曲風ソナタ》作品27の第2曲、《月光ソナタ》を献呈したのがこのジュリエッタであった。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)56-57ページより

《月光ソナタ》として親しまれてきたこの作品。聴いたことがある方も多いのではないでしょうか。この《月光》というニックネームは、ベートーヴェンが付けたものではありません。ベートーヴェンの死後1832年に詩人のルートヴィヒ・レルシュタープが、このソナタに寄せたコメントから広まったものだそうです。

この曲は、ベートーヴェンが恋心を抱いた少女ジュリエッタに献呈されました。静かな第1楽章から、激しさを増す第3楽章まで、大切な人を想いながら聴いてみてはいかがでしょうか。

《月光ソナタ》を献じられた、ユリア(愛称ジュリエッタ)・グイッチャルディ(1784〜1856)。
画像はベートーヴェンの持ち物から発見された、グイチャルディの可能性があるとされる細密画。
《月光》の相性の名付け親であるドイツの詩人、音楽評論家ルートヴィヒ・レルシュタープ(1799-1860)。
作品紹介

「ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調《月光》」Op.27-2

作曲年代:1801年(ベートーヴェン30〜31歳頃)

出版:1802年3月カッピ社

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

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