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2025.11.25
名曲解説100

30秒でわかるシューマン:謝肉祭

シューマン:謝肉祭について30秒で丸わかり♪

寺西基之
寺西基之

1956年生まれ、上智大学文学部を卒業後、成城大学大学院で西洋音楽史を専攻し、修士課程を修了。大学院在学中より音楽評論活動を始め、CDライナー、演奏会プログラム、音楽...

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ロベルト・シューマン(1810~56)の初期の傑作であるこのピアノ曲は、空想の仮面舞踏会に登場する人々や様々な情景を描いた小品をひとつの流れのうちに連ねた大作です。“4つの音符による小景”という副題のとおり、A、Es(またはAs)、C、Hの4音を音型化した3つの音列を全体の基本動機とし(これらは、かつての恋人エルネスティーネの故郷アッシュAschおよび自分の名Schumannにある4つの文字からとられています)、楽譜では第8曲の後に“スフィンクス”という題で、これら3種の音列が記されています。

曲は雄弁な前口上に始まり、それに続いて、道化たちやさまざまな人物(シューマンの2人の分身オイゼビウスとフロレスタン、エストレラ[エルネスティーネ]、キアリーナ[将来の妻クララ]、ショパン、パガニーニ等)が登場、舞踏会のさまざまな情景を挟みつつ多彩な展開を示し、全曲を総括する終曲「ペリシテ人と戦うダヴィット同盟の行進」に至ります。

ペリシテ人とは俗物知識人、ダヴィット同盟はロマン主義の理想を追求する架空の団体の名称で、シューマンはこの終曲でダヴィット同盟の勝利を表現することで、ロマン主義者としての自身の信条を表明したと思われます。

シューマン:謝肉祭

作曲年:1834~35年

演奏時間:約25~35分(演奏によってばらつきがある)

編成:ピアノ

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