ミマスの歌づくりの旅 第3回 「パパ、大きくなったら何になりたい?」ときかれたら
音楽教師の応援マガジン『教育音楽』の人気連載をONTOMOで特別公開! 合唱曲《COSMOS》の作曲者として広く知られるシンガーソングライターのミマスさんが、「歌づくりの旅」というテーマで、歌をつくる際のモチーフとなっている旅や自然、星空や宇宙について語ります。
僕には7歳の息子と5歳の娘がおり、子育ての真っ最中。子どもというのは、時に思いもよらぬことを口にして大人をほっこりさせてくれますよね。
夢は子どもの専売特許じゃない
地理好きの息子が幼稚園児の頃の話です。おばあちゃんに「夏休みになったらどこのプールに行きたい?」と尋ねられ、「クアラルンプール」と答えたそうです。
また、元素も好きなので、ある日「パパ、『燃焼』とはある元素が酸素と結合して別の分子に変わることなんだよ」と言ってきたことがあります。そこで「じゃあ、炭素の塊である炭を燃やしたら何ができるでしょうか」と出題してみました。
「二酸化炭素」という答えを期待していたのですが、息子は「バーベキュー」と答えたのです。なるほどなあ、炭を燃やしたら確かにバーベキューができるよなあ……と感心し、「正解!」と言っておきました(笑)。
娘は幼稚園からの帰り道に、「パパ、大きくなったら何になりたい?」と言ってきたことがあります。一瞬戸惑いましたが、それでも「そうだな……冒険家になりたいな。世界中を旅して宝物を見つけに行くんだ」と答えました。
ほんの軽い気持ちで「お父さんの夢、叶いますかね」と言ったところ、「もっと大きくなったら叶うよ!」と言ったのです。僕はハッとさせられました。「そうだなあ。人間は常に夢に向かって進まなきゃいけないな」。娘に答えたその言葉は、もしかしたら自分に言い聞かせたものだったのかもしれません。
ほうきで空を飛ぶ夢がかなうとき
娘の5歳の誕生日には「今年の目標は?」と尋ねました。すると「あたしは魔法使いになりたいから、毎日ほうきで空を飛ぶ練習をしている」との答え。こんなとき、皆さんなら何と返すのでしょう。僕はこう言いました。「そうか、それは、できると思うよ」。
例えば今では、ドローンが手頃な値段で買えます。それがそのうち、人一人乗せて飛ぶようになったとしたら? そして、その乗り物が好きな形にカスタマイズできるようになって、その中にほうきの形があったとしたら?
僕は娘にこう続けました。「もしお前さんが大人になったときに、そんなものがなかったとしても、君がそれをつくるという選択肢だってある。その可能性を否定できる人間など、一人もいないんだぞ」。
僕が日頃やっている「歌をつくる」ということも、それまでこの世になかったものを歴史上初めて生み出すということです。そしてそれは、どんな子どもにも、大人にもできることだと思います。
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