読みもの
2023.06.27

弁護士・阿友子の ミュンヘンからの音楽便り#1 鳥のさえずりも音楽

「丁寧でわかりやすい!」と大好評のONTOMO連載「インターネットと音楽についての法律相談室」でおなじみの弁護士の橋本阿友子さん。弁護士業の傍らピアニストとしても活動されています。
実は今年の1月から客員研究員として、“音楽の国”ドイツのミュンヘンに滞在中。オフの日には、パリのエコール・ノルマル音楽院に在籍し、日々ピアノにおいても研鑽を積んでいるとのこと。
そんな橋本さんが、ミュンヘンでの研究生活や、社会人として音楽を学ぶ意義を考えながら、徒然なるままに思いの丈を綴った連載がスタートします!

文・写真
橋本阿友子
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橋本阿友子 弁護士・骨董通り法律事務所

京都大学法学部卒業、京都大学法科大学院修了。ベーカー&マッケンジー法律事務所を経て、2017年3月より骨董通り法律事務所に加入。東京藝術大学利益相反アドバイザー、神戸...

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毎朝、鳥のさえずりで目が覚める――絵本の中に迷いこんだような生活が始まりはや5か月。例年より長く寒い冬が続いたミュンヘンも、ようやく1年でもっとも美しい季節を迎えました。

私は今、ドイツが世界に誇るマックスプランク協会が擁する研究機関のひとつ、マックスプランク知的財産研究所の客員研究員として、ミュンヘンに滞在しています。専門は音楽著作権で、最終目標は法律家の立場から日本の音楽文化を守り、育てること。

そのため、自らも音楽の素養を身につけるために、エコール・ノルマル音楽院に在籍し、週末だけレッスンに通っています。つまり、ミュンヘンでの生活は、語学、研究、仕事、ピアノの練習の4本立て。これに家事が加わるので、毎日があっという間に過ぎていきます。

駅から研究所へ続く道は、ミュンヘンが誇るバイエルン放送交響楽団の拠点であるヘラクレスザールの前を通ります
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そんな慌ただしい生活の中で、東京での生活との違いで気づいたことは、何気ない日常において絶えず鳥のさえずりが聞こえること。寝室が面している中庭ではリスがかけめぐる中、鳥が四六時中鳴いていますし、午前中だけ通っている語学学校では、鳥の歌に聴き入っている間にヒアリングが終わって会話についていけなかった……なんてことも。

寝室から臨む中庭。季節が良いので、バルコニーでディナーをとる家庭もちらほら

こちらに来て知ったことですが、ドイツは100年以上にわたる鳥類保護の歴史を持つ国で、バードウォッチングも盛んなようです。私の研究対象はもちろん鳥ではないのですが(笑)、ここへ来て、鳥の声に興味を持ち始めました。鳥の種類によって音色や歌が違い、それぞれが魅力的です。

オリヴィエ・メシアン(1908~1992)は、550種類にわたる鳥の声を聴き分け、鳥をモチーフとした曲を多数書いた作曲家として有名です。私は彼の代表作《鳥のカタログ》を聴いて、「本当に鳥がこんな声を出すのか?」と疑問をもったひとりで、曲自体もいまいちピンときていませんでした。

ですが、ドイツ・アルプスの麓で毎日鳥の声を聴くうちに、鳥の歌を採譜するという、メシアンの一見奇抜すぎる発想を、何となく理解できてきたような(?)気がしています。機会があれば、この異才を育てたフランス・アルプスを訪れて、彼の軌跡を辿ってみたいと思います。

スイスのサンモリッツから見たアルプス。メシアンが日常の風景としていたアルプスも、このような雄々しい姿だったのでしょうか

連載第1回ということで、今回はミュンヘンに来てからもっとも気になったことのひとつをご紹介しました。次回は、そんなメシアンが教鞭を執っていた、パリはエコール・ノルマル音楽院にまつわる、筆者のちょっと恥ずかしい体験談をご紹介します。お楽しみに!(?)

文・写真
橋本阿友子
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橋本阿友子 弁護士・骨董通り法律事務所

京都大学法学部卒業、京都大学法科大学院修了。ベーカー&マッケンジー法律事務所を経て、2017年3月より骨董通り法律事務所に加入。東京藝術大学利益相反アドバイザー、神戸...

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