読みもの
2025.03.27

今週の音楽家の名言【ヴァイオリニスト・郷古 廉】

Webマガジン「ONTOMO」でインタビューをした音楽家の記事から、心に響く名言をお届けします。今週はヴァイオリニスト・郷古 廉さんの名言をどうぞ。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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もちろん音楽自体も素晴らしいけれど、それを演奏しているオーケストラというひとつの生き物のようなものは、理想郷とまではいわないけれど、人類がこんなふうに互いを認め合えたら、と思わせられる。

――「ONTOMO」2024.06.23 インタビューより
郷古 廉に50の質問!〈前編〉舞台に上がる時の気持ちは?これまでで最大の試練は?

ヴァイオリニスト・郷古廉さんのこの言葉には、音楽を奏でるという行為が、単なる演奏を超えた“人間の理想のあり方”にまでつながっているという深い視点が込められています。

多様な楽器、多様な奏者が、ひとつの音楽を目指して呼吸を合わせるオーケストラ。その姿は、まるで一個の生命体のように有機的で、調和に満ちています。そこでは、誰か一人が突出するのではなく、誰かが我慢するのでもなく、全員が互いの存在を尊重し、役割を果たしながら、共に“よりよい全体”を創ろうとしているのです。

郷古さんは、それを「理想郷とまではいわないけれど」としながらも、人類がこのように互いを認め合う関係を築けたら――と願います。オーケストラの舞台で日々それを体感しているからこそ語れる、実感のこもった言葉です。

音楽は、ただ聴く者を楽しませるだけでなく、奏でる人々にとってもまた、生き方や社会のヒントを与えてくれるものなのかもしれません。

 

郷古 廉(ごうこ・すなお)

 2013年8月ティボール・ヴァルガ シオン国際ヴァイオリン・コンクール優勝ならびに聴衆賞・現代曲賞を受賞。現在、国内外で最も注目されている若手ヴァイオリニストのひとりである。
 1993年生まれ。宮城県多賀城市出身。2006年第11回ユーディ・メニューイン青少年国際ヴァイオリンコンクールジュニア部門第1位(史上最年少優勝)。2007年12月のデビュー以来、読売日響、大阪フィル、名古屋フィル、仙台フィル等を含む各地のオーケストラと共演。共演指揮者にはゲルハルト・ボッセ、フランソワ=グザヴィエ・ロト、秋山和慶、井上道義、下野竜也、山田和樹、川瀬賢太郎各氏などがいる。《サイトウ・キネン・フェスティバル松本》、《東京・春・音楽祭》、《ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン》にも招かれている。また2017年より3年かけてベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲を演奏するシリーズにも取り組んだ。
 これまでに勅使河原真実、ゲルハルト・ボッセ、辰巳明子、パヴェル・ヴェルニコフの各氏に師事。国内外の音楽祭でジャン・ジャック・カントロフ、アナ・チュマチェンコの各氏のマスタークラスを受ける。
 2014年にEXTONレーベルより無伴奏作品によるデビューCDをリリースし、2015年にはnascorレーベルよりブラームスのヴァイオリン・ソナタ集を、2020年1月にはEXTONレーベル第4弾となる「ベルギー・アルバム」をリリースした。
 使用楽器は1682年製アントニオ・ストラディヴァリ(Banat)。個人の所有者の厚意により貸与される。2019年第29回出光音楽賞受賞。
 NHK交響楽団ゲスト・アシスタント・コンサートマスターを経て、2024年4月よりNHK交響楽団第1コンサートマスターに就任。

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