読みもの
2025.04.17

今週の音楽家の名言【指揮者・佐渡裕】

Webマガジン「ONTOMO」でインタビューをした音楽家の記事から、心に響く名言をお届けします。今週は指揮者・佐渡裕さんの名言をどうぞ。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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僕は『オーケストラは心のビタミン』だと思っていて、それが自然に地域全体に共有されていってほしいのです。そのためには僕も楽員も街へ出かけて、地域の方々と触れ合いたい。

――「ONTOMO」2023.12.18 インタビューより
新日本フィル音楽監督・佐渡裕 オーケストラ音楽の王道を届け人々に「心のビタミン」を

「オーケストラは心のビタミン」。

この言葉には、音楽の本質に対する佐渡裕さんの深い信頼が込められています。

音楽は心を癒すこともあれば、時に励まし、時に寄り添い、私たちの内側に静かに働きかけてくれます。まるで日々の暮らしの中で、不足しがちな栄養を補ってくれる“ビタミン”のようです。

でも、そのビタミンが本当に必要とされている場所は、コンサートホールの中だけではありません。だからこそ佐渡さんは、「街へ出かける」ことを大切にしています。楽員とともに地域に出向き、人とふれあいながら音楽を届ける。その姿勢に、指揮者という立場を超えた“ひとりの音楽家”としてのまっすぐな思いが感じられます。

音楽は、聴く人の近くにあってこそ意味を持つ。

演奏される音だけでなく、それを届けようとする行動そのものが、地域を元気にする力になるのだと思います。

コンサートホールを飛び出し、街に息づく“ビタミン”としての音楽。そんな風景が、少しずつでも広がっていけばいい。

この言葉には、そんな未来への願いが込められているのかもしれません。

佐渡裕(さど・ゆたか)

京都市立芸術大学卒業。故レナード・バーンスタイン、小澤征爾らに師事。1989年ブザンソン指揮者コンクール優勝。1995年第1回レナード・バーンスタイン・エルサレム国際指揮者コンクール優勝。これまでパリ管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ケルンWDR交響楽団、バイエルン国立歌劇場管弦楽団、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団等、欧州の一流オーケストラに多数客演を重ねている。2015年9月より、オーストリアを代表し110年以上の歴史を持つトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督に就任し、欧州の拠点をウィーンに置いて活動している。
国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者を務める。CD録音は多数あり、最新盤はトーンキュンストラー管弦楽団を指揮した21枚目のCD「マーラー:交響曲第7番」を2024年10月にリリース。著書に「僕はいかにして指揮者になったのか」(新潮文庫)、「棒を振る人生~指揮者は時間を彫刻する~」(PHP文庫/新書)など。出光音楽賞(1991年)、モンブラン国際文化賞(2003年)、渡邉暁雄音楽基金音楽賞(2003年)、岩谷時子賞(2014年)、文部科学大臣表彰(2024年)などの受賞歴がある。
2023年4月より新日本フィルハーモニー交響楽団第5代音楽監督に就任。
http://yutaka-sado.meetsfan.jp

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