オペ活!~幸せな「初オペラ」のための3つのアプローチ
音楽・演劇・美術などさまざまなアートが結集して造り上げられる総合芸術「オペラ」は、やはりクラシック音楽界の花形。でも、ちょっと敷居が高そう......何からはじめたら良いの? という方に、オペラを愛してやまない音楽ライター/オペラ・キュレーターの井内美香さんから3つの提案。自分にあった鑑賞法で「オペ活」はじめてみませんか?
学習院大学哲学科卒業、同大学院人文科学研究科博士前期課程修了。ミラノ国立大学で音楽学を学ぶ。ミラノ在住のフリーランスとして20年以上の間、オペラに関する執筆、通訳、来...
オペラが大好きな音楽ライターの井内美香です。日々、オペラを楽しむ活動(=オペ活)に励んでいます。今日は「オペラを観てみたい」という方に向けていくつかの楽しみ方をご紹介します。
「オペラを観てみたいけれど難しいですよね?」「オペラはちゃんと勉強してから観ないとだめですよね?」
いえいえ、そんなことはありません。オペラは映画と同じく、初めて観るときでもほとんど予習の必要がないのです。オペラが好きになり、「このオペラの背景について知りたい!」となった時に、色々なことを調べればもっと楽しくなる、というだけの話です。
まずは一度オペラに触れてみませんか?
テクノロジーを駆使してオペ活してみる
映画館で楽しむ
地元ではあまりオペラ公演がないという方、あるいはオペラを好きかどうか分からないうちから大金は払えない、という方は映像でのオペラ鑑賞がおすすめです。
まずは映画館。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)や、ロンドンの英国ロイヤル・オペラ・ハウスなどは、毎年ライブビューイングを設けており、日本の映画館でも字幕付きで観ることができます。どちらも世界的なトップ歌手たちが出演し、聴きごたえたっぷりです。
ニューヨークのメトロポリタン歌劇場の舞台公演を世界中の映画館に生中継する『Metropolitan Opera Live in HD』。日本では時差を考慮して、数週間遅れの録画で上映される。
ロンドンのコヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウスで上演されたロイヤル・バレエ団、ロイヤル・オペラによる上演を、映画館で鑑賞できる。
インターネットで楽しむ
テレビやインターネットでの鑑賞は家で観られるのが何よりです。何度も繰り返し観られるのもいいですね。最近のオペラは伝統的な舞台から前衛的な演出まで多種多様。すぐに好きな作品に巡り合わなくても、何本か観てみることをおすすめします。
インターネット配信では自宅で世界の一流歌劇場の舞台をチェックすることも可能です。OTTAVAが配信しているウィーン国立歌劇場の公演はオンデマンドで有料ですが、日本語字幕がついていますし、一演目ずつ選んで購入できます。まるで自分も劇場で鑑賞しているような臨場感が素敵です!
ウィーン国立歌劇場デジタル部門とパートナーシップ契約を締結したインターネットラジオの「OTTAVA」が、上演をオンデマンド配信するサービス。チケットを購入し、ライブ配信後72時間まで試聴可能。
日本のオペラ劇場・オペラ団体公演に出かけてみる
新国立劇場
22年前に東京にオープンした新国立劇場は、日本で唯一、年間を通してのオペラ・シーズンを持っている劇場です。
ヨーロッパの歌劇場は、9月から始まり6月頃に終わる年間プログラムを1シーズンとしている(夏は夏季休業=バカンスのため上演がない)。新国立劇場のシーズンもこれにならっている。
主役級は外国人の歌手が中心で、世界の名作オペラをバランスよく選んで上演しています。約1800席の劇場(オペラ・パレス)の素晴らしい音響も魅力です。若いお客さんの来場を増やすためにチケットのさまざまな割引制度があります。
東京都渋谷区にある1,802席のオペラ劇場。1シーズン約10演目を上演。シーズン通し券や、25歳以下・39歳以下にそれぞれ割引の制度がある。
東京二期会、日本オペラ振興会、市民オペラ
日本には歌手たちが所属するオペラ団体がいくつもあり、それぞれ活発に活動しています。東京でもっとも有名なのが東京二期会と、藤原歌劇団と日本オペラ協会を擁する日本オペラ振興会。年に何本もオペラを上演しています。
その他にもアーティストたちが自主的に集まって作る公演、長年続いている市民オペラ団体の公演などもあります。演目よりも出演者で選びたい方は、自分の〈推し〉歌手を決めて、その人の舞台を次々に観ていけば自然にオペラにも詳しくなりますよ!
1952年に結成された声楽家が中心となって発足した団体。東京文化会館、Bunkamuraオーチャードホールなど都内を中心に、1シーズン5~6作品を上演。
1シーズン5演目を上演する藤原歌劇団と、邦人オペラを上演する日本オペラ協会を擁する団体。愛知県芸術劇場大ホール、兵庫県立芸術文化センターなど地方公演も活発。
東京芸術劇場や滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールなど、劇場が主体となってオペラを制作・上演することも。
海外のオペラ来日公演にチャレンジしてみる
世界の一流オペラ・ハウスの中には、何年かに一度、日本への引越し公演をおこなうカンパニーもあります。
オペラ歌手、オーケストラ、合唱団が来日し、舞台美術や衣裳もすべて海外から運んできて現地と同じ演目を上演します。
何百人も来日して公演を行なうのでチケットはかなり高額ですが、忘れられないオペラとの出会いとなるかもしれません。お客さんも華やかな方が多いので、お洒落を楽しむ場としてもおすすめです。
いかがでしたか?
どんなライフスタイルの人でもオペラを楽しむことは可能です。自分に合ったやりかたで「オペ活」、初めてみてくださいね!
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