ミステリアスな愛の悲劇『オペラ座の怪人』
暦の上では夏は終わったというのに、まだまだ夏陽気。夏と言えばホラー。だからといって、ホラーが苦手な人もたくさんおりましょう。そんなあなたには「こわくない、ほらこわくない(ナウシカ風)」な『オペラ座の怪人』をおすすめしちゃいます。
音楽誌、女性誌、情報誌などの編集部を経てフリーに。『sweet』『otona MUSE』で編集・執筆のほか、『SPA!』『oz magazine』など連載多数。日本テ...
3バージョンの『オペラ座の怪人』
『オペラ座の怪人』といえば、日本はもちろん世界で大ヒットしたミュージカル。広く知られているのは、アンドリュー・ロイド・ウェバー版(以下ALW版)ですよね。日本では劇団四季で上演されたバージョン&ジェラルド・バトラー主演の映画がそれです。
でも、じつは『オペラ座の怪人』には3バージョンありまして。一つがそのALW版、一つがアーサー・コピット脚本による『ファントム』、そしてもう一つが今回紹介するケン・ヒル版です。映像化はじつは1916年から数えて9回も映画化されているうえに、各国でドラマにもなっているので、今回は舞台版にフォーカスね。
共通・相違点は単純です。共通しているのは、ガストン・ルルーによる名作の原作小説のとおりに、パリ・オペラ座に潜む仮面の怪人が、若く美しいオペラ歌手クリスティーヌに恋をするという純愛ストーリー。怪人は醜い顔を隠すために仮面をつけていること、天使の声を持つこと、などなど。
では、違うこと。ALW版は天才ミュージカル作家のアンドリュー・ロイド・ウェバーによる壮大なオリジナルスコア、『ファントム』は原作から拡大解釈した展開とモーリー・イェストンによる楽曲(コピットとともに『ナイン』などで知られる名作家)、ケン・ヒル版はビゼーやドヴォルザーグなど既存の名曲を使っていること。
ちなみに日本ではALW版は劇団四季、『ファントム』は宝塚歌劇団が上演しています。
やっぱりケン・ヒル版は見逃せない!?
そうなんですよ、ケン・ヒル版って、ONTOMO読者の方々に一番身近(!?)な、クラシックの名曲アルバムなんすわ!
しかもミュージカル化したのは、ケン・ヒル版が史上初で76年が初演。歴史もオリジナリティも、じつはALW版よりも上だったりします。なんつってもいいのが音楽ね。ケン・ヒル書き下ろしの歌詞をのせた、名曲のアリアをふんだんに使っている贅沢さ。これにハマる人は日本でも数多く、これまで5回の来日公演が実現し、のべ25万人以上を動員しているんですよ!
2013年の来日から5年ぶりとなる今回の来日公演の怪人は、ロンドン・ウエストエンドでも演じたジョン・オーウェン・ジョーンズ。ウエストエンドでは史上最多出演となる約2000公演をこなした大スターの彼が出るだけでも事件ね。
愛の悲劇じゃ真夏のホラーにはほど遠い! とおっしゃる方も、ホラーは苦手だからこれくらいがちょうどいいという方も、一度お試しあそばせ。
(原作:ガストン・ルルー/脚本・作詞:ケン・ヒル/生演奏・英語上演・日本語字幕あり)
日程:8月29日~9月9日
会場:東急シアターオーブ(東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ11F)
料金:S席11,800円、A席8,800円、B席6,800円(全席指定・税込)
http://operaza2018.jp
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