プレスト:「速い」を意味するイタリア語。加速して最上級プレスティッシモも登場!
1993年生まれ、東京都出身。2022年、第1回ひろしま国際指揮者コンクール(旧:次世代指揮者コンクール)優勝。パリ地方音楽院ピアノ科、ミュンヘン国立音楽演劇大学古楽...
最初にプレストを用いたのは、イタリアの作曲家ニコラ・ヴィチェンティーノ(1511〜1576年)ですが、当時はまだテンポを表す楽語が多くなかったので、アダージョなどの遅いテンポとの比較で使われました。なので、そこまで速くなかったようです。
のちに、アレグロなどの言葉がテンポを表すようになり、直接的に「速い」を意味するプレストはどんどん速くなります。さらに、プレストの最上級を表すプレスティッシモも用いられ、ものすごい速さのテンポを指示されることも増えました。例えば、ベートーヴェンの初期の作品には、プレスティッシモが多く見られます。若さですね!
プレストの表す速さは、ここに留まりません。シューマンは、自身のピアノ・ソナタ第3番の終楽章にはプレスティッシモ・ポッシービレ(できる限り最高に速く)という、もはや常軌を逸したテンポを登場させます。しかも、最後の最後でピウ・プレスト(もっと速く)という指示まで……矛盾してそうですが、これぞ火事場の馬鹿力です。
このようにプレストにはグルーヴ感、そして手に汗を握るような音楽が詰め込まれているのです。
プレストを聴いてみよう
1. J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲第4番 BWV1049〜第3楽章 プレスト
2. モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 KV527〜第1幕よりアリア「酒で酔いつぶれて」(プレスト)
3. ベートーヴェン:ピアノ三重奏曲第3番 作品1-3〜第4楽章 プレスティッシモ
4. シューマン:ピアノソナタ第3番 作品14〜第4楽章 プレスティッシモ・ポッシービレ
5. ラフマニノフ:組曲第2番 作品17〜第2曲 ワルツ(プレスト)
6. ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調〜第3楽章 プレスト
7. バーンスタイン:ウェスト・サイド物語:マンボ(メノ・プレスト)
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