バッハ、モーツァルト、シューベルト、ロッシーニ……それぞれのお金の稼ぎ方
クラシック音楽に囲まれる家庭環境で育ったイラストレーターの五月女ケイ子さん。「ゆるクラ」は、五月女さんが知りたい音楽に関する素朴な疑問を、ONTOMOナビゲーターの飯尾さんとともに掘り下げていく連載です。五月女さんのイラストとともに、クラシックの知識を深めていきましょう!
前回は、クラシック作曲家の懐事情を知り切なくなりましたが、今回は、作曲家の稼ぎ方HOW TOを教えていただきました。
稼ぎ方も三者三様
バッハは、教会に勤めてお給料をもらう、いわゆる“サラリーマン”。しかも10人の子だくさんとなると、偉大なる音楽の父が俄然ビッグダディ的な様相に……。
モーツァルトは脱サラし、一旗あげようと都会(ウィーン)へ。成り上がりみたいでかっこいいですが、音楽しかできない彼には、堅実なお金の使い方などできるはずもなく、たくさんの借金を残したそうです。請求書を書くのが苦手な自分には耳の痛い話です。
パトロンも大事な存在でした。ベートーヴェンもパトロンから年金をもらって生活していたし、チャイコフスキーは一度も会ったことのない未亡人からずっと援助を受けていたそうです。未亡人という言葉によからぬ妄想を抱きかけましたが、手紙のやり取りはあったそうなので、足長おじさんならぬ、足長おばさんみたいな存在だったのですね。
では先生、逆に貧乏な作曲家はいたんでしょうか? 答えは、シューベルト。彼は人前に出るのが苦手で、演奏会やステージに立たなかったのだそう。狭い所が好きな音楽オタクで、女性と喋るのも苦手だったと聞いて肖像画を見ると、確かに女性を遠ざけるようなオーラが……。今なら、YouTubeやボカロで稼ぎ、顔を見せずに紅白歌合戦にも出演できていたはず。
どうでしょう、オタク感出てますか?
オペラで財を成したマイアベーアとロッシーニ
では、一番お金を稼げる仕事は何でしょうか? 答えは“オペラ”。本人が出演しなくても、各地で何年も上演できて効率がいいのがその理由。
マイアベーアというオペラ作曲家は、今はあまり知られてないけど『シャーロック・ホームズ』にも名が出てくるほどの人気者だったそう。現代だとミュージカル『ライオンキング』ロングランみたいな感じ。私は、オペラを見ていると眠くなりますが、その頃は大人気の娯楽だったのですね。優雅にバカンスを楽しむ彼の姿が目に浮かびます。
マイアベーアの代表作《ユグノー教徒》
また、ロッシーニは、オペラで稼いで30代で隠居し、美食家に転身したとか。“ロッシーニ風ステーキ”のロッシーニは、なんと彼の名だそう。音楽界だけでなくフード界にも名を残すなんて、彼の能力は半端ないです。
曲は同じように美しくても、こんなに貧富の差があったとは……。驚きました。それにしても、良い曲を書くこととお金を稼ぐこと、作曲家にとっての本当の幸せってなんなのでしょう。そんなことを考えさせられました。
さて次回は、先生にムチャ振りして、作曲家長者番付を教えていただきます。
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