読みもの
2020.05.24
音楽学者がいい音を追求して初スピーカー工作!

音ゲーを自作スピーカーでプレイしたら没入感が半端なかった。

オーディオに目がない音楽学者の広瀬大介さんが、実は音ゲーにもどハマり中らしい。よりいい音でプレイするべく、スピーカー・キットを自ら組み立て、実践しました!
スピーカー工作は初めてだそうですが、はたして満足のいく音ゲープレイ環境を作り出せるのでしょうか……?!

音ゲーに熱い音楽学者
広瀬大介
音ゲーに熱い音楽学者
広瀬大介 音楽学者・音楽評論家

青山学院大学教授。日本リヒャルト・シュトラウス協会常務理事・事務局長。iPhone、iPad、MacBookについては、新機種が出るたびに買い換えないと手の震えが止ま...

写真:広瀬大介

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広瀬大介、音ゲーの神ゲーとゲーム機の変遷を語る

『パラッパラッパー』に始まる音ゲーの四半世紀

読者の皆さまは、かつて『パラッパラッパー』という伝説の神ゲー、いや、世にも素晴らしいゲームが存在したことをご存じでしょうか。初代プレイステーション向けに、1996年に発売されたゲームソフト、いや、作品です。カタカナの字面だけだとなんのことやら、ですが、これは“PaRappa the Rapper”、つまり「ラッパー・パラッパ」なのです。

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『パラッパラッパー』とは?

ふわふわと生きているパラッパが、愛するファニーちゃんの恋心を射止めるため、タマネギ先生などの教えを乞いながらラップを練習し、やがて最強のラッパーとして覚醒していきます。

 

音楽と画面の指示に合わせて、コントローラーにある○、×、△、□のボタンをタイミングに合わせて押していきます(ファミコン時代は右手で押せるコントローラーのボタンはA・Bしかなかったのに、突然4つに増えて面食らったものです。すぐ慣れましたが)。出来に応じてCool – Good – Bad – Awful の順に評価が変わり、Cool状態を一定時間キープするとアドリブモードに突入。単に決められた指示に合わせてボタンを押すだけよりも遙かに高得点が狙えるようになります(このシステムはいまの基準に照らしても画期的です)。

四半世紀前に生まれた新しい「音楽ゲーム」、略して「音ゲー(おとげー)」は、この名作『パラッパラッパー』を起爆剤として、数多いゲームの中で着実にひとつのジャンルを築き上げました。現在に至るまで、この『パラッパラッパー』が築いた音ゲーシステムは着実に継承されています。

家庭用ゲーム機で音ゲーをプレイするためには、どのようなかたちであれ、コントローラーを使う以外の選択肢はありません。2000年代を代表する音ゲーといえばなんといっても『太鼓の達人』(2001年)ですが、ゲームセンター用のマシンを自宅用に買うわけにもいきません(買ったひともいたでしょうが)。家庭用ゲーム機用の専用コントローラー(という名の小さい太鼓)を買うのですら、それ以外に使えない専用機器が一台家に増えることになるわけで、日本の住宅事情を考えると、おいそれとそれらを増やすのは憚られます。

スマホにより新時代に突入

そんな音ゲーの世界にも、2010年代になってスマートフォンという黒船がやってきます(大げさ)。画面を直接タップして、あたかも楽器を演奏しているかのようにプレイできるスマートフォンは、何しろ自身から音が出るのですから、もはやれっきとした「楽器」です。音ゲー世界は、ソフトそのもののアップデートが容易というスマホ特有の特徴を武器として、大きく飛躍しました。ゲームそのものの機能強化に加え、楽曲の追加などが容易になったことも、ゲーム用カートリッジやCD-ROMを用いざるを得なかった既存の家庭用ゲーム機に比べて大きな利点となったのです。

「デレステ」のヘビーユーザーになった理由

スマホにおける音ゲーで最初にヒット商品となったのが、『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』(2013年)でした。そして、その後に生まれた『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(2015年 略称「デレステ」)が、2020年現在に至るまで圧倒的かつ根強い人気を保ち続けているのは、栄枯盛衰の激しいこの業界においては、ひとつの奇跡とすら言えるかもしれません。

何を隠そう、筆者もこの「デレステ」を(ゼミの学生に教えられて)かなり初期にプレイし始めて以来すっかりハマり、現在に至るまでログインしなかった日はなかったといっていいでしょう。200名に迫ろうかというアイドルの数が示すとおり、その作品世界は広大ですが、キャラの描きわけがしっかりしており、制作者の愛が隅々に満ちあふれているので、ずっと親しんでいれば「すべてのキャラが皆同じに見える」なんてことは絶対に起きません。こういうところが、男女問わず幅広い人気を誇っている理由のひとつです。

アイドルたちが画面の中で踊るのを眺めつつ(実際は眺めている余裕などない)、画面上部から落ちてくる球体をタイミングに合わせてタップすることで進めていく音ゲーとしてのシステムは(途中さまざまな新しい要素が加わりつつも)、基本的に変わることはなく、当初から現在まで引き継がれています。最新のソフトに比べると各種ギミックや動作に多少の古さを感じることはあるものの(ガチャを引くときのアニメーションとか)、肝心の音ゲー部分は細部に至るまで丁寧に作り込まれ、そのクオリティの高さは他の音ゲーの模範となり続けています。

MV(ミュージックビデオ)として再生することも可能です。ゲームから離れて純粋にMVを鑑賞すれば、その精彩感豊かな作り込みに対する驚きと尊敬はさらに増すことでしょう。ゲーム用に作られた楽曲も毎週のように増え続け、ビックネームとの共作まで生まれています。それもゆず作曲「無重力シャトル」から弦哲也作曲「おんなの道は星の道」まで、幅が広すぎる!

もしいまからプレイを始めたとしたならば、1日3曲プレイするとして、すべての曲を制覇するだけで軽く3ヶ月くらいはかかるはずです。その頃には、きっとあなたもデレステの虜でしょう。

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