郷古 廉に50の質問!〈前編〉舞台に上がる時の気持ちは?これまでで最大の試練は?
2021.10.04
プロコフィエフ《ピーターと狼》の意外な奥深さを知る本
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
「かなりスケジュールがきついときでも、年に2回は日本に来るようにしている」「小津安二郎の映画が大好き」というドイツのヴァイオリニスト、イザベル・ファウストは、大の親日家である。
愛器はストラディヴァリウス1704年製「スリーピング・ビューティ」だが、曲によってはバロック・ヴァイオリン(ヤコブ・シュタイナー1658年製)を使うことも。古楽的なバロック演奏から、前衛的な現代作品まで、幅広いレパートリーを持つ彼女は、しばしば協奏曲と室内楽曲をセットにしてレコーディングをおこなってきた。
以前ファウストに話を聞いたとき、
「最近は協奏曲でフォルテ志向な演奏がされるようになってきているのは残念です。素晴らしいホールなら、勇気をもって作品のピアニシモを尊重して演奏するべきです。私は、大きなホールだからといって大きな音で弾くことには関心がありません」
と言っていたのが印象的だった。
最新録音はシェーンベルクの「ヴァイオリン協奏曲」(ハーディング指揮スウェーデン放送響)と「浄夜」(ヴィオラのタメスティ、チェロのケラスらとの弦楽六重奏)のセット。ファウストらしい、心のひだに深く入り込んでくるような、内面的な演奏が楽しめる。