春、体感する音楽。春祭NIGHT「キャバレーを巡る物語」

大人の妖しいパーティを演出! ソプラノ歌手・中嶋彰子インタビュー

イベント
2018.04.01

東京・春・音楽祭2018の中でも、4月6日(金)オールナイトで繰り広げられる異色のイベント『Cabalet(キャバレー)を巡る物語』について、演出するソプラノ歌手、中嶋彰子に電話インタビューした。

この記事をシェアする
会場写真:東京・春・音楽祭実行委員会/飯田耕治
インタビューされた人
中嶋彰子 ソプラノ歌手
中嶋彰子
インタビューされた人
中嶋彰子 ソプラノ歌手
北海道生まれ。15歳で渡豪し、シドニー音楽院を卒業。1990年、全豪オペラ・コンクールで優勝し、同年、シドニーとメルボルン、両オペラハウスでオペラ・デビューを果たす。...
聞き手・文
小田島久恵 音楽ライター
小田島久恵
聞き手・文
小田島久恵 音楽ライター
岩手県出身。地元の大学で美術を学び、23歳で上京。雑誌『ロッキング・オン』で2年間編集をつとめたあとフリーに。ロック、ポップス、演劇、映画、ミュージカル、ダンス、バレ...

今年も東京春祭に新風を巻き起こす!

 現在、満開の桜で賑わう上野で開催中の東京・春・音楽祭2018。14回目を迎える今年は、過去にない刺激的で冒険的な試みが行なわれる。

 新たに加わった会場「東京キネマ倶楽部」(鶯谷)で、2部構成のオール・ナイト・イベント『Cabalet(キャバレー)を巡る物語』が催されるのだ。

東京キネマ倶楽部
東京・鶯谷にある東京キネマ倶楽部。4月6日(金)、ここで何か繰り広げられるのか。©東京・春・音楽祭実行委員会/飯田耕治

 企画・演出・出演をつとめるのは、能とシェーンベルクを融合させた『月に憑かれたピエロ』で東京春祭に新風を巻き起こした歌手の中嶋彰子。海外を拠点に活動する中嶋が、クラシックの音楽祭の常識にとらわれないユニークな感性で「1920年代のキャバレー文化」を蘇らせる。前代未聞の艶やかな大人のパーティが、上野の夜を妖しく彩ることになりそうだ。

中嶋 クラシックの伝統的ではない会場で、仲間の音楽家やアーティストと型にはまらないコンサートをやりたいと、ずっと考えていました。日本では、クラシックのコンサートというと観客と演奏家と距離がありますけれど、ヨーロッパでは色々な形態の音楽の楽しみ方があります。

 ウィーンでも毎週、週末にはナイト・イベントという形で劇場に次々に仲間がやってきて、そこでいろいろなセッションが行なわれ、アーティスティックで壁のない場が生まれますし、私の家でもそうしたパーティをやることがあるんですよ。

 仲間と歌っていると、詩人や作家や絵描きや映画監督が集まってきて、そこで語られる会話もとても深かったり、新しい発見があったりするんです。日本だと、最終電車で家に帰らなければとか、いろいろな制約があると思いますが……。

中嶋彰子
オール・ナイト・イベント『Cabalet(キャバレー)を巡る物語』の演出は、ソプラノ歌手の中嶋彰子。

 この催しの第2部は深夜の1時にスタートする。が、そこでひるんでは「祭り」を楽しむ者としての名がすたるというもの。非日常でクリエイティヴな祝祭が、一夜限りで経験できるのだ。

中嶋  9時30分開演の第1部の台本はもう書き上げてあるんです。幕があくと1922年にトリップし、オープニング・ナンバーで全員が登場したあとは、上海、21世紀のバビロンと言われたベルリン、そして憧れの街パリへと汽車の旅が続きます。

 舞台にはキャバレーのホストやダンサー、ベルリンのキャバレー界のスター、クララ・ヴァルドーフや当時実際に存在した日本人の音楽家、貴志康一の姿も見えます。シャンソン歌手の聖児セミョーノフや、ガールズの純名里沙、辰巳真理恵、増井めぐみも活躍し、ジャズ・バンドやバーレスクなダンサーたちも登場します。

 ガールズは私が立ち上げた日本オペレッタ研修所のメンバーで、“踊れる歌手”ばかりなんです。本当のオペレッタは踊れないとダメですからね……聖児セミョーノフのシャンソンは、クラシックとはだいぶ違いますよ。アドリブもたくさん入りますし、とてもウィットが効いています。

シャンソン歌手の聖児セミョーノフ。
純名里沙
ガールズの純名里沙。ガールズは、中嶋が立ち上げた日本オペレッタ研修所のメンバーから選ばれている。
辰巳真理恵
ガールズの辰巳真理恵。
増井めぐみ
ガールズの増井めぐみ。

深夜から始まる秘密のエンターテイメント

 深夜スタートの第2部は、さらにディープなエンターテイメントが繰り広げられる。

中嶋  第2部に関しては、まだ内容は秘密です(笑)。少しだけお伝えすると、私の仲間の歌手たちが飛び入りするかもしれないし、大道芸人やさまざまなエンターテイナーの方が乱入するかも知れません。ディーバの裏話も聞けるかも。

 それだけでは内輪の遊びになってしまいそうだけど、来てくださった人たちの度肝を抜くような、お洒落な大人の世界を作りたいと思っています。

 そのためには借金もしなければならないのですが、4月4日までクラウドファンディングも設けています。参加してくれる仲間は「タダでもいい」と言ってくれるし、私も自分のパーティに来てくださるなら赤字でもいいと思ったのですが、ご協力いただけるととても嬉しいです。

深夜1時からは第2部の始まり。当日まで内容は明かされない。

 東京キネマ倶楽部は、中嶋にとっても理想のキャバレー空間を再現できる空間だったという。

中嶋  見た瞬間「こんな場所がまだあったのか!」と驚いてしまいました。鶯谷の駅の前ですから迷いませんし、お客様も不安は無用です(笑)。「東京」というより「上野」「下町」という雰囲気なんですね。

 キャバレーというと、おじさんが楽しむ場所、というイメージがあるかも知れませんが、本来はそれとまったく違う成熟したカルチャーなんです。お洒落でグロテスクで、とても自由表現を尊重しているのが「キャバレー文化」だと思うんですよ。

 能とシェーンベルクを融合させたり、現代にキャバレー文化を蘇生させたり、中嶋のアイデアは大胆でつねに型破りだ。

中嶋  北海道の釧路という、文化的な空気から遠い場所に生まれて、大自然の中で空想ばかりしていたんです。才能もないのに生まれた時代や場所のおかげで、最初からこの世界では大海に入っていました。有り難いことに、小さい役というのをほとんどやらないで来たんです。

 音楽とともに生きてきて、今プロデュースや演出をすごくやりたいなと思っているので、こうして仲間が集まってくれて感激しています。絶対楽しめる時間をお届けしますよ!

東京・春・音楽祭2018
東京春祭NIGHT Cabaret(キャバレー)を巡る物語 〜1920年代の華やかなりし上海から、パリ、ベルリン、そして上野へ

日時: 4月6日(金) 21:30開演(20:30開場)

会場: 東京キネマ倶楽部

出演: ソプラノ 中嶋彰子
シャンソニエ 聖児セミョーノフ
ガールズ 純名里沙、辰巳真理恵、増井めぐみ
ピアノ 斉藤雅昭
サクソフォン 丹沢誠二
ベース 山本裕之
トランペット 村山貴幸
ドラム 大場 俊
振付 NaHeek
衣装 吉野勝恵(アトリエヨシノ)
Barのマスター 榎本晋輔

曲目: 《キャバレー》より Willkommen、Mein Herr (エブ/カンダー)
《キャバレーソング》より 夜のさまよい人、アルカディアの鏡 (シェーンベルク)
《三文オペラ》より メッキー・メッサーのモルタート、海賊の花嫁 (ブレヒト/ヴァイル)
愛の讃歌、ばら色の人生 、蘇州夜曲、ラストダンスは私に /他

ツイートする
シェアする

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ