イベント
2020.03.03
2月特集「子どもの音楽体験」

子どもに本格的なクラシックを! 音楽ライターがすすめするイベント

子どもに本格的な音楽を聴かせたい! というファミリーに、おすすめ子ども向けイベントをご紹介。
ひとことで子ども向けイベントと言っても、楽器体験や絵本を題材にしたコンサートなど、内容はさまざま。それぞれの特色と概要をまとめたので、ぜひ選ぶ際の参考にしてみてください。

ナビゲーター
小島綾野
ナビゲーター
小島綾野 音楽ライター

専門は学校音楽教育(音楽科授業、音楽系部活動など)。月刊誌『教育音楽』『バンドジャーナル』などで取材・執筆多数。近著に『音楽の授業で大切なこと』(共著・東洋館出版社)...

山田治生
山田治生 音楽評論家

1964年京都市生まれ。1987年、慶應義塾大学経済学部卒業。1990年から音楽に関する執筆活動を行う。著書に、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人 -ある日本人指揮者の...

メインビジュアル:東京文化会館「ミュージック・ワークショップ」©Mino Inoue

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一年を通して家族で音楽を楽しみたい!

子どもに本物の音楽を聴かせたい! と思っても、さまざまなハードルが存在します。そこでおすすめなのが、子どもと楽しむための工夫やこだわりが詰め込まれた、各ホールや音楽祭の子ども向けイベント。2020年のイチオシをライターの小島綾野さんと山田治生さんに厳選してもらいました。

対象年齢や内容もバラエティ豊富なので、お子さんの興味に合わせて選んでみましょう。実際にコンサートホールに足を運び、演奏を聴いたりワークショップに参加したりすることで、好奇心が広がり、音楽をもっともっと好きになるきっかけになるかもしれません。

※日付は変更になる可能性があります。お出かけ前に公式サイトでご確認ください

こども音楽フェスティバル

2020年が初開催、全5日間の世界最大規模の子ども向け音楽フェスとなるのは、ソニー音楽財団とサントリー芸術財団がタッグを組む「こども音楽フェスティバル」。
両者のこれまでの実績を活かし、妊婦さんから10代の青少年までを対象に、オーケストラや吹奏楽、室内楽、ソロ、合唱などの多ジャンルにわたり、多くのプログラムが組まれている。
第一線で活躍する出演者たちが揃い、生演奏を聴けるだけでもスペシャルだけれど、美術や最先端テクノロジーとのコラボや、体験型オペラなど、「クラシックはハードル高い……」という親子にもトライしやすそうなプログラムが並ぶ。(編集部)

イベント情報
ソニー音楽財団・サントリー芸術財団「こども音楽フェスティバル」

日時 2020年7月17日(金)~21日(火)
会場 サントリーホールほか周辺施設(予定)

詳しくはこちら
https://www.kofes.jp/

東京・春・音楽祭 for Kids 2020

動物園や博物館など、子どもたちにも人気の上野公園。ここが最高に華やぐ桜の季節に行なわれるのが「東京・春・音楽祭」です。日本の歴史的なコンサートホール・東京文化会館を中心に、国立科学博物館や東京都美術館などもコンサート会場に変身。意外な場所で聴く演奏は、その特別感も相まって心に刻まれるはず。

「東京春祭 for Kids」と題した子ども向け企画も充実。国際子ども図書館では絵本と音楽のコラボコンサート、国立科学博物館では音楽と科学が融合したワークショップ……春爛漫の上野の森でのユニークな音楽体験を、ぜひ親子で!(小島)

2019年開催のKids子どものための絵本と音楽の会(5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる)より。
©東京・春・音楽祭実行委員会/飯田耕治
2019年のRichard Wagner for Kids 「さまよえるオランダ人」より。
©東京・春・音楽祭実行委員会/増田雄介
イベント情報
子どものためのワーグナー

日時 2020年3月28日 (土)13:30開演/3月29(日)13:30開演/4月1日(水)18:30開演/4月4日(土)13:30開演¥/4月5日(日) 13:30開演

会場 三井住友銀行 東館 ライジング・スクエア 1階 アース・ガーデン
東京都千代田区丸の内1−3−2

主な対象 小学生以上

料金 子ども 2,500円/保護者 3,500円

子どものための絵本と音楽の会 『5ひきのすてきなねずみ おんがくかいのよる』

日時 2020年3月22日(日)13:30/15:00 開演

会場 国際子ども図書館 レンガ棟 ホール(3階)
東京都台東区上野公園12-49

主な対象 3歳~中学生

料金 参加無料・事前応募制

国立科学博物館 × 東京・春・音楽祭 音楽ワークショップ 〜『上野2020 音リンピック』音の競技にみんなでチャレンジ! 主な対象中高生

日時 2020年4月4日(土)11:00/14:00 開演

会場 国立科学博物館 日本館講堂(2階)
東京都台東区上野公園7-20

主な対象 未就学児~小学生

料金 参加無料・事前応募制

子どものための公開リハーサル 東京春祭ワーグナー・シリーズvol.11 ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》

日時 2020年3月30日(月)14:30開演

会場 東京文化会館 大ホール
東京都台東区上野公園5−45

主な対象 中高生

料金 参加無料・事前応募制

子どものための公開リハーサル 東京春祭 合唱の芸術シリーズ vol.7 ベートーヴェン《ミサ・ソレムニス》

日時 2020年4月11日(土)12:30開演

会場 東京文化会館 大ホール
東京都台東区上野公園5−45

主な対象 中高生

料金 参加無料・事前応募制

サントリーホール「オープンハウス」

クラシック音楽の殿堂としてひときわ格調高いサントリーホールは、キッズたちもちょっとフォーマルな振る舞いを身に付け、おしゃまな気持ちで訪れたい特別な空間……でも年1回の「オープンハウス」の日はカジュアルにチェンジ!

オーケストラやパイプオルガンの無料コンサート、サントリーホールの秘密をいっぱい知れるガイドツアー、世界の名だたる音楽家が立つ大ホールのステージに上がることもできます。ぜひこの機会にサントリーホールに親しみ、クラシックコンサートを身近に感じてくださいね。(小島)

音楽ワークショップ。体験ができる参加型プログラムもある 写真:サントリーホール
実際に舞台に立つわくわく感を味わおう。
写真:サントリーホール

東京交響楽団 & サントリーホール「こども定期演奏会」

「定期演奏会」とは、管弦楽団などが年間予定を決めて自主開催するコンサートシリーズのこと。クラシック通の方は年間の通し券を買い、手帳にその日を書き込んで生活の楽しみにしています。そんな「オーケストラとともにワクワク過ごす日々」を子どもたちにも! と行われているのがこの「こども定期演奏会」。

今年は4・7・9・12月の年4回、それぞれ「ヨーロッパ」「アメリカ」「ロシア」をテーマにしたプログラムが組まれ、1年で世界のクラシック音楽が丸わかり。1年間、家族でコンサートの予定や思い出を共有し、その日を指折り数えたり、一緒に聴いた曲について語り合ったり……そんな素敵な時間を、家族のスケジュールに加えてみませんか(1回券での購入も可能です)。(小島)

憧れのサントリーホールの舞台で東京交響楽団と演奏できる、貴重なチャンス!
写真:サントリーホール
サントリーホールの制服に着替えて仕事体験をした子どもレセプショニストたち 写真:サントリーホール
イベント情報
サントリーホール オープンハウス

日時 2020年4月5日(日) 11:00~17:00

会場 サントリーホール大ホール

料金 無料

こども定期演奏会

日時 2020年4月12日(日)/7月5日(日)/9月6日(日)/12月13日(日)各11:00開演

会場 サントリーホール大ホール

司会 坪井直樹 

料金 年間会員券 12,000円(全席指定・4公演分)/各1回券 3,500円

ラ・フォル・ジュルネ キッズプログラム

ゴールデンウィークの風物詩になった、日本最大級のクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」。0歳から入場できるコンサートや、1公演45~60分程度のコンパクトなプログラム、キッズプログラムの充実など、「子どもとクラシックとの出会いの場」としても最適で、会場の東京国際フォーラムは毎年たくさんの家族連れで賑わっています。

今年のテーマは、子どもたちも知っている作曲家ナンバー1(?)の「ベートーヴェン」。かの音楽を、ぜひ世界の名だたるオーケストラやソリストたちの生演奏で体感して!(小島)

なんの楽器かな? トロンボーンに興味津々な子どもたち。
ラ・フォル・ジュルネ イベント情報
キッズのためのオーケストラコンサート「ベートーヴェンの喜怒哀楽」

日時 2020年5月2日(土)

会場 東京国際フォーラム ホールA

0歳からのコンサート 「ベートーヴェンのさんぽ道 〜踊るリズムと自然のハーモニー〜」

日時 2020年5月3日(日)

会場 東京国際フォーラム ホールA

 

0歳からのコンサート 「ベートーヴェンさんとお祝いしよう!〜⽣誕250 年パーティー 〜」

日時 2020年5月4日(月祝)

会場 東京国際フォーラム ホールA

東京芸術劇場「TACTフェス」

赤ちゃんからシニアまでが楽しめる、音楽、演劇、ダンス等のジャンルを越えた舞台芸術のフェスティバル。昨年に引き続き、鈴木優人&読売日本交響楽団が登場し、ファミリーコンサートをひらく。「スターウォーズ」や「エーデルワイス」などの映画やミュージカルの音楽から、ウェーベルンやミュライユなどの無調や現代の音楽までさまざまなジャンルの音楽を、自らも子育て世代の鈴木優人の指揮&トークとともに楽しむ。石丸幹二も歌を披露。

TACTフェスの様子。
©読売日本交響楽団
イベント情報
TACT FASTIVAL 2020 東京芸術劇場Presents 鈴木優人&読響ファミリーコンサート

日時 2020年5月5日(火・祝)15:00開演

会場 東京芸術劇場 コンサートホール

東京芸術劇場「ボンクリ・フェス」

オペラ、オーケストラ曲、映画音楽等、今世界で最も注目されている作曲家の一人である藤倉大がアーティスティック・ディレクターを務める音楽イベント。「ボンクリ」とは「Born Criative(=人間は皆、生まれつきクリエイティヴだ)」ということ。スペシャル・コンサートのほか、東京芸術劇場の様々な空間を使った、無料プログラム、ワークショップ、電子音楽だけのコンサートもあり、藤倉とともに世界中の新しい音楽を満喫する。(山田)

ボンクリ・フェスより。
©Hikaru.☆
イベント情報
ボンクリ・フェス2020 “Born Creative” Festival 2020

誰でも楽しめる! 無料プログラム
9月26日(土)
会場:東京芸術劇場 館内各所

ワークショップ・コンサート
9月25日(金)夜・9月26日(土)
会場:東京芸術劇場 館内各所

スペシャル・コンサート
9月26日(土)14:00開演/13:00ロビー開場
会場:東京芸術劇場 コンサートホール

大人ボンクリ
9月26日(土)夜
会場:東京芸術劇場 コンサートホール

紀尾井ホール「ようこそ邦楽!」

毎年大賑わいの「ようこそ邦楽」、その人気の秘密は楽器体験の充実。箏・尺八・三味線・篠笛・琵琶などたくさんの和楽器がロビーや楽屋に並べられ、各コーナーにいるプロ奏者の指導を受けながら、さまざまな楽器に挑戦。「体験」なら数分ぐらい?……と思いきや、楽器や講師の数がとにかく潤沢で、思う存分、楽器に親しめます。しかも、親子で参加できるので、お母さんとお嬢さんが並んで箏を弾く姿や、お子さんよりお父さんが楽器にハマってしまう姿もちらほら。親子で同じことにトライし、一緒に泣き笑うのも素敵な思い出になりそう!(小島)

琴を体験する子どもたち。
なかなか演奏する機会のない楽器を、実際に触ることができる。
イベント情報
紀尾井の入門!2020 ようこそ邦楽 誰でもトライアル

日時 2020年7月11日(土)13:00開演

会場 紀尾井ホール

料金 小中学生 1,000円/大人 2,000円/親子セット券 2,500円/第三部鑑賞のみ 500円(当日券のみ)

関西フィルハーモニー管弦楽団「親子定期演奏会」

6回目の関西フィルハーモニー管弦楽団の「親子定期演奏会」。タイトルの通り、子どもだけでなく親も楽しめるコンサートになっている。何年か前、筆者も親子で出かけたが、客席には親子三代で来ている家族もいて、ほほえましかった。藤岡幸夫が、情熱的な指揮と巧みなトークで子供たちを飽きさせない。ザ・シンフォニーホールという本格的なコンサートホールでフル・オーケストラ(パイプ・オルガンが入るときもあり)が体験できる絶好の機会。(山田)

2015年度公演の指揮者体験コーナー。
©s.yamamoto
2019年度公演より、楽器体験コーナー。トランペットに挑戦!
©s.yamamoto
イベント情報
第6回 親子定期演奏会

日時 2020年8月10日(月祝)13:00開場 14:00開演

会場 ザ・シンフォニーホール

京都市交響楽団「オーケストラ・ディスカバリー」

京響の「オーケストラ・ディスカバリー」は、子ども向けのコンサートというわけではないが、もともとの入場料が安く、そのうえ子ども料金(大人の半額)も設定されていて、気軽にコンサート会場に足を運べる。1年間に4公演。今年は未定だが、2019年度まではガレッジセールがナビゲーターを務め、初心者にも親しみやすいステージとなっている。常任指揮者・広上淳一や首席客演指揮者ジョン・アクセルロッドなど、指揮者のラインナップも充実。(山田)

オーケストラ・ディスカバリー2018 第1回「華麗なるバレエの世界」公演から(指揮=高関健/共演=桧垣バレエ団)
写真:©Tatsuo Sasaki
イベント情報
第1回 どこかで聴いたオーケストラ

日時 2020年6月21日(日)13:00開場/14:00開演

第2回 「躍動するリズム」VS「美しいメロディ」

日時 2020年9月6日(日)13:00開場/14:00開演

第3回 オーケストラ・オリンピック!

日時 2020年11月8日(日)13:00開場/14:00開演

第4回 名曲! それとも名作曲家?!

日時 2021年3月14日(日)13:00開場/14:00開演

会場 京都コンサートホール 大ホール

東京文化会館「ミュージック・ワークショップ」

このワークショップシリーズの特徴は「ストーリー仕立て」。さまざまなシナリオが公演ごとに用意され、リーダーのお兄さん・お姉さんの歌や楽器の生演奏にのって、子どもたちも歌ったり踊ったりしながら音楽の物語に出発進行! それはまるで、絵本の中に自分が入り込むような心ときめく体験です。

対象年齢が「6~18か月」「19~36か月」「3~6歳」など細分化されているのもポイント。乳児向けのものは親子のスキンシップが多かったり、幼児向けなら全身を動かす場面がたくさんあったりと、各々の発達段階にぴったりの内容でみんな大満足!(小島)

6か月~6歳(未就学児)対象の「森の王様のフェスタ」より。
©Mino Inoue
6か月~6歳(未就学児)対象の「スペース・トラベル」より。
©Mino Inoue

トリトン・アーツ・ネットワーク(第一生命ホール)「子どもといっしょにクラシック」シリーズ

「子どもといっしょにクラシック」シリーズの中でもユニークな「子育て支援コンサート」。大人の「音楽をゆっくりと楽しみたい」という希望と「子どもにも音楽を楽しんでほしい」という願いを、同時に叶えてくれるところにある。つまり、演奏会の前半では小学生~大人はホールのなかで、未就学児は別のスタジオで別のプログラムを聴き、後半は親子一緒にホールで音楽を楽しむことができる。

また、「子どもといっしょにクラシック」には、0歳6か月から3歳までの乳幼児を対象とした「ロビーでよちよちコンサート」というプログラムもあり、ホールのロビーで輪になって、親子で音楽を聴いたり、音楽に合わせて体を動かしたりもできる。

そのほか、「クリスマス・オーケストラ・コンサート」や、スクリーンに絵本を投影し、生演奏と朗読でおおくりする「音楽と絵本コンサート」もある。(山田)

ロビーでよちよちコンサートの様子。
©藤本史昭
音楽と絵本コンサートより。
©池上直哉

ズーラシアンブラス

ライオンのトランぺッター、ホッキョクグマのチューバ奏者、ウサギのバイオリニスト……動物たちによる金管5重奏団「ズーラシアンブラス」およびその仲間たちによるオーケストラコンサート「音楽の絵本」は、動物好きのキッズに大人気! 日本各地で行なわれるコンサートには、いつも子どもたちの笑顔と歓声が満ちています。

とはいえ、名曲揃いのプログラムや一流の演奏は、音楽ファンの大人も唸る本格派。キュートな見た目で侮っていたら、素晴らしい演奏にいつの間にか感動の涙を流していたのは大人……なんてことも(経験者は語る)。(小島)

子どもたちの大好きな動物の姿で、親しみやすい。
一流の演奏を、身がまえずに楽しんで聴くことができそう。
イベント情報
ズーラシアンブラス20周年記念 ズーラシアンブラス カーニバル

日時 2020年4月4日(土)ロビー開場13:30/14:15開場/開演15:00(14:00〜15:00はロビーイベント開催)

会場 所沢市民文化センターミューズ
埼玉県所沢市並木1丁目9−1

料金 S席5,000円/A席4,000円/B席3,500円/C席3,000円/D席2,000円
※0歳より入場可。3歳以上有料。3歳未満膝上鑑賞無料(大人1人につき1名まで)

※その他、全国各地で公演があります。詳しくは公式サイトをご覧ください

ナビゲーター
小島綾野
ナビゲーター
小島綾野 音楽ライター

専門は学校音楽教育(音楽科授業、音楽系部活動など)。月刊誌『教育音楽』『バンドジャーナル』などで取材・執筆多数。近著に『音楽の授業で大切なこと』(共著・東洋館出版社)...

山田治生
山田治生 音楽評論家

1964年京都市生まれ。1987年、慶應義塾大学経済学部卒業。1990年から音楽に関する執筆活動を行う。著書に、小澤征爾の評伝である「音楽の旅人 -ある日本人指揮者の...

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