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2025.06.18
音楽祭に出かけよう!2025

2025北九州国際音楽祭〜「Spark!今、この瞬間に-」ジャンルを超えた共演から生まれる音楽のきらめき

北九州の秋の風物詩として長年親しまれている「北九州国際音楽祭」。国内外の一流アーティストが集い、地域に根ざした文化イベントとして、35年以上にわたり市民に愛されてきた。2025年のテーマは、「Spark!今、この瞬間に-」。国や世代、ジャンルを超えた共演から生まれる音楽のきらめきに満ちたプログラムが予定されている。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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「今、この瞬間」に生まれる音楽を体感する

1988年秋に始まり、38回目を迎える北九州国際音楽祭。2025年は「Spark!今、この瞬間に-」をテーマに、アーティストたちの音楽への情熱が交差する「新たな共演」に注目が集まる。音楽祭の担当者は、「多くの人々によく知られたアーティストたちがこの音楽祭に集い、一期一会の音楽が生まれる。ぜひその瞬間に立ち会ってほしい」と語る。

なかでも象徴的なのが、篠崎史紀率いる「マイスター・アールト×ライジングスター オーケストラ」による、指揮者を置かない《第九》の上演だ(11月23日)。ソリストと合唱には東京オペラシンガーズが参加し、音楽の純粋なエネルギーが舞台上でぶつかり合う。篠崎は北九州市出身で、長らくNHK交響楽団特別コンサートマスターを務めた。地元に凱旋するこの公演は、まさに本音楽祭の目玉といえる。

篠崎史紀 ©︎井村重人

ベテランと若手が交差する、キャリアを超えた共演

もうひとつの注目公演が、若手ピアニスト・谷昂登と、世界最高峰の弦楽四重奏団であるハーゲン・クァルテットによる共演だ(11月15日)。谷は北九州市出身の新進気鋭のアーティスト。対するハーゲン・クァルテットは2026年で活動を終えることを発表しており、両者の共演はまさに貴重な機会となる。キャリアや世代を超えて交わる音楽が、会場に新たな緊張感と感動をもたらすだろう。

(左)谷昂登 ©︎井村重人、(右)ハーゲン・クァルテット ©︎Harald Hoffmann

さらに、本格的な共演が今回初となる上野耕平と住谷美帆によるサクソフォン・デュオ(11月9日)や、三浦一馬(バンドネオン)、関朋岳(ヴァイオリン)、佐藤晴真(チェロ)、ニュウニュウ(ピアノ)のスーパー・ソロイスツによるオール・ピアソラ・プログラム(11月29日)など、ここでしか体験できないラインナップが揃う。とりわけ「響ホールだからこそ、このメンバーで演奏したい」と実現に至ったピアソラのステージは、ホールの響きとプログラムが絶妙に融合する公演となるに違いない。

(左)上野耕平 ©︎Yuji Ueno、(右)住谷美帆

音楽との出会いを広げる、教育・特別プログラム

北九州国際音楽祭のもうひとつの魅力が、教育・特別プログラムの充実ぶりだ。クラシック音楽の“敷居の高さ”を取り払うため、さまざまな企画が用意されている。

そのひとつが、有料公演に関連する「楽しみかた聴きどころ講座」。出演アーティストの人柄や演奏背景に触れることで、聴衆が音楽をより深く味わえる仕組みとなっている。

また、教育プログラムでは、上野耕平や住谷美帆、三浦一馬らが中学生を対象に、篠崎史紀が幼稚園や小学校で鑑賞教室を行う。子どもたちが一流の演奏に触れることで、豊かな感性を育むことを目的としている。

特筆すべきは、3歳以上を対象に開催される特別プログラム「まるっとEnjoy!響ホールで夏休み<おんがくは まほう>」(8月10日)。無料(受取手数料のみ必要)で参加でき、演奏の鑑賞はもちろん、ステージ上での楽器の見学やホワイエでの弦楽器体験など、子どもたちが音楽と自然にふれあうことができる内容となっている。

本プログラムには、「響ホールは、世界中のアーティストに愛される北九州市の財産。このホールと音楽祭が、地域の人々にとって誇れる存在であることを感じていただきたい」という願いも込められている。

音楽の“入口”を広く開いて

クラシック音楽というジャンルが、ともすれば「難しい」「堅苦しい」といった先入観を持たれがちであるなか、北九州国際音楽祭は、自由で開かれた空間を提供している。気軽に足を運びながらも、本物の音楽に触れることができる。その体験が、多くの人々にとって新たな音楽との出会いとなっているのだ。

2025年の音楽祭では、ジャンルを超えた共演と観客の化学反応によって、まさに“今だけのきらめき”が生まれる。音楽の力が、人と人とをつなぎ、街を動かす。今年もまた、そんな瞬間に立ち会える季節がやってくる。

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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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