インドのパフォーマー・カーストや音楽事情の講座~慈善事業を考えるきっかけにも
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
以前、インドの西洋クラシック音楽事情についての連載「インドのモノ差し」を書かせてもらったことがありますが、実は私はもともと学生時代、インドの都市スラムの開発援助についての勉強をしていました。
今やすっかり生業はクラシック音楽分野の執筆業となりましたが、今もインドへの関心、研究していたスラムのみんなとの交流は続いています。
そのようなわけで今回、朝日カルチャーセンター立川教室で、インドの音楽事情についての講座をさせていただくことになりました。うれしい!
全2回、教室・オンライン受講が可能で、オンラインのほうは後日1週間ほどアーカイブを観ることができます。
とはいえ、インドの音楽といって真っ先に思い浮かぶであろう、シタールやタブラによる古典音楽についてのお話や、ボリウッド映画音楽の話はありません……。
メインは、西洋クラシック音楽の受容の歴史や現状について、現地の映像などを交えながらのご紹介となります。
加えて、私が研究していたスラム(本当はそんなふうに呼びたくないんですけど)に暮らす、民俗音楽を生業とするアーティスト……ロマ(ジプシー)のルーツと言われるカーストの人々(いわゆる不可触民にあたります)の暮らしぶり、普通に日本で暮らしていたら想像できないような価値観や生活習慣(結婚とか恋愛の話など、いろいろ衝撃的ですよ)もご紹介します。私ががっつりフィールドワークをしていた時代のレア映像もご紹介予定!
ちなみに、私が研究していたカーストの人々の簡単な紹介は、こちらの記事に。
今回の講座で話す予定の内容は、このような感じです。
[第1回] 4月2日(土)
- イギリスの植民地だったのに、なんで西洋クラシックがあまり普及しなかったか
- 指揮者、ズービン・メータが世界的スターになった背景
- ムンバイにある、インド唯一のプロオーケストラの内情
- 今なぜか西洋楽器を習うことがちょっとブームになっている…その意外な理由
- キーボードの代名詞「カシオ」、現地に生産拠点をもったヤマハなど、日本の楽器メーカーの奮闘
[第2回 ]4月23日(土)
- チェンナイの音楽院で「ロシアン・ピアノ・スタジオ」を名乗るクラスのインド人カリスマ指導者のお話
- コルカタの貧しい環境から神父さんに拾われ、ロンドン在住のチェリストになったインド人のお話
- インドの生活文化…大道芸人カーストのスラムの事例から
- インドの貧しい地域で西洋クラシック楽器を教えるプロジェクト、問題点と可能性とは?
予習は連載記事へ
東京は冷たい雨の1日でしたが、インドは今年、今日3/18が、春の訪れを祝い、色の粉をかけ合うホーリー。学生の頃フィールドワークしていたスラムの家族にビデオ通話で参加しろと言われ、ちょいお邪魔した。みんなテンション高いわー。
4月の朝日カルチャーセンターのインド講座でもご紹介するつもり! pic.twitter.com/eBuXfPtLMf— 高坂はる香(音楽ライター) (@classic_indobu) March 18, 2022
開発援助や教育、音楽教育支援というと、一見、なんでもすばらしいもののように感じてしまいがちですが、外部者が介入することによる思いもよらない悪影響が起きることもあります。そのあたりもしっかりご紹介することで、さまざまな、いわゆる“慈善事業”を見るうえでの視点を増やすきっかけにもしていただけたらと思います。
インドの西洋クラシック音楽事情にご興味のある方はもちろん、コロナが落ち着いたらインドに行ってみたいという方も、ぜひ! 私自身は、普通の観光はほぼしたことがないので、あまり役に立たないかもしれませんが、旅にまつわるご質問にもお答えしたいと思います。
ちなみに、参加者数に応じていただく講師料は、コロナ禍でますます生活が大変なスラムの人たちに、映像出演料としてお渡しするつもりです(今、パフォーマンスを撮り下ろししてもらっているのです)。
その意味で、みなさま、ぜひ! ご参加よろしくお願いします。
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