声楽への道は第三者に勧められがち? 二期会への取材裏話とハンサム四兄弟
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
普段ピアニストの取材が多い私ですが、ここ数年、声楽家のマネジメントを行なう二期会21でピックアップ・アーティストのインタビュー記事を何回か担当させていただいて、思うことがあります。
それというのは、声楽家のみなさんには、本人はあまり関心がないといっているのに、第三者からしつこく「声楽やらないの?」「歌が絶対向いてるって」といわれて、気づいたら声楽の道に進んでいた、という人が妙に多いということ。私がインタビューしている“母数”がそれほどの数ではないので、たまたまそういう方にあたっているだけなのかもしれませんし、中にはもちろん、子どもの頃から歌手に憧れていたという方もいらっしゃいます。
それにしても、なんだかずいぶん頻繁に「自分ではなんで誘われたのかわからないけど、すごく熱心に言われて歌の勉強をはじめた」という話を聞くのです。
しかも器楽の人では、まずそういうことはないですよね。両方習っていて、どちらかを専門にすることを勧められるというのならともかく、「ピアノを習っていたのに、突然ヴァイオリンをやったほうがいいと強く勧められた」とか、「バレー部でがんばっていたのに、ピアノを弾いたほうが向いているとスカウトされた」とか、まずありえないと思われます。でも、声楽の場合は、それに近いことが実際にあるという。
おそらく、身体自体が楽器であるから起きる現象なのでしょう。普段の声やキャラクターなどからピンときた大人や先生が、導きたくて仕方なくなって声をかけいているのだと思われます。
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というわけで、今回ご紹介するのは、そんな二期会所属の歌手たちによる「THE PRINCE PARK TOWER TOKYO ハンサム四兄弟 プレミアムディナー&コンサート」。
オペラの舞台でも活躍するバリトンのみなさんばかり4人が集う人気企画。それも、全員ハンサム!
……いや、最初、きっとご本人たちもノリノリでハンサムを自称してるんだろうな、すごいなやっぱり声楽の人たちってと思っていたんですけど、実際コンサートに行ってみると、4人ともちょっとだけ恥ずかしそうにしているという。なかなか和みます。
先日、紀尾井ホールの「ハンサム四兄弟」公演を聴きましたが、歌唱がすばらしいのはもちろん、トークも絶妙。楽しめること間違いなしであります。
コロナ禍で、声楽界、オペラ界はいろいろなことに神経を使いながら、舞台を動かし続けています。そんな中ではありますが、ディナーコンサートという特別な距離感ですばらしい歌声を聴くことができる、貴重な機会です。
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