アンドリス・ネルソンスが語る、ウィーン・フィル来日公演への思い
世界のオーケストラ界のリーダーの一人であり、引く手あまたの名指揮者、アンドリス・ネルソンス(1978年ラトビア生まれ)。この11月にサントリーホールが主催する「ウィーン・フィルハーモニー ウィーク イン ジャパン」での来日を控えて、最新のメッセージが届いた。ウィーン・フィルとネルソンスのこれまでの歩みや近況を交えつつ、以下にご紹介しよう。
1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...
ウィーン・フィルが早くから大切なパートナーとして認めていたネルソンス
アンドリス・ネルソンスが初めてウィーン・フィルと来日したのは2010年11月。
ジョルジュ・プレートル、フランツ・ウェルザー=メスト、アンドリス・ネルソンスという新旧世代の3人の指揮者が揃うという、過去に前例のない公演となったのを覚えておられる方も多いだろう。
あのときネルソンスはまだ31歳の新進気鋭だった。それほど若い指揮者を大切な日本公演に抜擢したということは、いかにウィーン・フィルがネルソンスを早くから高く評価していたかの証明になるだろう。
その後ネルソンスはまたたく間に世界の指揮界のトップクラスに躍り出た。
現在はボストン交響楽団の音楽監督、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターという、アメリカとヨーロッパの二つの重要なオーケストラを率いている。
もちろんウィーン・フィルともネルソンスは関係をさらに深めており、とりわけ「ベートーヴェン:交響曲全集」(ユニバーサル ミュージック)を、作曲家の生誕250年を翌年に控えた2019年にリリースしたことは、その象徴と言えるだろう。
▼アンドリス・ネルソンス(指揮)ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団「ベートーヴェン:交響曲全集」
ウィーン・フィルとの関係について、ネルソンスはこう語る。
「2010年の初共演以来、私はこのオーケストラとの強い結びつきを感じてきました。一緒にコンサートをするたびに、旧友に会うような、それでいて毎回新しい音楽の旅に出るような気持ちになります。
ウィーン・フィルは、深く根付いた伝統と美しく豊かな響き、そして音楽作りにおいて豊富なイマジネーションを持っています。
彼らとの共演は、私にとって大きな喜びであり、本当に光栄なことであり、長年にわたって素敵な関係が築けていることは、とても幸運なことだと思っています」
ボストン交響楽団の音楽監督、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターとして、両楽団間の先駆的な連携のリーダーシップを発揮し、今日の国際的な音楽舞台でもっとも著名で革新的な指揮者として位置づけられている。
ボストン響とは、ショスタコーヴィチ交響曲全曲と《ムツェンスク郡のマクベス夫人》の録音プロジェクトを行ない、4つのグラミー賞を獲得している。ラトヴィア国立オペラ管弦楽団のトランペット奏者としてキャリアをスタート。その一方で指揮も学びはじめ、2003~07年までラトヴィア国立オペラの音楽監督を務める。これまでにベルリン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウ管などとも共演、ロイヤル・オペラ・ハウス、バイロイト音楽祭などにも定期的に出演。ウィーン・フィルとはベートーヴェンの交響曲全曲録音を行なったほか、20年1月にはニューイヤー・コンサートを、22年にはシェーンブルン宮殿でのサマーナイト・コンサートを指揮した。©Terry Linke
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