北村朋幹がプリペアド・ピアノを弾く~その日その場所で何が見え、感じられるか
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
猿、もみじのてんぷら、箕面ビールで有名な、大阪の箕面市にある、箕面市立メイプルホール(ちなみに今調べたら、かつて観光の目玉的存在だった箕面のお猿さんは、2010年に餌やり禁止条例が出されて以来、人里ではほとんどお目にかかれなくなったようですね)。
こちらでこの秋の10月6日、ピアニスト、北村朋幹さんのリサイタルが行なわれます。しかもプログラムは、東京近郊での公演がファンの間で話題になった、ジョン・ケージの《プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード》を中心としたプログラム。
ピアノの弦にゴムやボルトを挟む細工の施されたプリペアド・ピアノで奏されるこの作品は、現代ピアノの範疇をこえた神秘的な響きが空間を満たし、普通のピアノ・リサイタルにはない、新しい体験をもたらしてくれるでしょう。
北村さんも公演によせるメッセージで語っていますが、その日その場所で何が見え、感じられるか、「始まってみるまでわからない度」が、いつも以上に高い。
彼はこの作品をすでに録音でもリリースしていますが、やっぱり生で聴いてこそ特殊な感興が起きることが必至の楽曲。さらに前半も、こだわりの男・北村さんがセレクトした、ケージにつながる美しいプログラムです。
サティ:「星たちの息子」第1幕への前奏曲“天職”
サティ:3つのグノシェンヌ
武満徹:for away
サティ:ジムノペディ第1番
ジョン・ケージ:プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード
公演詳細はこちら
それでこちらの公演、実は私が以前ご担当者から、「若く素晴らしい才能を招いて、トークをして演奏会を聴く企画をしましょう。どなたと話したいですか?」みたいな感じでお声がけいただいたところからスタートし、北村さんのお名前をお出しして決まった企画なので、公演前にはプレトークがございます。
さらには、私がこのリサイタルに近い日程で行なう全3回のピアニストをテーマとした講座で、公演前日の第2回に、なんと北村さんがトークゲストで登場してくださるという!
講師:高坂はる香
会場:メイプルホール 小ホール
申し込み締め切り:8月23日(火)
9月22日「今聴きたい、若手ピアニストの世界」
10月5日「北村さんに聞く、ジョン・ケージとプリペアド・ピアノの魅力」
10月13日「感動をシェアして、コンサートを2度楽しむ方法」
詳細はこちら
私が北村さんに初めてお会いしたのは2006年、彼が15歳で第3位に入賞した浜松国際ピアノコンクールの取材中でした。実は以後、ちゃんとインタビューする機会がなかなかなく、あのとき、ふとした発言からすでに独自路線に進みそうな気配ムンムンだった北村さんが、その後どんな思考を重ねて今のようになったのか、改めてお聞きできるということでとても楽しみです。
もちろん、ケージの作品を含む演目の聴きどころも伺うつもりなので、公演で受け取ることができるものも倍増するはず。
関西エリアのみなさま、ぜひ!
東京藝術大学に入学後、ベルリン芸術大学ピアノ科で学び最優秀の成績で卒業。
伊藤恵、エヴァ・ポブウォッカ、ライナー・ベッカーの各氏に師事。現在はフランクフルト音楽・舞台芸術大学に於いてイェスパー・クリステンセン氏のもと、歴史的奏法の研究に取り組んでいる。
オフィシャルサイト
http://tomoki-kitamura.com/
©TAKA MAYUMI
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