おうちフェス!フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2022 〜ワンランク上の配信体験のすすめ
18回目を迎える真夏のクラシック音楽祭「フェスタサマーミューザ KAWASAKI」。7月23日(土)〜8月11日(木・祝)におこなわれる全19公演には、日本屈指のオーケストラが続々登場。ピアノやオルガン、子ども向けコンサートなどもあり、毎日楽しい公演が待ち受けています!
1974年生まれ。東京藝術大学音楽学部楽理科卒業、同大学院修士課程修了。Maqcuqrie University(シドニー)通訳翻訳修士課程修了。2008年よりクラシ...
濃すぎるメンツで熱く語る、おうちフェスの楽しみ方!
サマーミューザの19公演はぜ〜んぶオンライン配信で、日本全国どこからでも、おうちや外出先でも楽しむことができます。
配信も行うのは今年で3回目。臨場感あふれるサウンドと映像が毎回大好評です。奏者の表情はもちろん、演奏前の楽員たちの楽しそうな様子なども映し出され、会場での鑑賞とはまた一味違った醍醐味も!
オンライン一般鑑賞券は、500円、1000円、1500円とリーズナブル。全19公演の「おまとめ券」はなんと12000円!
さて、ONTOMOでは、そんな「いい音・いい映像」のサマーミューザが
・どんなこだわりのもとに配信が行われているの?
・それを存分に満喫するために再生環境をワンランク・アップさせるには?
・今年の大注目プログラムは?
という3つのポイントから、熱く熱く語っていこう!という配信番組をお届けしました。
スペシャルゲストは、
サマーミューザの楽曲解説などでもおなじみの音楽ライター 飯尾洋一さん、
サマーミューザの配信映像を司る、映像プロデューサー&バランス・エンジニア 中嶋豪さん、
サマーミューザ全プログラムの構成を監修するミューザ川崎シンフォニーホール事業部長 山本浩さん、
さらに、おうちフェスにおすすめのイヤホンやスピーカーなどの機材のチョイスは、売れっ子オーディオ評論家の生形三郎さん。
スペシャル映像ゲストに、
指揮者の原田慶太楼さん、東京交響楽団コンサートマスターの水谷晃さんが登場!
このメンツだけでも濃い… 濃すぎる…
司会進行は、この記事を書いている飯田有抄です。私も毎年、サマーミューザのいくつかのプログラム解説の執筆を担当しています。
ここでは番組内でどんなことが語られたのか、ざっとご紹介していきます。ぜひ動画でもお楽しみくださいね!
コンサートの配信、その「いい映像・いい音声」とは?
大好評のサマーミューザの配信。きちんと再生すると、本当に会場にいるかのような気分に浸れます。どんな工夫のもとに、映像や音声を作っていらっしゃるのでしょう。中嶋さんに伺いました。
中嶋 4Kや8K、何ヘルツとか、数値的にスペックの高い映像や音が「いい映像・いい音声」かというと、決してそうではありません。コンサート映像としては、“何が映っているか”が重要。たとえば、ブルックナーの交響曲第4番《ロマンティック》なら、弦のトレモロから静かに始まり、そこから森の奥から聞こえるようにホルンの綺麗なソロが浮かび上がる。それに呼応して木管楽器が加わり……といったアンサンブルがある。じゃあ映像は、弦から始まるから、弦を撮りましょう、ホルンが吹いたからホルンを映しましょう……まぁ、それでもいいんだけれど、僕らはそれでは満足しない。もっと音楽的に映し出したい。
たとえば、ホルンが吹いてる時にも弦楽器がみんなで静かに弾いている。その美しいアンサンブルの様子をどのように映像にするかを真剣に考えます。オーケストラ全体の中で吹いているホルンに、だんだんとフォーカスしていくとかね、フルートとホルンが呼応している時は、やはり両方のアンサンブルを見せたい。最終的にはどの楽器が主導権を持つかによって、フォーカスを変えていく。見ている人たちが、できるだけ音楽を感じていただけるような映像、それが品質のいい映像だと思っています。そういうものをできるだけ撮りたいですね。
音については、ステレオの左右の広がりについては、広がりがあっていい音だねと皆さんよくおっしゃる。でも僕らがもう1つポイントにしているのは、奥行きなんです。手前の音が大きく録れればよいということではありません。各楽器にはスポットマイクも設置しています。オーボエは奥にいるけれども、奥にいながらその音色を活かすにはどうするか、そういったバランスなどをエンジニアは考えます。ミューザ川崎シンフォニーホールがもつきれいな響きのなかで、各楽器の音色を活かしつつ、奥行きを出せるように探求しています。
ワンランク上の再生を! おすすめ機材はコレだ!
せっかくの「いい映像・いい音声」のサマーミューザ。おうちでできるだけよい再生環境で楽しみたくなります。そこで、オーディオ評論家の生形三郎さんから、お手頃価格ながら、クオリティはバッチリ、という機材をチョイスしてもらいました。ご紹介するのは、イヤホン・ヘッドホン・DAC・スピーカーの4種類です。どれか1つでも取り入れてみると、配信体験がガラリと変わるかも?! 番組では生形さんからのコメントも紹介しました。
(1)イヤホン:テクニクス AZ60(26,000円程度)
「完全ワイヤレス、ノイズキャンセリングモデルです。テクニクスならではの『ナチュラルな音』で、クラシックにもおすすめ。ノイズキャンセリングは不要という方にはAZ40もあります」(生形さん)
飯尾 僕は普段イヤホンは使わないけれど、これは使えるなぁ!という感じ。音の性格は明るいですね。
飯田 クリアに聞こえてスッキリした開放感もありますね。
右: テクニクス AZ40(15,000円程度)
(2)ヘッドフォン:パナソニック RP-HD610N(15,000円程度)
「こちらもノイズキャンセル、ワイヤレスモデルです。ヘッドフォンは振動板がイヤホンより大きい分、もう少し迫力が出ます。クラシックを楽しむには、味付けにクセのないこちらがおすすめです」(生形さん)
飯尾 いいですよ。解像度が高く、ナチュラル。こちらも明るめのサウンド。お値段もお手頃ですね。
飯田 こちらも硬質すぎない程度にクリアなサウンド。音の透明感を感じさせてくれますね。
(3)USB-DAC:アイファイオーディオ ZEN DAC (22,000円程度)
「パソコンからのデジタル音源を再生する機器です。すでにお持ちのお気に入りのイヤホンやヘッドフォン、家に眠っているミニコンポなどにつないで活かすことができます。
ZEN DACはコストパフォーマンスが非常に高いです。派手な音がするわけではなく、クセがなく、オールマイティなジャンルに対応。クラシックとの相性もよいです」(生形さん)
飯田 私が日頃愛用するAKGのヘッドフォンとの組み合わせでは、すごい臨場感でした!
飯尾 僕もいつもAKGを使っているんですが、自然体で味わいあるヘッドフォンの特性が活かされて、コンサートホールの体験に近い音が聞こえました。
(4)アクティブスピーカー:クリプトン KS-33(79,800円)
「6月下旬に発売の素晴らしい製品です。アクティブスピーカーはスマホやタブレットからBluetoothで繋いだり、パソコンからUSBケーブルでつないだり、テレビのデジタルアウトからつなぐこともできます。アンプが入っているので1台で完結。コンパクトですが、スケールが大きいスピーカー。クリプトンが妥協のない迫力ある音を楽しませてくれます」(生形さん)
中嶋 とてもよくてビックリしました!音像がきちんと真ん中に現れて、立体感・奥行きも感じられました。
(5)山本さんおすすめ、テレビ「鑑賞会」
山本 iPhoneやiPadなどのライトニングの端子をHDMI変換ケーブルにつなげば、テレビに接続することができます。音と映像の両方がテレビに伝送されますので、大きな画面でサマーミューザをお楽しみいただけます。
ヨウイチ&アリサのおすすめ公演!
サマーミューザ19公演全部聴きたいけれど、なかなかそれも難しいという方にむけて、飯尾洋一さんと飯田有抄がムリヤリ3公演ずつピックアップしたおすすめ公演もご紹介!
飯尾 3つ選んでって言われたんですけどね、3つだけってすごく困るんですけど、それでもなんとか選びました。こちらです。
東響はある意味このフェスのホスト・オケ。オープニングの指揮は音楽監督ジョナサン・ノットで、特別な輝きがあるコンビ。ノットらしい凝ったプログラムで、メインはラヴェルの《ラ・ヴァルス》。この音楽祭の打ち上げ花火のような公演。
アンサンブル能力の高い楽団。首席客演指揮者のアラン・ギルバートを招いてラフマニノフの《交響的舞曲》をやります。僕はラフマニノフの最高傑作だと思います。土の香りのするようなロマンティズムと都会的なセンスもある。
桂冠指揮者のダン・エッティンガーとの名コンビ。語り口が雄弁なオーケストラで、《シェエラザード》はピッタリの選曲。オーケストラを聴く醍醐味を満喫できそう。
飯田 私も選んでみました。3公演中、2公演は同じ日、同じ時間です!まさに、どちらかを配信で聴くしかありませんが、両方聴けることのありがたさを実感できます!
大阪のオーケストラ・サウンドを楽しめる絶好の機会。イギリス音楽の巨匠、尾高忠明さんの指揮です。エルガーの「交響曲第1番」が聴きたい!
飯尾 エルガーの第1番はマエストロにとって伝家の宝刀のような作品。大フィルは関西の雄ですね。
(2)8月6日 サマーナイト・ジャズ チック・コリア トリビュートVol.2
昨年逝去されたアメリカのジャズ・ピアニストのチック・コリアを偲んでの公演。普段クラシックを聴く方々も、本格的なジャズを名演奏家たちで聴けるのがうれしいです。
山本 「チック・コリア・トリビュート」は、8月4日の東京シティ・フィルの公演でも特別プログラムを組んでいます。生前チック・コリアがぜひやりたいと言っていたプログラム。腕利きのメンバーが揃います。
(3)8月6日 出張サマーミューザ@しんゆり! 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
会場は昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワです。チャイコフスキー、サン=サーンス、ベートーヴェンのピアノ協奏曲3曲が演奏されます! ソリストは横山幸雄、古海行子、進藤実優。ベテラン横山さんと、昨秋のショパン国際ピアノコンクールでも活躍を見せた古海さんと進藤さんが登場。これは楽しみです!
ところで、中嶋さんのおすすめも気になりますね。
中嶋 僕はもう全部おすすめ!オルガンも洗足学園のバレエも大植さんのも井上さんのも三浦文彰くんのブルッフも小川さんとラシュコフスキーの《春の祭典》も……(列挙が続く)……、でも、一番のおすすめは8月3日の新日本フィルの山本直純特集!僕は直純さんの2時間のドキュメンタリーを作ったこともあって、直純さんにシンパシーがあるんだけど、彼は小澤征爾さんが「天才」と言った人。《和楽器と管弦楽のためのカプリチオ》はめずらしい曲だし、《交響譚詩 シンフォニック・バラード》は音楽番組「オーケストラがやってきた」の最終回のために書かれた曲で、かっこいい。広上さんがどう振るのか楽しみです。
飯田 山本さんは全体のプログラムを監修されていますね。
山本 サマーミューザはオーケストラの甲子園です。それぞれの得意なプログラムを演奏します。毎日様変わりで飽きずに楽しめるように構成していますから、毎日来ていただいても、配信で見ていただいても、いつでも何かしらの新しい発見があるように作っています。ぜひお楽しみください。
あのおふたりからビデオメッセージ!
配信に先立って、フィナーレコンサートに登場される東京交響楽団の正指揮者の原田慶太楼さんと、コンサートマスターの水谷晃さんからメッセージをいただきました!
ますます楽しみになってきたフェスタサマーミューザ KAWASAKI 2022。会場でも、おうちでも、充実のプログラムを堪能しましょう!
ONTOMO配信番組アーカイブでぜひ予習を!
日時:2022年7月23日~8月11日
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール ほか
全19公演2通りの楽しみ方:ホール座席券、オンライン鑑賞券
*それぞれお得なセット券、おまとめ券あり
主催:川崎市、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市文化財団グループ)
共催:昭和音楽大学(7/31, 8/6)
後援:川崎市教育委員会、公益社団法人 日本オーケストラ連盟、J-WAVE、OTTAVA
映像・音響制作:YouClassics
配信協力:株式会社ぶらあぼホールディングス、エヌ・ティ・ティ・スマートコネクト株式会社
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
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