イベント
2020.03.18
東京芸術劇場/特集「人がホールをつくる」

様変わりする池袋で幅広い層にアプローチ!〜東京芸術劇場

今年30周年を迎える池袋の東京芸術劇場。芸術監督の野田秀樹による演劇とのコラボや、劇場の特色を生かした企画、公の施設としての教育・育成など、幅広い層に働きかけている活動をチェック!

ナビゲーター
片桐卓也
ナビゲーター
片桐卓也 音楽ライター

1956年福島県福島市生まれ。早稲田大学卒業。在学中からフリーランスの編集者&ライターとして仕事を始める。1990年頃からクラシック音楽の取材に関わり、以後「音楽の友...

メインビジュアル:オペラ《フィガロの結婚》“庭師は見た!”©Hikaru.☆
写真提供:東京芸術劇場

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オープンから脈々とつづくオーケストラの歴史

東京芸術劇場が池袋・西口にオープンしたのは1990年10月30日のこと。2020年で開館30周年を迎える。

1999席の大きなコンサートホールをはじめ、プレイハウスと呼ばれる演劇・パフォーマンスのための中劇場、シアターイースト、シアターウェストと呼ばれる小劇場、そしてリハーサルルーム、シンフォニースペース、ギャラリーなども併設されている。

東京芸術劇場は、大小4つのホールのほか、練習やリハーサル用にも多くの部屋を備えている。

1990年10月31日のオープニング公演は若杉弘指揮、東京都交響楽団によるベートーヴェンの交響曲第9番《合唱付き》で、11月10〜25日にはジュゼッペ・シノーポリの指揮で、イギリスの名門フィルハーモニア管弦楽団によるマーラー・チクルス(交響曲全曲演奏会)が行なわれ、当時、クラシック音楽ファンの間で大きな話題となった。また12月には在京オーケストラによる「第九」の特別公演が次々と行なわれた。

「東京芸術劇場は日本を代表するコンサートホールとして、一流のオーケストラが常にここで演奏しているというイメージがあると思います。また、アマチュアのオーケストラの演奏会もよく開催されています。オーケストラの響きを聴くなら、そしてオーケストラで演奏するなら東京芸術劇場で、というイメージは、これからも大切にしていきたいと思っています」

こう語るのは、コンサートホール・ジェネラルマネージャーの鈴木順子さん。

東京芸術劇場の事業企画課長コンサートホール・ジェネラルマネージャーの鈴木順子さん。

2020年1月末には、オープニング公演の記憶を呼び覚ますかのように、フィンランドの指揮者/作曲家であるサロネンの指揮でフィルハーモニア管弦楽団の3回のコンサートが行なわれ、共演した庄司紗矢香の熱演ともども、記憶に残るコンサートとなった。

「今シーズンも<海外オーケストラシリーズ>として、ミヒャエル・バルケ指揮アルトゥーロ・トスカニーニ・フィルハーモニー管弦楽団4月30日、9月にはサイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団9月29日、10月にはトゥガン・ソヒエフ指揮パリ管弦楽団(10月24日)の公演が行なわれます」(鈴木さん)

恒例の読響の2シリーズや回転式オルガン企画も見逃せない!

東京のオーケストラの中では、読売日本交響楽団と事業提携を行なっている。<マエストロシリーズ>と題された読売日本交響楽団の公演では、海外の著名な指揮者を招いているが、2020年12月の公演ではマキシム・パスカルが登場し、注目の若手ピアニスト・反田恭平と共演する(12月4日)。

また、読売日本交響楽団は「読響 土曜・日曜マチネーシリーズ」公演を、土曜・日曜の14時から、それぞれ年10回行なっている。

パイプオルガンも重要な存在だ。回転式でクラシック面、モダン面という2つの“顔”を持つオルガンは、世界でここだけ。ランチタイム(奇数月/12:15開演で約30分間)と、ナイトタイム(12月を除く偶数月/19:30開演で約60分間)の2つのコンサートシリーズがある。

8月には、一般社団法人日本オルガニスト協会の主催により「オルガンは回る〜トウキョウ・オルガン・マラソン〜」(8月19〜23日)という、世界各国のオルガン作品が演奏されるユニークな企画も開催され、オルガンが回転するのを期間中(8月23日を除く)は毎日正午に見ることができる。

コンサートホールには、フランス製の回転式パイプオルガンを備えている。こちらはフランス・シンフォニック様式の面。
ルネサンス・バロック様式の面。

公共ホールとして教育普及に努める

「人材育成、教育普及活動にも力を入れています。芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー、芸劇ジュニア・アンサンブル・アカデミーの2つのアカデミーは長く活動を続けてきました。

また、エル・システマジャパンと協力して、2017年から東京ホワイトハンドコーラスを開催していますが、これは障がいをもつ子どもたちと健常の子どもたちも参加する団体で、いわゆる“共生”をテーマにした活動となります」

その東京ホワイトハンドコーラスも参加する「世界こども音楽祭2020 in 東京」が8月に開催されるが、そこではベートーヴェンの「第九」が子どもたちによって披露される。

東京芸術劇場での東京ホワイトハンドコーラスの練習の様子(2018年)

さらに、作曲家の藤倉大がアーティスティック・ディレクターを務める「ボンクリ・フェス2020」(9月25・26日)は、いま世界でもっとも“新しい音”を聴くことができる現代音楽のフェスとして注目を集めている。

「2020年はベートーヴェン生誕250周年で、特別に<ミーツ・ベートーヴェン・シリーズ>を開催しています。1月に終わった第1回の仲道郁代さんのあとは、清塚信也さん5月22日や山下洋輔さん(10月16日)、清水和音さん(12月15日)といった、日本を代表するピアニストによる注目の公演です」(鈴木さん)

東京芸術劇場の2020〜21シーズンは、まだまだ書ききれないほどの公演がある。筆者なりに考えたオススメ公演を以下に3つあげておく。

ナビゲーターがオススメする3つの企画

1. オペラ《フィガロの結婚》“庭師は見た!”

日程: 10月30日(金)、11月1日(日)

2015年に全国で上演された、芸術監督・野田秀樹の演出によるモーツァルトの傑作オペラの再演で、井上道義が指揮。東京芸術劇場開館30周年の日に上演される。

他のジャンルで活躍するアーティストが演出する、毎年恒例のシアターオペラ・シリーズは、開館30周年を記念した目玉企画。写真は2015年初演時のもの。
©Hikaru.☆

2. ボンクリ・フェス2020

日程: 9月25・26日(金・土)

今年で4回目となるフェス。東京芸術劇場のさまざまな施設を使って、午前中から夜まで楽しめる最先端の音楽を集めたフェスティバル。スペシャル・コンサートでは坂本龍一の新作も披露される。

3. NEO-SYMPHONIC JAZZ at 芸劇

日程: 8月16日(日)

グラミー賞にノミネートされるなど世界的に注目を集める、ジャズ作曲家・挾間美帆を構成・作編曲に迎え、クラシックのオーケストラによって、ジャズとクラシックの要素を共にもつ音楽が次々と登場する。オーケストラはニコラス・バック指揮の東京フィルハーモニー交響楽団。

東京芸術劇場

[運営](公財)東京都歴史文化財団

[座席数] コンサートホール1999席

プレイハウス834席+立ち見90人

シアターイースト272~324席

シアターウエスト195~257席

[オープン]1990年

[住所]〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-8-1

[問い合わせ]東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296(休館日を除く10:00〜19:00)

https://www.geigeki.jp/

ナビゲーター
片桐卓也
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片桐卓也 音楽ライター

1956年福島県福島市生まれ。早稲田大学卒業。在学中からフリーランスの編集者&ライターとして仕事を始める。1990年頃からクラシック音楽の取材に関わり、以後「音楽の友...

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