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シューベルト「ピアノ・ソナタ第21番」~強い表出力に心のリミッターを外される恐怖

シューベルトの歌曲《野ばら》の歌詞には、作者であるドイツの文豪・ゲーテの恋愛模様が見え隠れしている!? 若きゲーテがこの詩を書いた背景について深掘りします。ドイツ文学界きってのモテ男でもあったゲーテの恋が、人気歌曲から露わに……!

京都産業大学外国語学部准教授。専門は18世紀の文学と美学。「近代ドイツにおける芸術鑑賞の誕生」をテーマに研究し、ドイツ・カッセル大学で博士号(哲学)を取得。ドイツ音楽...
シューベルトの歌曲《野ばら》は、もっとも有名なドイツ歌曲の一つ。軽快なリズムや繰り返し歌われる「野中のばら」というフレーズが印象的である。
この曲の歌詞になっているのは、ゲーテの詩「野ばら」。シューベルトは、若い頃からゲーテの詩に曲をつけていた。その熱意はすさまじく、完成した楽譜を詩人の元へ送ったほどだ。その中には、《野ばら》のほかにも、《魔王》や《糸を紡ぐグレートヒェン》が含まれていたという。
残念ながら、シューベルトの小包は、返事も添えられずに戻ってきてしまった。すでに文豪として知られていたゲーテには、急に届いた楽譜を見る時間などなかったのだろう。
シューベルト:『ゲーテ歌曲集』







