【Q&A】「題名プロ塾」でプロデビュー堀内優里さん、ヴァイオリンとヴィオラの二刀流
月刊誌『音楽の友』で、若手演奏家を紹介している連載「フレッシュ・アーティスト・ファイル」。当記事は雑誌のインタビューとはひと味ちがう切り口で、演奏家たちの素顔を紹介していきます。第13回は、ヴァイオリン、ヴィオラ奏者の堀内優里さんにご登場いただきました。
1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
1999年生まれ。大学3年在学中にテレビ朝日『題名のない音楽会』の葉加瀬太郎「題名プロ塾」にてプロ・デビュー。現在はアメリカのインディアナ大学ジェイコブズスクール大学院にて、ジェイムズ・エーネスに師事。ソリスト、室内楽奏者として多彩な活動をみせる彼女に、これまでの歩みや現在をききました。
ジェイムズ・エーネスに憧れて
Q1 「題名プロ塾」(テレビ朝日『題名のない音楽会』の葉加瀬太郎プロデュースの企画)に応募した理由は?
朝練習の休憩中にクァルテットのメンバーと『題名のない音楽会』を観ていたら、「題名プロ塾」の応募者募集のテロップが流れて(!) メンバーが「受けなよ!」と勧めてくれました。
私はクラシック音楽以外にもポップスやジャズを演奏することが好きなので、葉加瀬太郎さんから学べることはすごく大きいと思い、自分で応募しました。
Q2 ヴァイオリン、ヴィオラを始めたきっかけは?
4歳のころ、父親におもちゃのヴァイオリンを買ってもらったのがきっかけです。中学生のときに藤原浜雄先生に師事したいと思い、音楽高校に進学しました。入学後は周りの生徒たちの影響をすごく受けて、朝5時から学校に行って、夜10時まで練習する学生時代を送っていました。
ヴィオラは高校2年生のときに弦楽四重奏で弾く機会があり、以来、楽器の魅力に惹きつけられています。室内楽でヴィオラを弾くのが大好きで、以来ずっと演奏を続けています。インディアナ大学でも、秋からヴィオラを本格的に勉強する予定です。
Q3 二刀流奏者を目指した理由は?
高校生のころにジェイムズ・エーネス先生のバルトークのアルバム(ヴァイオリン協奏曲第1,2番・ヴィオラ協奏曲)を聴いて、こんなにも楽器を自由自在に操る演奏家がいるんだ! と衝撃を受けました。以来エーネス先生のような演奏家になりたいと思い、ヴァイオリンとヴィオラ、どちらも力を入れてきました。いま、エーネス先生に師事できていることが幸せです。
大切な作品はラヴェル「ピアノ三重奏曲」
Q4 ニックネームを教えて。
「ほりゆり」です。
Q5 出身地は?
長野県長野市出身です。善光寺の近くで生まれました。生まれてからわりととすぐに家族で東京に引っ越しましたが、毎年祖父母の家に遊びに行って、冬はスキーやスケートをしていました。
Q6 自身をどんな性格だと思う?
マイペースかな。「ゆったりしてるね」と言われることも多いので、穏やかなタイプだと思います。頑固な面もありますが(笑)。
Q7 好きな食べ物はなに?
じゃがいもとチョコレート! じゃがいもはマッシュポテトや、シンプルに蒸したものがいちばん好き。フライドポテトも太めが好きです。チョコレートは毎日練習の合間に食べます。毎年開催される日本での「サロン・デュ・ショコラ」には命を懸けています(笑)。カタログを見ながら「今年はどれを買おうかな」と計画をする時間が楽しいです。
Q8 本番前の勝負飯は?
特別なものはないですね。強いていえばバナナかな。本番後に足が吊ってしまうことが多くて、カリウムが豊富でよいとされているバナナを食べています。
Q9 好きな作曲家は?
ラヴェルとバルトークです。
ラヴェル「ピアノ三重奏曲」は私にとって特別な作品、宝物のような存在です。亡くなったチェリストの山本栞路さん(2002~2023)と、ピアノの望月晶さん(1999~ )と組んでいた「トリオ・スペラ」でよく演奏した作品でした。
バルトークは作品を演奏、聴くことも好きですが、大学院修士課程で研究対象にして卒業論文をまとめました。
Q10 いつか演奏してみたい曲は?
コルンゴルトとエルガーの「ヴァイオリン協奏曲」。エルンスト《夏の名残のバラ》も、子どものころからヴィクトリア・ムローヴァの演奏を聴いていて、ずっと憧れの曲です。両親は音楽家ではないのですが、父親がジャズ好きで、家に大量のCDがありました。
Q11 憧れの演奏家と好きな演奏は?
ジェイムズ・エーネス先生とアウグスティン・ハーデリヒさん。
好きな演奏は…… エーネス先生はパガニーニ《24のカプリース》、ハーデリヒさんは エイミー・ビーチ《ロマンス》ですね。
”ライヴ”の時間をどれだけよいものにするか
Q12 練習にルーティンはある?
まず、取り組んでいる作品を1/2倍のテンポに落としてゆっくり弾きます。
Q13 音楽や、楽器の練習を「辛い」と感じたこと、時期はある?
音楽高校から音楽大学に進級するときに、自分は音楽で生きていけるだろうか…… と悩んでいて、練習も辛いと感じることもありました。一般の大学に進学しようと考えて藤原浜雄先生に相談をしたら、「あなたは音大にいくべき、音楽を続けるべきだよ」と背中を押していただき、音楽大学に進学することを決意しました。進学後も悩みは尽きませんでしたが、『題名のない音楽会』でプロ・デビューが決まり、これが音楽人生の転機になったと思います。
今年に入って藤原浜雄先生と共演する機会があり、あのときに音楽を続ける選択をして本当によかったなと思いました。
Q14 座右の銘は?
「しなやかに美しく」。音楽に限らず、物事を考えるうえで大切にしています。
Q15 1日お休みがあったら、なにをしたい?
滝を見るのが好きで、滝行をしてみたいです。星を眺めるのも好きで、子どものころはサンタさんに家庭用のプラネタリウムをプレゼントしてもらって、それを押し入れの中で眺めていました(笑)。
あと、ハイキングにも行きたいです!
Q16 最近読んだ本は?
ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』を読みました。少し前だと、今年7月のリサイタルで、コルンゴルト「組曲《から騒ぎ》」を弾いたのですが、これをきっかけにシェイクスピアの同名小説を英語版で読みました。難しかった……。
ドストエフスキーやカフカの作品にはまっていた時期があったり、シェイクスピアも好きだったり…… どちらかというと古典文学が好きかもしれませんね。『西の魔女が死んだ』で有名な梨木香歩さんの作品も好きです。
Q17 好きな映画は?
1作に絞るのは難しいけれども、『ショーシャンクの空に』かな。最近は『ウィキッド』を観て、感動しました。後篇がとても楽しみです。
Q18 趣味は?
ゲームです。ゲームは夢中になってつい徹夜してしまうので、スマホにはアプリを入れないようにしています(笑)。とくに『ファイナルファンタジー』シリーズが大好き。音楽がすばらしくて、いつか自分で楽曲を演奏して発信したいと思っています。
Q19 音楽家としての夢を教えて。
多くのかたに音楽を届けたい、おもしろいと思ってもらえるような演奏会を作りたいです。
私自身、「クラシック音楽はこうでなくてはいけない」という概念はなくて、クラシック音楽にいろいろなジャンルを融合させた音楽がすごくおもしろいと思っています。演奏会ではワインを組み合わせみたり、ジャズ要素もふくんだ楽曲を演奏してみたり…… 「音楽」をどれだけ多くのかたに楽しんでいただくかを日々模索しています。
でもやっぱりクラシック音楽が好きなので、クラシックの枠を越えて、クラシックを届けたいという思いもあります。“ライヴ”だからこそ、その時間をどれだけよいものにできるかというのが、すごい大事だと思います。
Q20 20年後、どんな自分になっていたい?
音楽を発信し続けていたいです。いろいろな国に行って、演奏したい!
[神戸公演]
日時・会場:10月13日15時・神戸朝日ホール
[東京公演]
日時・会場:10月17日19時・第一生命ホール
[名古屋公演]
日時・会場:10月28日19時・名古屋ホール
出演:堀内優里(vn)、小林萌花(p)、高松亜衣(vn)
曲目:モーツァルト《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》第1楽章、他
問合せ:concert@tacticart.co.jp/03-5579-6704
※詳細はこちらから
▼チケット購入は「teket」から
神戸公演
https://teket.jp/5288/51047
東京公演
https://teket.jp/5288/51048
名古屋公演
https://teket.jp/5288/51050
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