【Q&A】次世代カウンターテナー・上村誠一さん~合唱が原点。自分らしさを大切に
月刊誌『音楽の友』で、若手演奏家を紹介している連載「フレッシュ・アーティスト・ファイル」。当記事は雑誌のインタビューとはひと味ちがう切り口で、演奏家たちの素顔を紹介していきます。第2回は、春に初ソロ・アルバム『私を束ねないで』をリリースした注目のカウンターテナー・上村誠一さん。
1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...
1998年生まれ、福島県郡山市出身。中学・高校時代はNHK全国学校音楽コンクール全国大会常連校で合唱を歌い、その後国立音楽大学・大学院で声楽を学んだ。現在はソロ活動に加え、東京混声合唱団史上初のカウンターテナーのレジデントメンバーとして在籍、さらに5つの合唱団体を主宰するなど多彩な活動を展開している。
出身地・福島を愛する声楽家
Q1 ニックネームを教えて!
かみむー、せいちゃんです。かみくん、かみちゃんと呼ぶ人もいます。
Q2 出身地(福島県・郡山市)はどんなところ?
とにかく広いですね。街があり、自然があり、さまざまな景色が楽しめる土地です。駅など人通りの多い街を抜けると田園風景が広がっているのですが、そこは車道も広くドライブにも最適です。
Q3 自身をどんな性格だと思う?
明るくて、ポジティブだと思います。ですが、自分が思っているよりも、周りの人から見ると繊細なのかなと感じます。
Q4 好きな食べ物は?
果物が好きです。桃が大好きです!(福島県の特産品!)
Q5 本番前の勝負メシはある?
本番の日の朝ご飯には、馬刺しの赤身を食べます。
Q6 体調管理の秘訣は?
自分を大切にすること。自分を愛すること。無理をしないこと! です。
授かった声は自分で守り、大切にする
Q7 好きな作曲家は?
ロジャー・クィルター(1877-1953)です。耳なじみがよくて、チャーミング、おしゃれな作品が多いと思います。おちゃめな部分もありがら、気品がある。英国紳士のようなスマートな雰囲気に憧れます。僕もそんな人になりたい!
Q8 人生を変えた一曲は?
僕の合唱の原点といえる作品が木下牧子さんの《春に》です。小学生のころ、福島市音楽堂で同級生とこの歌を歌った思い出はいまでも忘れられません。「この気持ちはなんだろう」から始まる歌詞は、シンプルだからこそ、聴く・歌う年齢によって感じかたが変化します。僕の大好きな作品です。
Q9 いま好きな曲は?
東京ディズニーシーのアトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」で流れているBGM。ここ半年ぐらいずっと聴いています。
Q10 歌の練習で大事にしていることは?
無理をしないこと。
周りの人によく言われるのが、「カウンターテナーの声は『手に入れた』のではなく『授かったもの』である」ということ。授かった声は、自分で大切に守っていかなくてはなりません。あ、でも譜読みが追いついていないときは、多少の無理をすることはあります(苦笑)。
Q11 楽譜に書き込みはする?
フレージングや息の流れ、歌心をどのように感じてまとめたいかなど、すべて「矢印」で書き込むことが多いです。なので、僕の楽譜は地図のように「矢印」がたくさん交差しています。
Q12 いつか演奏してみたい曲は?
20代のうちに、もっといえば1年以内に、ヘンデル《メサイア》のソリストを全曲やりたいです。いつか僕にしかできない音楽を《メサイア》を通して見つけたい、と思うくらい憧れの作品です。
そしていつか、三善晃先生の合唱曲《唱歌の四季》を、僕の指揮と合唱団とともに、オーケストラ伴奏で演奏してみたいです。
Q13 座右の銘は?
正解を選択するのではなく、選択を正解にする。
正解はきっとその場ごとに変わってくると考えるので、自分のした選択から自分自身がどう動くか。これに尽きると思います。
自由に、軽やかに、進むべき道を歩む
Q14 マイブームは?
車の運転。週に4~5日は運転しています。いつか自分の車が欲しいです。
Q15 好きな映画作品は?
一人で映画を観に行くことが好きです。忘れられない作品は、『裸足になって』(ムニア・メドゥール監督・脚本/フランス・アルジェリア合作/2022)です。
Q16 好きなファッション・ブランドは?
値段やブランドにかかわらず、自分に似合うと感じたものを買っています。インターネットで服を探すのも好きで、日常で着る服よりも舞台衣装を見ている時間がとてもワクワクします。
Q17 髪型はどう決めている?
自然に生きていたら、この髪型になりました。ここ4年ぐらいこの髪型です。
Q18 会ってみたい作曲家は?
三善晃先生。学生時代にNHK全国学校音楽コンクールでライバル校が歌っているのを聴いて、三善先生の作品に衝撃を受けた経験があります。生前にお会いして話す機会はありませんでしたが、三善先生の静かな佇まいのお姿だけでも眺めてみたいですね。
Q19 これまで歌を続けてこられた理由は?
歌が自分に合っていたからというのはもちろん、自分が自分であることを、家族や友人が受け入れてくれたから続けてこられたのだと思います。僕は、見た目も含めていわゆる「普通」ではないかもしれない。でも両親は、僕が僕であるために、自分が進んでいる道を否定しない。家族の支えが、歌を続けてこられた理由だと思います。
Q20 20年後、どうなっていたい?
黒髪になっても、「カウンターテナーの上村さんですよね?」と言ってもらえるような歌を歌いたい。いまよりもっと自分らしさを濃厚にしていきたい。
日時:2025年2月9日(日)※時間未定
会場:紀尾井ホール
演奏:上村誠一(C-T)、松下倫士(p)
曲目:面川倫一《わたしを束ねないで》、クィルター《3つのシェイクスピアの歌》、他
〈録音〉2023年[C COCQ-85622]
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