
ヴァイオリニスト石上真由子が魅入られた「濃い」作品~そこに潜む「情念」を描きたい

ヴァイオリンの石上真由子とピアノの江崎萌子はDUO M&Mと名づけたデュオを組み、自然な呼吸感で「ふたりでひとり」を実現できるベストパートナーを目指している。
そんなふたりが3月6日、浜離宮朝日ホールで「デュオ・リサイタル~情念~」を行なう。その選曲の意図、作品への取り組み、デュオの醍醐味などを石上真由子に思う存分語っていただいた。

東京音楽大学卒業。レコード会社勤務、ピアノ専門誌「ショパン」編集長を経てフリーに。クラシック音楽をより幅広い人々に聴いてほしいとの考えから、音楽専門誌に限らず、新聞、...
西村朗の濃厚な作品世界にとりつかれて
プログラムはシマノフスキ《神話》、西村朗《ヴァイオリン独奏のための「モノローグ」》、ブラームス「ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番」、西村朗「微睡Ⅰ(まどろみ)」、シューマン「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番」という構成。
石上 プログラムは西村先生の作品を弾きたいという強い思いがあり、2曲が先に決まりました。
昨年7月、西村先生の弦楽四重奏曲を演奏する機会があり、初めて取り組んだのですが、情念的で色彩感が濃厚で、人間の体温を感じさせるような曲。想像を絶する難しさで、もう一生弾きたくないと思ったほどです(笑)。
ところが終了後、西村オーラから離れることができず、ヴァイオリンや室内楽の楽譜をすべて入手しました。先生の奥さまにお目にかかったのですが、ものすごく演奏を褒めてくださり、きっと喜んでいると思います、とおっしゃってくださった。以後、私はとりつかれたように西村作品の譜読みをし、今回の曲を選びました。
江崎さんとは常に「対話」をテーマにし、ヴァイオリンとピアノが対等にアンサンブルをすることを心がけています。西村朗「モノローグ」のあとにはブラームスで、対極にあるアンサンブルをしようと考えています。

日本音楽コンクールをはじめ、国内外で優勝・受賞多数。東京交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、大阪交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、ブラショフ国立交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、旧 東京ニューシティ管弦楽団、セントラル愛知交響楽団、愛知室内オーケストラ、山形交響楽団など、国内外で多数のオーケストラと共演。Charlottesville Chamber Music Festival・Elba Isola Musicale d'Europa・Lobero Theatre Chamber Music Project等、欧米各地の音楽祭・演奏会に出演。長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山メンバー。ポラリス国際音楽祭アドバイザー。室内楽コンサートシリーズEnsemble Amoibe主宰。Music Dialogue、CHANEL室内楽、京都コンサートホール、公共ホール音楽活性化事業登録アーティスト。京都市芸術新人賞、音楽クリティック・クラブ賞、大阪文化祭賞、青山音楽賞、藤堂音楽賞受賞。日本コロムビアよりCD「ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ」、「ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番」、ALTUSより「ラヴェル:ツィガーヌ」、キングレコードより「ブルックナー&ミヨー」、ワオンレコードより「二十四氣(平野一郎作曲)」好評発売中。令和6年度(第43回)京都府文化賞受賞。2025年8月、キングレコードよりCD「他人の顔」(ピアノ:江崎萌子)をリリース。https://www.mayukoishigami.com
©Masatoshi Yamashiro

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス大ホール、パリ・フィルハーモニーブーレーズホールにてソリストを務めたのをはじめ、日本、ドイツ、フランスを中心に演奏活動を行う。これまでに東京交響楽団、中部ドイツ放送交響楽団、Orchestre symphonique et lyrique de Nancy 等と共演。シャネル・ピグマリオン・デイズアーティストとして東京・ネクサスホールにて全6回のソロリサイタルを行う。第8回ヴェローナ国際コンクール(イタリア)第2位およびクラシックソナタ賞、女性演奏家賞受賞。その他、第26回エピナル国際コンクール(フランス)入賞およびオーケストラ賞、現代曲賞、第80回日本音楽コンクールピアノ部門入選、第4回東京ピアノコンクール第2位など国内外で入賞を重ねる。室内楽にも数多く取り組み、ベルリンフィルハーモニー室内楽ホール、ゲヴァントハウスメンデルスゾーンザールにて演奏するほか、Festival de musique St Amand de Vergt、ラヴェル音楽祭MusicDialogueディスカバリーシリーズ、シャネル室内楽シリーズ等に出演。ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール第2位受賞。桐朋女子高等学校音楽科首席卒業後、パリスコラ・カントルム音楽院にてテオドール・パラスキヴェスコ、パリ国立高等音楽院にてフランク・ブラレイ、上田晴子の各氏に師事し修士課程を卒業。ライプツィヒ・メンデルスゾーン音楽大学演奏家課程にてゲラルド・ファウト氏のもと研鑽を積み、2022年最高点で国家演奏家資格を取得、2023年より同大学にて教鞭を取る。またメナヘム・プレスラー、マリア・ジョアン・ピレシュ各氏の薫陶を受ける。https://www.moekoezaki.com/
©Masatoshi Yamashiro
小学生の時からギリシャ神話とシマノフスキが好きだった
ブラームスのソナタ第2番を選んだ理由は。
石上 ブラームスが避暑地のトゥーンで書いた作品で、冒頭から対話が可能です。ブラームスが散歩している姿や美しい自然が音楽から浮かぶよう。それをデュオで表現したいですね。
もう1曲、西村朗の《微睡Ⅰ》が登場する。
石上 初演時のプログラムに西村先生が「眠りは浅いけど、まどろみのなかで夢は現実以上に現実」と綴っていらっしゃる。表情が深くドラマティックで、私は小学生のころからギリシャ神話が大好きなのですが、そのまどろみの瞬間を想像します。
冒頭のシマノフスキ《神話》も、ギリシャ神話に通じ、初期の音の世界観、色彩感が中毒性をもつような引力の強さがあります。シマノフスキは「ヴァイオリン協奏曲第1番」も大好きで、《神話》にも似ている面があります。
シマノフスキは小学生のころに「ヴァイオリン協奏曲第2番」をCDで聴き、ビビッときたんです(笑)。そこには不思議な世界が存在し、広い意味でシュールレアリズムの感覚を抱きます。シマノフスキは人間の感情をすべてうまく音に滑り込ませることができ、それが現代人をも感動させてくれます。
シューマンの音楽に渦巻く情念を色濃く描きたい
最後はシューマンの「ソナタ第2番」で終幕。
石上 シューマンといえば情念の世界感が濃厚です。私は長年シューマンをあまり演奏せず、ソナタ第2番は7、8年前に初めて演奏し、次第にハマっていった作品です。
シューマンは話しことばのような音楽で、とりとめのない話が続く。そのなかで心の赴くままに、心の底から渇望することや情念的なものが渦巻いている。一瞬、幸せな表情も顔を出しますが、それは続かず、また死の影が見える。それぞれの楽章の表情の違いを考慮し、江崎さんとシューマンの情念を色濃く描きたいと思っています。
ふたりは食べることが大好きで、話し出したら止まらないとか。石上真由子は京都出身で、鴨肉と生八ツ橋が好物。
自然な呼吸で描き出すふたりの情念の世界を堪能したい。
日時:2026年3月6日(金) 19:00開演
会場:浜離宮朝日ホール
出演:石上真由子(ヴァイオリン)、江崎萌子(ピアノ)
曲目
シマノフスキ:神話 作品30
西村朗:ヴァイオリン独奏のための「モノローグ」
ブラームス:ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第2番 イ長調 作品100
西村朗:微睡Ⅰ
シューマン:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ第2番 ニ短調 作品121
※都合により内容は変更となる場合がございます。
チケット:一般 5,000円、U30(30歳以下) 2,000円
問合せ:朝日ホール・チケットセンター03-3267-9990(日・祝除く10:00~18:00)
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