
亀井聖矢に50の質問!〈後編〉謎解きを始めたきっかけは? 仲良くなりたい作曲家は?

今、若手ピアニストの筆頭である亀井聖矢さん。圧倒的な存在感の裏にある意外な一面や舞台への想いについて、50の質問でその素顔に迫ります。
後編では、ピアノに並んで没頭している謎解きへの想いや、近年力を入れ始めた作曲に関するお話など、真剣な眼差しで語っていただきました。

1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...
コンクール前は計画的だったけど……。
26. スケジュールの管理方法は?
亀井 この2年間はコンクールも重なっていたのでとても忙しく、「1日・1週間のうち、これくらいはこの曲を練習する」ときっちり計画を立てていました。
今は少し余白も生まれてきたので、スケジュールを管理する、という感じではないですね。仕上げたい曲のために必要だと感じる分練習したり、合間に謎解きを作ったり、作曲をしていたらあっという間に1日が過ぎていく日もあったり、レッスン漬けの日々もあったり……。やりたいと感じたことに対して、思う存分時間を使っています。
27. 計画的なタイプ? 衝動的なタイプ?
亀井 かなり衝動的なタイプだと思います。あまり計画的ではないですね。
コンクールを受けていたときは、とにかく後悔したくないし、「1時間でもあのとき練習しておけばよかった」と思いたくなかった。だからこそ、きちんと計画的に練習をしていましたが、本来はそんなタイプではありません(笑)。

2001年生まれ。4歳よりピアノを始める。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、飛び入学特待生として桐朋学園大学に入学し、2023年3月に同大学を首席で卒業。
2019年、第88回日本音楽コンクールピアノ部門第1位と聴衆賞を受賞。同年、第43回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリ、及び聴衆賞受賞。2022年、マリア・カナルス国際ピアノコンクール第3位受賞。2022年、ロン=ティボー国際音楽コンクールにて第1位及び「聴衆賞」「評論家賞」を受賞。2025年には世界三大コンクールの一つである、エリザベート王妃国際コンクールにて第5位を受賞。
謎解きが好きなのは、エンターテイナー気質だから
28. オフの日の過ごし方は?
亀井 謎解きイベントに行ったり、謎解きを作ったり!
友達とご飯に行くのも好きです。
29.趣味は何ですか?
亀井 これも言うまでもなく、謎解きです。
——今、亀井さんの生活において謎解きはどれくらいを占めているのでしょうか?
亀井 本番が詰まっているときはなかなかできていないのですが、本当に何もない日は1日中していますね。本当に楽しいんですよ。
30. 謎解きに魅せられたきっかけは?
亀井 小さい頃から、ひらめきや発想の転換が必要なクイズみたいなものは好きだったんです。
謎解きにハマった大きなきっかけは、松丸亮吾さんが謎解きを出題するテレビ番組を観たことでした。
——音楽もそうですが、エンターテイナー気質なんですね。
亀井 そうかもしれません。やっぱり、「相手に喜んでほしい」という気持ちが動機になることが多いですね。
31. 謎解きをするときと作るとき、どちらが楽しいですか。
亀井 もしかすると作るほうが楽しいかもしれません。もちろん、おもしろい問題に出会うと解くのも楽しいのですが……。
——作る行為そのものも謎解きですね。
亀井 そうかもしれないですね。謎解きを作るにはひらめきが必要なんです。だから、自分の作りたい謎解きのために、参考になりそうな脱出イベントに行ってみたり、ストーリーを考えてみたり、どこか流れに歪みが出てきたら頭を働かせて辻褄を合わせたり……。
謎解きを作っている時間って、実はひらめきを待っている時間のほうが長い気がします。そこに楽しさがありますね。

癒しではなく、刺激を求めている
32. 一番の癒しは?
亀井 パッとは思い浮かびませんね。そもそも、あまり癒しの時間を求めていないのかも……。
——謎解きも、癒しではないですよね……?
亀井 そうですね。癒されるどころか、わざわざ頭を使っているので(笑)。
——癒しというよりも、刺激を求めているのでしょうか?
亀井 はい。今は刺激を受けるほうが楽しいです。さらに歳を重ねたら癒しを求めるようになるのかもしれませんが、今はまだいらないですね。
33. 密かな楽しみはありますか?
亀井 謎解きを作るために、自分でちょっとした小説を書くことがあるのですが、その時間はとても好きですね。
あと、お笑い芸人さんのラジオを聴くのも楽しみです。
——そうなんですね! お気に入りのお笑い芸人はいますか?
亀井 元々、東京03さんが好きで、霜降り明星さんのラジオもよく聴いていたんです。最近は、真空ジェシカさん、マユリカさん、金魚番長さんとか、比較的若手の芸人さんのラジオを聴くのが好きですね。仕事とはまったく関係のないオフモードの息抜きです。
——お笑いそのものがお好きなんですね。ライブにも行かれますか?
亀井 はい、劇場に観に行くこともあります。ドイツにいるときも、M-1グランプリの準決勝の配信を観ていました。
34. ストレスの発散方法は?
亀井 発散するというよりも、まずはストレスがあればそれにきちんと向き合おうとするタイプです。ストレスが溜まってしまったから他のことで癒しを求める……というよりも、まずはそれを対処するというか。
——すばらしい姿勢ですね。
亀井 それこそ、ショパンに向き合っているときはとても大変でしたが、それをストレスだと感じたことはありません。自分で意義を持ちながら取り組んでいたし、それが嫌ならばきっとやめていたと思います。
35. 普段、よく聴く音楽はありますか?
亀井 カプースチンのピアノ協奏曲が好きです。自分の本番に関係がなくとも、単純に聴いていて楽しいんですよね。あと、この前はOfficial髭男dismさんのライブに行きました。一番お気に入りと聞かれると難しいですが…『Anarchy』がとてもかっこよくて好きです。
36. お気に入りのアイテムは?
亀井 今使っているシャープペンシルです。0.9ミリくらいの太さで、普通より少し太めなんです。
僕は作曲をするときは基本的に紙を使うのですが、芯が太いと消しゴムで消しても筆跡が残りにくいので便利です。謎解きを作るときもこれを使っています。このシャープペンシルがすっかり気に入って、家にあと10本ほどストックしています。
——作曲をするときは、PCではなく紙派なんですね。
亀井 はい、紙を使います。僕はメモを取るタイプなので、実際に五線譜に書き出しながら、「この和声はこんな役割で……」など気軽に書き込みたいんです。そうなると、手書きのほうが便利ですね。

プロコフィエフとお茶をしてみたい
37. コーヒー派? 紅茶派?
亀井 紅茶派です! コーヒーは、最近ようやくちょっとだけ飲めるようになりました(笑)。
38. 一緒に紅茶を飲みたい作曲家は?
亀井 プロコフィエフですね。作曲やピアノが優秀で、その一方で反骨精神やチャレンジ精神にも溢れている。仲良くしてみたいというよりも、どんな人なのかが気になります。ぜひ話を聞いてみたいですね。
38. 自分を誰か作曲家に例えると?
亀井 誰だろう……。若き日のリストかな。
——なるほど! パフォーマンスでたくさんの聴衆を喜ばせてきた若き日のリストは、亀井さんと同じエンターテイナーですものね。
亀井 そうですね。やっぱり根底には「楽しんでいただきたい」という気持ちがあるので。

40. 仲良くなりたい作曲家は?
亀井 いろんな人がいます。でもやっぱりプロコフィエフかな。おもしろそうだし、もしかすると自分も彼に似ているところがあるかもしれないという気持ちもあるので。
41. ご自身が作曲を行なううえで、リスペクトしている作曲家は?
亀井 たくさんの作曲家に影響を受けていますが、やはりベートーヴェンの存在は大きいです。ハイドンやモーツァルトもそうですが、この時期に今の交響曲やピアノ・ソナタの形式が確立したわけで、やっぱり形式を生み出すというのはすごいことだと思うんです。
そんな姿勢をリスペクトしつつ、僕もそういった過去の作曲家の残したエッセンスを参考にしながら、今の自分に合った新しいものを生み出していきたいですね。
——亀井さんは、古典など長く残されてきた作品たちをすごくリスペクトしながら音楽に向き合っているイメージがあります。
亀井 そうですね。たとえばベートーヴェンなども、今やみんな当たり前のように弾いていますよね。でも、本当はどんな目的で、どんな流れでこんな形式が作られていったのか……と紐解くことにおもしろさを感じます。
42. 作曲を始めたのはいつですか?
亀井 小学生の頃から、五線譜に1ページ程度の曲をたくさん書いたりしていましたね。当時から、曲を作るのはとても好きでした。
刺激とインプットを求めていきたい
43. 家族や親しい友人からの呼び名はありますか?
亀井 友達からは「聖矢」「亀井」「亀井くん」と呼ばれることが多いです。たまに「亀」と呼ばれることもあります。
44. 好きなゲームはなんですか?
亀井 実は、ゲームはあまり多くは触れてこなかったんですが、マリオは好きでした。あとは、LINEの「ディズニー ツムツム」も昔ハマっていました。
45. 行ってみたい国は?
亀井 アメリカですね。やはり留学や演奏会などでヨーロッパはよく訪れているのですが、それらの国々からは歴史の重みを感じる一方で、アメリカはたくさんの文化が入り混じり、新しい文化が形成されているようなイメージがあって。特に、ニューヨークにはいつか行ってみたいですね。

46. 亀井さんにとっての最高の休暇先は?
亀井 東京です。僕、すごく東京が好きなんですよ。エンターテインメントもおいしいものも揃っているし、何より最先端のものがあって、それらに関心のある人たちもたくさんいる。
——ニューヨークも東京も、エンターテインメントを肌身に感じられる街ですよね。
亀井 そうですね。まだまだ刺激が欲しいと思っているところです。
47. カールスルーエでの休日の過ごし方は?
亀井 とても田舎で、たくさんの観光スポットがあるわけではないのですが、緑が多い街なので近所の公園を散歩することが多いです。
一度、とあるお城の近くにある公園を訪れたとき、休日でもないのにたくさんのかたが楽しそうに時間を過ごしていて、おしゃべりをしたり、散歩をしたり、そうしているうちに日も沈んでいって……。そんな様子をみて、とてもいいなと思ったこともありました。
48. 2026年の目標を教えてください。
亀井 まず、4月にリサイタルツアーを開催予定です。シューマンやラフマニノフのほか、自分の作曲した作品もプログラムに入れています。
これまではコンクールで演奏する作品も考慮しながらプログラミングしていたので、自分で作ったものを披露するのは初めてのこと。そのため、今年は自分で作ったり、そのためのさまざまなインプットをしたりするなど、そういった時間を設けていきたいですね。
まずはたくさんの音楽を作っていくことで自分の作風が定まっていくと思うので、まずは今いいと思うものを作り出し続けること。その中で、自分がどんなものを届けたいのかを確立していく1年にしたいです。
——3月18日には、新しくCDもリリースされますね。
亀井 はい。僕の大好きなサン=サーンスのピアノ協奏曲第3番と、ショパンのピアノ協奏曲第1番のライブレコーディングです。このCDは今の自分の音を閉じ込めた集大成になるので、ぜひ多くの方に聴いていただきたいですね。
49. 今後、取り組んでいくレパートリーは?
亀井 ここ数年はショパンをたくさん弾いてきたので、今はベートーヴェンのコンチェルトを勉強したり、これまで取り組むことの少なかったシューマンをリサイタルで披露したり、個人的に大好きなラフマニノフも弾いてみたり……。今後はさまざまな作曲家に取り組み、自分の演奏をどんどん広げていきたいです。
50. 最後に、読者やファンの皆さんにコメントをお願いします。
亀井 自分が全力で演奏した音楽に対して、喜んでくださり、応援してくださる方がいるということこそが、自分にとってのモチベーションでやりがいになっています。
これからも、自分が好きだと思うことやいいと感じたものを届けていきたい。それに共感してくださるかたがいたら、とてもうれしいですね。これからもよろしくお願いします!
日時:
東京公演(サントリーホール 大ホール):2026年4月13日(月)19:00開演
大阪公演(フェスティバルホール):2026年4月14日(火)19:00開演
愛知公演(愛知県芸術劇場コンサートホール):2026年4月16日(木)19:00開演
曲目:
シューマン=リスト: 献呈
シューマン:謝肉祭 作品9
亀井聖矢: 3つのエチュード
ラフマニノフ: 絵画的練習曲「音の絵」 作品39より
ほか
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