写真家、平間至の毎日がオーディオ・ケーブル実験!——ロックとクラシックを愛聴盤に
90年代から現在までシーンの最前線走り続ける写真家、平間至さん。
タワーレコードのシリーズ広告『NO MISIC, NO LIFE.』を筆頭に、日本を代表するアーティストを撮り続けてきた平間さんの写真は、常に音楽との親和性の高さで我々音楽ファンに記憶されてきた。
そんな平間さんがベースを演奏しオーディオにこだわりをもっていることは、ファンならずとも知られた話だが、その趣味への入れ込みようは想像以上かもしれない。同じくフォトグラファーでオーディオの音質向上を計画中の高橋慎一さんが、東京・世田谷にある平間写真館TOKYOでインタビューした。
日本の写真界において、もっとも“音楽”を感じる作品を撮ると言われる平間至。
だが、その音楽への探究心はオーディオ装置へのこだわりにも現れている。近年はケーブルメーカー、オヤイデ電気の製品に傾倒し、その魅力を語る伝道師的な役割を担っている。両者の蜜月はプライベートを越え、音楽フェスでの協力関係にまで発展しているという。
稀代の写真家をとりこにするオヤイデ製品の魅力とは何か、平間本人に語ってもらった。
——なぜ「オヤイデの宣伝部長」と言われるほどのファンになったのか、そのきっかけを教えてください。
平間 オヤイデ電気のケーブルを意識して使い始めたのは2009年、ロックバンド『凛として時雨』のボーカルTK(Toru Kitajima)に勧められたことがきっかけです。
彼は写真が趣味で、暗室でプリント作業するほど好きなんです。ミュージシャンには自分が奏でる生演奏がすべてという人が少なくないけれど、TKは音響機材に精通し、音質にもこだわるタイプ。
その彼が勧めるんだから悪い製品なわけはないだろうというくらいに思っていたら、一聴してとりこになりました。最近では、僕はオヤイデ以外のケーブルを使う気がしません。
——オヤイデ製品のどこにそれほど惹かれるのですか。
平間 オーディオ用ケーブルには1本数十万なんて商品もありますよね。オヤイデの場合、単に値段で良し悪しが決まってしまうのではなく、どの製品にも個性があるのが魅力です。
高価格ではないコストパフォーマンスのいい製品でも、プロダクツとしての揺るぎない個性をもっている。ケーブルによる音の違いを楽しむようになったのは、オヤイデを使いはじめてからですね。
——今お気に入りのオーディオセッティングを教えてください。
平間 仕事場である撮影スタジオでは、サンバレーのプリメインアンプとQアコーティクスのスピーカーを中心にしたセッティングで、ゆったりとしたチューニングで音楽を楽しんでいます。
平間 これにオヤイデのケーブルを使っているのですが、この取材で実験的に2箇所のケーブルを変えると、出力される音が劇的に変わりました。
アナログプレーヤー/フォノイコ間のケーブルの導体は、製造中止になったPCOCC-Aという素材、プリメインアンプの電源ケーブルは102 SSCというオヤイデ電気が独自開発した導体を採用しています。
この102 SSCという導体は明らかに、オーディオ的ワイドレンジのためではなく、“音楽”を鳴らすために開発されています。つまり数値だけでなく音楽的帯域を豊かに奏でるケーブルと言っていいでしょう。素材の希少性はPCOCC-Aのほうが高いと思いますが、102 SSCはオヤイデの技術陣が製造の精度を上げることで、元来の質を凌駕してしまった。
比べるなら、PCOCC-Aはオーディオ的、102 SSCは音楽的なケーブル。102 SSCに変わることで、より音楽をいきいきと鳴らすことに変わっていったと思う。それはもはやオヤイデ社長の作品と言っていいと思います。
——ご自宅のシステムはどのようなモノを使用されてますか。
平間 自分なりに、かなりつめてセッティングしています。
——自室やスタジオのみならず、主催される音楽フェスティバルの会場でもオヤイデ製品を使用されているそうですね。
平間 東日本大震災後の東北で何かできることはないか、と考え、その意思に賛同してくれたミュージシャンたちを集めて、僕の故郷である宮城県・塩釜市で開催しているのが「GAMA ROCK FES」。
オヤイデ電気には、2012年のスタートから数年間は協賛企業としてバックアップいただいて、ケーブルの提供は現在までずっと継続してサポートしてもらっています。マイク、楽器、そして電源ケーブルまですべてオヤイデ、こんなこと普通のライブでしたら予算的にとても無理です。
実はミュージシャンにはオヤイデのファンが多くて、彼らはフェスの野外会場に鳴り響く音の良さに喜んでくれています。フェスに出演した坂本美雨さんからは「他の会場よりも声の透明感が伝わる」とお褒めの言葉をいただきました。
※とても和やかで大盛況だった2017年の模様はこちら
——平間さんといえばロックアーティストとの交流が多いイメージですが、クラシック音楽も聴かれますか。
平間 我が家は祖父、父ともにクラシックのアマチュア奏者だったんです。塩釜市に「ひらま写真館」を興した祖父はヴァイオリン、2代目を継いだ父はチェロを嗜みました。
父は明治大学の学生オーケストラで活動し、祖父から写真館を継いだあとは、塩釜に明大のオーケストラを招いて演奏会を主催したことも。あれが塩釜で開催された初めてのオーケストラ公演だったと思います。
そんなわけで、地元ではウチの写真館がちょっとした文化サロン的役割も果たしていました。その影響で僕も幼少期にはヴァイオリンを習い、ブルッフのヴァイオリン・コンチェルトに挑んだりしました。その後チェロも習い、高校生のときには仙台ユース・シンフォニー・オーケストラの演奏会に出演したこともあります。
——まさかのクラシック少年だったんですね。現在の平間さんの写真からはなかなか想像できません。
平間 いえいえ、クラシックと並行してロックが好きになり、中学3年のときにはディープパープルのコピーバンドを結成しました。なにしろ僕らの影響で、塩釜中にディープパープルのコピーバンドが大量発生したくらいです(笑)。
高校生になってからは、チェロと並行してパンクのバンドでベースを弾いたりもしていましたから、音楽に関しては相当貪欲にノンジャンルで聴いていましたね。アンダーグラウンドなロック雑誌「FOOL’S MATE」の読者で、英国や欧州のノイズ、アバンギャルドミュージックを聴き漁ってました。
一方でクラシック音楽への興味も尽きず、17歳のときにヨー・ヨー・マの初来日公演を父と一緒に聴きに行ったのは、今でも鮮烈な記憶として耳に残っています。
——愛聴盤があったら教えてください。
平間 5、6年前に体調を崩したときは、音楽を身体が受け付けなくなってしまいました。
そんなか、唯一受け付けたのがグレン・グールドのバッハ「ゴールドベルク変奏曲」だったんです。あれは不思議な経験でした。
純粋に聴き込んでいる盤としてはパリ管弦楽団によるブラームス「交響曲第1番」。これはブラームスが20数年の格闘の末に作り上げた曲。聴くときには、苦労が作品に結実する稀有な美しさに真摯に耳を傾けます。
スメタナ四重奏団のドボルザーク《アメリカ》第2楽章とともに、僕のクラシック2大愛聴盤です。
「すべては音楽のおかげ」と語る平間自らがセレクトした作品で構成される。
会場: SUNDAY(東京都世田谷区池尻2-7-12 平間写真館隣り)
会期: 7月5日(木)~9月11日(火) 会期中無休
時間: 11:30~22:00(水曜日18:00まで)
観覧料: 無料
※カフェの貸し切り営業などで上記期間中でも入場できない場合あり
MUSIC/ART/FOOD を通して、多くの人に塩竈の魅力を伝えることと塩竈の街が元気になることを願い、写真家の平間至とDragon AshのATSUSHIが東日本大震災の翌2012年から毎年開催。ふたりの構想に賛同したアーティストが参加している。
日時: 2018年9月22日(土) 開場 9:00/開演 10:00/終演予定 20:00
入場料: 5,000円 ※小学生以下、70歳以上無料(小学生以下は保護者同伴に限る)
会場: 宮城県塩竈市みなと公園(塩竈港緑地内) 宮城県塩竈市貞山通3-12-1
主催: GAMA ROCK FES 実行委員会/Date fm エフエム仙台
問い合わせ先: GIP 022-222-9999(24時間自動音声案内)
Tel.03-5684-2151
オヤイデ電気 秋葉原店
住所: 〒101-0021 東京都千代田区外神田1-4-13
営業時間: 10:00~19:00 日曜定休(祝日は営業)
Tel.03-3253-9351
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