インタビュー
2023.07.18
7月29日~8月26日 京都・東京で開催 東京公演出演の石井希衣、東 亮汰、石原悠企、佐山裕樹に訊く

ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサートは若き音楽家の夢のはじまり

音楽文化発展のため、若手音楽家の育成に力を注ぐ公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション。同財団の奨学支援を受けながら国内外で学ぶ、若い音楽家たちが熱演を繰り広げ、さらなる成長の場となっている「スカラシップ コンサート」が、今夏も開催される。この公演では、学びの成果を披露することはもちろん、“ローム ミュージック フレンズ”と呼ばれる同財団奨学生同士の貴重な共演も大きな見どころだ。
今回、東京公演のモーツァルト「フルート四重奏曲第1番」「同第4番」で共演する、石井希衣(フルート)、東 亮汰(ヴァイオリン)、石原悠企(ヴァイオリン、ヴィオラ)、佐山裕樹(チェロ)に話を伺った。

桒田萌
桒田萌 音楽ライター

1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...

メイン写真は、ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート2022。写真左から2人目は石原悠企、左から3人目は石井希衣。

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4人の多様な個性で、夢のフルート・クァルテットに挑む

——石井希衣さん、東 亮汰さん、石原悠企さん、佐山裕樹さん、4人での共演は初めてですね。共演を決められたきっかけは?

石井 私がみなさんにお声がけしました。元々モーツァルトの「フルート四重奏曲」に憧れていたことや、弦楽器の室内楽作品が好きだったこともあり、「今年度の奨学生にはすばらしい弦楽器奏者がたくさんいる。フルート・クァルテット以外に選択肢はない!」と思ったのです。

石井希衣(フルート)
2021、2022年度奨学生/パリ・エコールノルマル音楽院
第10回神戸国際フルートコンクール第3位。第88回日本音楽コンクール第2位、第19回日本フルートコンヴェンションコンクール第1位。ソリストとして東京フィルハーモニー交響楽団、横浜シンフォニエッタと共演。現在パリ・エコールノルマル音楽院にてシルヴィア・カレドゥ氏に師事。
©井村重人
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——演奏作品モーツァルト「フルート四重奏曲」について、その魅力を教えてください。

石井 「第1番」は、モーツァルトならではの底抜けの明るさに溢れていますよね。4人のキャラクターがおしゃべりしながらどんどん場面が変わる、オペラのような作品。聴いているだけでワクワクしますし、作品としての完成度も高いです。

石原 雰囲気が非常に快活で明瞭ですよね。モーツァルトは、細かいところに芸があり、ほかの作曲家ならば素通りするような場所におもしろい仕掛けを施すことも多い。「フルート四重奏曲」にもそんなモーツァルトの特徴が表れています。

石原悠企(ヴァイオリン)
2021、2022年度奨学生/ベルリン芸術大学
第9回スウェーデン国際デュオ・コンクール第1位。第36回霧島国際音楽祭にて2つの音楽祭賞と音楽監督賞を受賞。ベルリン芸術大学学士課程・修士課程をともに最高点で修了。2019~2021年バイエルン放送交響楽団アカデミー在籍。
*ヴァイオリン専攻奨学生、今回はヴィオラを演奏
©井村重人

 フルート・クァルテットの編成の作品は多くないのですが、モーツァルトの「フルート四重奏曲」はどれも名曲だと思います。「第4番」の場合、第1楽章がヴァリエーションになっていて、それぞれの楽器の見せ場が順に訪れます。そこに楽器ごとのおもしろみが感じられそうです。

東 亮汰(ヴァイオリン)
2021、2022年度奨学生/桐朋学園大学、大学院
第88回日本音楽コンクール第1位。ソリストとしてNHK交響楽団、東京交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団などと共演。桐朋学園大学音楽学部を首席で卒業。特待生として同大学大学院音楽研究科修士課程2年在学中。Japan National Orchestraコアメンバー。
©井村重人

佐山 弦楽器がピツィカートに徹しフルートがソリストのようになっている場面もあれば、弦楽器とフルートがまざり合うこともあります。協奏曲的であり、室内楽的でもある。両方の側面を楽しめそうですね。

佐山裕樹(チェロ)
2021、2022年度奨学生/桐朋学園大学
第13回ビバホールチェロコンクール第1位。第29回青山音楽賞新人賞。チェロを倉田澄子氏に師事。桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を経て、桐朋学園大学音楽学部チェロ科を首席で卒業。その後同大学ソリスト・ディプロマコース修了。

自分の可能性を広げる、貴重な奨学生経験

——みなさんは昨年度のスカラシップ コンサートに足を運び、奨学生が自らの活動について発表する「奨学生報告会」にも参加していますね。ローム ミュージック フレンズとの関わりで、どのような刺激を受けましたか?

石井 報告会では、どんな学びを得て活動したかを、ひとりひとりスピーチします。みなさん「次はこんなコンサートをしたい」「こんなことにチャレンジしたい」と発表されていて、そこでの出会いをきっかけに「ぜひ一緒に活動しませんか」とお誘いすることも。いろいろな可能性が広がっていく場だと思います。みなさんの決意を目の当たりにして、自分が音楽に取り組む上で大切なことにも気づかされました。

石原 ローム ミュージック フレンズの方や、今回ご一緒する3人とは、ローム ミュージック ファンデーションの活動をきっかけに共演していますが、スカラシップ コンサート以外の公演でご一緒することもあります。ここで出会ったみなさんとさまざまな機会に音楽を通じてご一緒できるのは、とても幸せなことだと思います。

 スカラシップ コンサートや報告会では、みなさんの演奏や発表内容のスケールが大きく、圧倒されます。「自分も頑張らないと」と感じさせられます。刺激を与えてくださるみなさんに出会える場があるのは、とてもありがたいことだなと思います。

佐山 僕の場合、昨年がちょうど海外のマスタークラスやコンクールを検討している時期だったので、情報交換したり、みなさんのお話を聞くことができて、自分のやりたいことをより一層明確にできた記憶があります。こうしたつながりをもてるのも、ローム ミュージック ファンデーション奨学生の強みだと実感しています。

——2021、2022年度の奨学生として研鑽を積んでいた期間には、どのような学びや活動がありましたか?

石井 パリのエコール・ノルマル音楽院に留学し、タイプの異なる2人の先生にご教授いただけたので幅が広がりました。技術だけでなく、音楽家として大切なマインドも吸収でき、それが最終的にコンクールでの受賞にもつながりました。

石原 私はベルリンで、ヴァイオリンに加え、指揮も専門的に学び始めました。非常に恵まれた環境で、オーケストラや合唱などの指揮を通して実践的に学ぶことができています。

佐山 僕は日本で演奏活動をするかたわら、海外で行なわれているマスタークラスや国際コンクールへの挑戦などに励みました。やはりクラシックの本場はヨーロッパ。まずは現地に行き、街やその地の人々の様子を直に知ることが大切なのだとあらためて実感しました。

 ちょうど大学4年と大学院1年にあたる年だったのですが、この期間に学業だけでなく演奏活動の機会をいただくことが非常に増え、去年だけでも100ほどの舞台を経験しました。両立は大変でしたが、これからはさらにステージにおける演奏の質を高めていきたいと思っています。

夢の舞台「スカラシップ コンサート」がこれからの夢のはじまり

——最後に、今回のスカラシップ コンサートへの意気込みとこれからの夢をお聞かせください。

石井 このメンバーだからこそ交わせる言葉やアナリーゼを重ねて、4人にしかできない演奏をしたいです。私はオーケストラ奏者を目指しているので、この経験が必ず貴重なものになるだろうなと思います。

石原 気兼ねなく意見を言い合いながらよい演奏を作りたいです。私もオーケストラ奏者を目指しながら、室内楽にも一生をかけて取り組みたいと思っています。この公演を有意義な経験にしたいです。

 今回のテーマ「夢」に乗じて、夢や希望を感じていただけるような演奏がしたいです。ヴァイオリンは、オーケストラやソロ、室内楽でも活躍できる幅広い楽器。自分の可能性や興味を追求し、より深く音楽に関わるきっかけにしていきたいです。

佐山 僕はフルート・クァルテットが初めてなので、フルートと弦楽器がどのような化学反応を起こすのか楽しみです。4人で対話をしながら演奏に臨みつつ、フルートについて学び、将来のオーケストラ活動に活かしていきたいなと思っています。

——スカラシップ コンサートには、石井さん、東さん、石原さん、佐山さんをはじめ、夢に溢れた若い音楽家の卵がたくさん登場するので、数々の光る才能を愉しんで、これから応援したいアーティストをいち早く見つけるチャンスですね。

公演情報
ローム ミュージック ファンデーション スカラシップ コンサート~夢~

【京都公演】

会場:京都府府民ホール アルティ

Vol.42

日時:7月29日(土)15時開演

出演:泉 優志(チェロ)、尾城杏奈(ピアノ)、木口雄人(ピアノ・歌曲伴奏)、橘和美優(ヴァイオリン)、栗原峻希(バリトン)、柴田花音(チェロ)、関 朋岳(ヴァイオリン)、中川優芽花(ピアノ)、望月 晶(ピアノ)、山縣美季(ピアノ)、吉本梨乃(ヴァイオリン)、石原悠企(ヴィオラ)

∗残りわずか(7月18日時点の券売状況です)

Vol.43

日時:7月30日(日)15時開演

出演:石井希衣(フルート)、石原悠企(ヴァイオリン)、開原由紀乃(ピアノ)、桑原志織(ピアノ)、佐々木つくし(ヴァイオリン)、佐山裕樹(チェロ)、清水 伶(フルート)、鷹栖美恵子(オーボエ)、鳥羽咲音(チェロ)、保崎 佑(ファゴット)、望月 晶(ピアノ)

Vol.45

日時:8月20日(日)15時開演

出演:梅﨑 秀(ピアノ)、越知晴子★(ピアノ)、吉武 優(吉は土に口の漢字)★(ピアノ)、上島 緑(メゾソプラノ)、東條太河(ヴァイオリン)、東 亮汰(ヴァイオリン)、福田麻子(ヴァイオリン)、本田莉愛(ヴァイオリン)

【東京公演】

会場:浜離宮朝日ホール

Vol.44

日時:8月6日(日)15時開演

出演:石井希衣(フルート)、石原悠企(ヴィオラ)、泉 優志(チェロ)、尾城杏奈(ピアノ)、桑原志織(ピアノ)、栗原峻希(バリトン)、佐山裕樹(チェロ)、清水 伶(フルート)、東條太河(ヴァイオリン)、鳥羽咲音(チェロ)、東 亮汰(ヴァイオリン)、山縣美季(ピアノ)、吉本梨乃(ヴァイオリン)

∗残りわずか(7月18日時点の券売状況です)

Vol.46

日時:8月26日(土)15時開演

出演:梅﨑 秀(ピアノ)、越知晴子★(ピアノ)、上島 緑(メゾソプラノ)、柴田花音(チェロ)、福田麻子(ヴァイオリン)、保崎 佑(ファゴット)、本田莉愛(ヴァイオリン)、吉見友貴★(ピアノ)

★過去奨学生

料金:公演チケット・全席指定・税込各1,000円 ∗今後完売の可能性がございます。

オンラインコンサートチケット・税込各500円

お問合せ:

京都公演 otonowa 075-252-8255

東京公演 株式会社1002(イチマルマルニ)03-3264-0244

詳しくはこちら

桒田萌
桒田萌 音楽ライター

1997年大阪生まれの編集者/ライター。 夕陽丘高校音楽科ピアノ専攻、京都市立芸術大学音楽学専攻を卒業。在学中にクラシック音楽ジャンルで取材・執筆を開始。現在は企業オ...

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