インタビュー
2024.09.27
松井秀太郎の2ndアルバム『DANSE MACABRE』が10/23発売!〈ARK BRASS〉全国ツアーに新作とともにゲスト出演

トランペット松井秀太郎×佐藤友紀~ジャズの若き才能とクラシックの名手が出会うとき

テレビ番組『情熱大陸』でも密着された、ジャズ界期待の新星・松井秀太郎が、10月にセカンド・アルバムを発表する。そして、敬愛するクラシックの名手・佐藤友紀が所属する金管アンサンブル〈ARK BRASS〉の全国ツアーにスペシャル・ゲストとして参加、新作も提供するという。ジャズとクラシックの垣根を越えた2人のトランペット奏者の出会い、そこから生まれる新たな音楽とは――。

取材・文
山野雄大
取材・文
山野雄大 ライター[音楽・舞踊評論]

1971年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得。学部在学中から執筆活動を始め、CD構成やライナーノート、日本全国のオーケストラやバレエ団のプログラム解説、...

写真:武藤 章

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ニューヨーク録音の新譜 タイトル曲に《死の舞踏》を選んだのは……

もし〈ジャズ・トランペット〉のイメージをお持ちなら、それにとらわれずお聴きいただきたい。それほどに、生き生きと鮮やかな才能だ。

2023年、デビュー・アルバム『STEPS OF THE BLUE』で絶賛を集めた若手トランペット奏者、松井秀太郎。ジャズ・トランペットに新次元をひらく存在、との声は、続く全国ツアーでも確かな反響を呼んだ。テレビ番組『情熱大陸』でも密着された松井の音楽は、今秋さらに羽ばたく。

2024年10月には、ニューヨークで凄腕ミュージシャンたちと共演録音したセカンド・アルバム『DANSE MACABRE』を発売する松井。タイトル曲は、クラシックの名作であるサン=サーンスの《死の舞踏》

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松井「《死の舞踏》の中にも生のエネルギーを感じさせるこの曲が大好きで、自分が創っている音楽にもフィットする感じがしていたんです。クラシックの素晴らしい曲に自分の色を加えるのは難しいことですが、その経験を尊敬するミュージシャンたちと一緒にしてみたい‥‥…」という思いは、新譜にも素晴らしく満ちている。

松井「自分の音をそのまま持って行ったのですが、皆さんは自分をバンド・メンバーみたいに迎え入れてくれて、音楽の流れに任せて自然に仕上がっていく……これが音楽の素晴らしさだなと思いました。プロデュースしてくださった小曽根真さんの力もすごく大きかったです」

自在な中にもしっかりと強い芯を感じさせ、それがさらに彼方へと憧れを広げる幹となっているようにも思われる、素晴らしいアルバムだ。

松井秀太郎 (トランペット) Shutaro Matsui, trumpet
1999年生まれ。国立音楽大学ジャズ専修首席卒業。矢田部賞受賞。 これまで、トランペットを奥村晶、エリック・ミヤシロに、ジャズ・アンサンブルを小曽根真ほか各氏に師事。小曽根真によるプロジェクト「From OZONE till Dawn」に参加。23年、デビューアルバム「STEPS OF THE BLUE」をリリース。ブルーノート東京にて、発売記念ライヴを成功させ、24年1月より全国ツアー<松井秀太郎Concert Hall Live Tour>を行ない好評を博した。自身のリーダーライブ公演、ソロ活動の他にアーティスト・サポートメンバーとしても幅広く活動している

凄腕ブラス・アンサンブル〈ARK BRASS〉全国ツアーにゲスト出演 新作も初演

さらに松井は今秋、日本クラシック界の名手たちが揃う金管アンサンブル、ARK BRASS(アーク・ブラス)の全国ツアーへ、スペシャル・ゲストとして参加する。

松井「初めてコンサートを聴かせていただいたとき、すごくかっこ良くて愉しくて、コンサートとしてこんなに魅力的で……自分も、聴いてくださるかたにとって、そういう役割を果たせたらいいな、と思っています」

このARK BRASSは2021年結成。佐藤友紀(トランペット)、福川伸陽(ホルン)、青木昂(トロンボーン)、次田心平(テューバ)と凄腕5人をコア・メンバーとして、楽曲によって優れた仲間たちが加わって金管10人ともなる柔軟な編成のアンサンブルだ。

中軸の一人である名手・佐藤友紀も、若き天才・松井を「トランペットが自然体で、自分の中から湧き出てくる音楽を表現するツールになっているのが凄い」と絶賛する。

佐藤友紀 (トランペット) Tomonori Sato, trumpet
東京藝術大学卒業。アカンサス音楽賞受賞。第16回日本管打楽器コンクール第1位。第69回、第72回日本音楽コンクール第2位。第2回リエクサ国際トランペットコンクール入選。第6回フィリップ・ジョーンズ国際コンクール第3位。01年~03年、東京藝術大学管弦楽研究部非常勤講師(芸大フィルハーモニア)を務める。03年~06年、ドイツ国立ハンブルク音楽演劇大学に留学。これまでに岡田治久、杉木峯夫、福田善亮、エドモンド・コード、故ピエール・ティボー、マティアス・ヘフスの各氏に師事。17年間首席奏者を務めた東京交響楽団を2023年に退団し、現在はソロ・室内楽を中心に幅広い活動を行なっている。シエナ・ウインド・オーケストラ客員契約団員。Bach Artists Japan匠のメンバー。東京藝術大学、洗足学園音楽大学、尚美ミュージックカレッジ専門学校ディプロマ科、各非常勤講師。日本トランペット協会常任理事

かたや、松井のほうも佐藤のトランペットを「初めて聴いたとき、『なんでこんなふうに吹けるんだろう? 自分もこんな音を出したい!』と衝撃を受けた、本当に憧れのかたです」と敬愛も深い。

ジャズとクラシック、垣根を軽々と超える共演が実現するこのARK BRASS全国ツアーでは、松井秀太郎が書き下ろして自身も参加する、金管六重奏のための新作が初演される。

松井「この素晴らしい人たちとできるのなら〈これぞブラス!〉という曲を書きたいと思って。いわゆる王道なスタイルではなく、金管アンサンブルにはこういう可能性もあるんだな、ってことにも挑戦できたらと思っています」

佐藤「全国ツアーでは他にも、僕らのために編曲していただいた、金管五重奏とピアノのための《展覧会の絵》[ムソルグスキー/大橋晃一編曲]を演奏して、最後の東京公演では同じ曲の金管十重奏+ピアノ版を演奏します」と異なる編曲で挑むのもすごいが、ほか《天空の城ラピュタ》やジョン・ウィリアムズ作品、さらにムソルグスキー《展覧会の絵》など、豪勢なビュッフェ感もあるプログラム。初めての方にも熱心な金管愛好家にも楽しめるはずだ。

CD情報
松井秀太郎『DANSE MACABRE』

松井秀太郎(トランペット、フリューゲルホーン)
ガイ・モスコヴィッチ(ピアノ)
ベン・ウルフ(ベース)
ジョナサン・ブレイク(ドラムス)
ウォルター・ブランディング(サキソフォン)
プロデュース:小曽根 真

 

[曲目]

TIGER MARCH
SIGN
DANSE MACABRE (Saint-Saëns)
BEIJINHO
LITTLE CRADLE SONG
IF
FRAGMENTS
PRELUDE
 

2024 年 10 月 23 日発売 《 CD 》 AVCL 84167 ¥ 3,300 (税込) 《 LP 》 AVJL 84168 /¥6,600 (税込)

ARK BRASS『展覧会の絵』

ARK BRASS
5重奏
佐藤友紀、松山 萌(トランペット)、福川伸陽(ホルン)、青木 昂(トロンボーン)、次田心平(テューバ)
10重奏
佐藤友紀、松山 萌、安藤友樹、河原史弥(トランペット)、福川伸陽(ホルン)、青木 昂、笠野望、伊藤雄太、越智大輔(トロンボーン)、次田心平(テューバ)

 

山中惇史(ピアノ)

 

[曲目]

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(大橋晃一編曲 金管五重奏&ピアノ版)
エヴァルド:金管五重奏曲第1番 変ロ短調 Op. 5
ラングフォード:ロンドンの小景

 
2024年10月30日発売《 CD 》 AVCL 84169 ¥ 3,300 (税込)
公演情報
松井秀太郎 Concert Hall Live Tour 2025

◆出演者
松井秀太郎カルテット
松井秀太郎(トランペット)
壷阪健登(ピアノ)
小川晋平(ベース)
きたいくにと(ドラム)

 

◆スケジュール
2025年
2月15日(土)18:00【金沢】石川県立音楽堂 交流ホール
2月21日(金)19:00【長崎】アルカス SASEBO 中ホール
2月23日(日)14:00【福岡】FFG ホール
3月1日(土)14:00【札幌】札幌コンサートホール Kitara 小ホール
3月14日(金)19:00【東京】サントリーホール ブルーローズ【完売】
3月23日(日)14:00【横須賀】ヨコスカ・ベイサイド・ポケット【完売】
3月28日(金)18:45【名古屋】電気文化会館 ザ・コンサートホール
3月30日(日)14:00【大阪】住友生命いずみ ホール

4月5日(土)14:00【東京】サントリーホール ブルーローズ-追加公演

ARK BRASS JAPAN TOUR 2024 

スペシャルゲスト:松井秀太郎 川田健太郎

 

東京公演
日時:2024年11月7日(木)19:00

 

会場:紀尾井ホール

 

曲目
エルガー・ハワース:プロセッショナル・ファンファーレⅠ
クリス・ヘーゼル:クラーケン
久石譲:《天空の城ラピュタ》 BRASS組曲  編曲:石川亮太
サイモン・キャビー/セシル・コルベル:Arrietty’s Song
ピアソラ:リベルタンゴ  編曲:星野究
松井秀太郎:ARK BRASSのためのセクステット(新作)
ジョン・ウィリアムズ:ジョン・ウィリアムズ BRASS組曲 Vol.1  編曲:石川亮太
ラヴェル:マ・メール・ロワ(金管5重奏&ピアノ版) 編曲:大橋晃一
ムソルグスキー:展覧会の絵 (金管10重奏&ピアノ版) ※初演 編曲:大橋晃一
※演奏曲は変更になる場合があります

 

出演

ARK BRASS(金管十重奏):
佐藤友紀、松山萌、安藤友樹、山川永太郎(トランペット)
福川伸陽 (ホルン)
青木 昂、髙瀨新太郎、住川佳祐、黒金寛行 (トロンボーン)
次田心平 (テューバ)
秋田孝訓(パーカッション)
スペシャル・ゲスト:
松井秀太郎(トランペット)
川田健太郎 (ピアノ)

 

チケット(全席指定/税込): S席6,500円、A席5,000円

 

問い合わせ:チケットスペース 03-3234-9999(10:00~15:00/休業日を除く)

 

【全国ツアー】
曲目
ブラス・アンサンブルのための《ジブリ》組曲
ピアソラ:リベルタンゴ
リムスキー=コルサコフ:くまんばちの飛行
松井秀太郎:金管六重奏のための新作(初演)
ムソルグスキー:展覧会の絵 (金管五重奏&ピアノ版/大橋晃一編) 他
※演奏曲は変更になる場合があります

 

出演
ARK BRASS:
佐藤友紀 (1stトランペット)
安藤友樹 【大阪、福岡、山口】、井上圭 【愛知】(2ndトランペット)
福川伸陽 (ホルン)
青木 昂 (トロンボーン)
次田心平 (テューバ)
スペシャル・ゲスト:
松井秀太郎(トランペット)
川田健太郎 (ピアノ)

 

日程
大阪公演
2024年11月2日(土) 14:00開演 いずみホール
問い合わせ:ABCチケットインフォメーション 06-6453-6000
福岡公演
2024年11月3日(日)13:30開演 北九州市立 響ホール
問い合わせ:KBCチケットセンター 092-720-8717
山口公演
2024年11月4日(月・休)14:00開演 シンフォニア岩国(山口県民文化ホールいわくに)
問い合わせ:シンフォニア岩国 0827-29-1600
愛知公演
2024年11月6日(水) 19:00開演 電気文化会館ザ・コンサートホール 

問い合わせ:クラシック名古屋 052-678-5310

取材・文
山野雄大
取材・文
山野雄大 ライター[音楽・舞踊評論]

1971年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士課程単位取得。学部在学中から執筆活動を始め、CD構成やライナーノート、日本全国のオーケストラやバレエ団のプログラム解説、...

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