インタビュー
2022.04.18
宝塚OGが語る、音楽と私 Vol.9

珠城りょう「音楽には常に触れていたい」~退団後初コンサートでメッセージ性ある歌と踊りを

宝塚歌劇団の人気OGが、お気に入りの音楽について語るインタビュー連載。
第9回は、元月組トップスターの珠城りょうさんが登場。この春、初のコンサート「CUORE(クオーレ)」に挑む彼女が、宝塚時代の思い出の曲や音楽の魅力について語ってくれました。

取材・文
NAOMI YUMIYAMA
取材・文
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE Japon(エル・ジャポン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

撮影:各務あゆみ
ヘアメイク:河上智美
スタイリスト:久保コウヘイ

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珠城りょうさんの待望のソロコンサート「CUORE(クオーレ)」は、バラエティ豊かなメンバーとともに繰り広げるダンサブルなステージ。構成・演出・振付は川崎悦子さんが担当し、4~5月に渡って開催される。大阪公演では元雪組男役スターの彩凪翔さん、東京公演では元星組男役スターの愛月ひかるさんがスペシャルゲストとして登場する。

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初コンサートはメッセージ性のあるステージに

——去年の8月、宝塚を退団された珠城さんの1stコンサート「CUORE(クオーレ)」がもうすぐ開催されます。ファンの方も楽しみにされていますね。

珠城 初めてのソロコンサートということで、新しい珠城りょうの姿を見せたいですし、来てくださったみなさんと同じ空間を楽しめたらいいなと思っています。

タイトルの「CUORE(クオーレ)」は、宝塚時代から一番大切にしてきた「心」を意味するイタリア語です。昔からイタリア語の響きが好きなんですよ。言葉に温かみを感じますし、単語一つひとつが心にスッと入ってきて……。まだイタリアを訪れたことはないのですが、人々の陽気で明るいイメージに惹かれるのかもしれません。

珠城りょう(たまき・りょう)
1988年、愛知県生まれ。2008年、宝塚歌劇団に入団し、月組に配属。2016年、入団9年目という異例のスピードでトップスターに就任。2018年『エリザベート』で10代目トートを演じる。2021年8月に退団。2022年4月~5月にファーストコンサート『CUORE』を開催予定。同年8月~9月には宝塚OG8人でおくる『8人の女たち』にも出演する。

——舞台はどんな内容になりそうですか?

珠城 歌を聴かせるコンサートというよりは、歌にしても踊りにしても、メッセージ性があるものがいいんじゃないかと思っていました。(川崎)悦子先生からも「舞台も日常もダイナミックに見える」とおっしゃっていただいたので、ダンサブルでストーリー性を感じるコンサートになりそうです。

——宝塚の人気OGの方がスペシャルゲストとして登場しますね。

珠城 ゲストの方(彩凪翔さん、愛月ひかるさん)は私から提案させていただきました。どういう接点? ってみなさん不思議に思われたと思うのですが、生徒同士、組は違っても、意外と交流があるんです(笑)。お二人とも常にプライドを持って舞台に立たれていて、カッコいいなと尊敬していました。同じステージに立てることを楽しみにしています!

在団中とは日々の生活がまったく違う! と話してくれた珠城さん。

——コンサートではどんな曲を歌う予定ですか?

珠城 在団中にカバーさせていただいたOfficial髭男dismさんの「Amazing」を初めて生パフォーマンスします。宝塚の楽曲もいくつか歌う予定です。このようなご時世ですのでお客様も声が出せないと思うのですが、みなさんと一緒に盛り上がれたらと思います。

Official髭男dism「Amazing」

前奏を聴くだけで宝塚時代に演じた役が見た景色が蘇る思い出の曲

——珠城さんはどんな音楽がお好きなんですか?

珠城 宝塚に在団中は、公演前の楽屋とかで、元気の出る音楽を聴いていました。Coldplayの曲が好きでよく聴いていました。最近はKポップですね。BTSやTWICE、ENHYPEN(エンハイプン)などをシャッフルして聴くことが多いです。BTSは楽曲だけでなく彼らの歩んできた道のりにも惹かれるものがありました。

珠城 日本のアーティストでは、山下達郎さんと竹内まりやさんがすごく好きです。お二人の歌声を聴くと心が落ちつくんですよ。竹内さんは「人生の扉」や「元気を出して」、最近だと「いのちの歌」をドライブなどでよく聴きます。山下さんは、以前ライブで「ずっと一緒さ」を歌わせていただきました。ドラマの主題歌だった「FOREVER MINE」も好きです!

竹内まりや「人生の扉」、「元気を出して」、「いのちの歌」

——そういえば、珠城さんはテレビドラマがお好きなんですよね。

珠城 そうなんです。昔からテレビが大好きで、ドラマやアニメをよく見ていました。在団中も夜遅くまで稽古をして自宅に帰ったときなど、寝る前に1回頭をリセットしたくて、録りためておいたドラマを見たり。最近は時間もあるので、Netflixなどで海外の作品はもちろん、日本のドラマや映画をたくさん見ます。

ドラマ、アニメ、映画、どれもよく見るという珠城さん。

——宝塚時代は月組のトップスターとして、『エリザベート』のような海外ミュージカルからオリジナル作品まで、数々の舞台で感動を残されました。今も心に残る歌を教えてください。

珠城 初めてバウホールという舞台で主演した『月雲の皇子』の「花の歌」です。あの曲には不思議な力があって、今も前奏を聴くだけで当時私が演じた「木梨軽皇子」が見た桜の花の景色や民の姿が蘇り、涙が出そうになるんです。命を慈しむことを歌う、心が震えるような大切な曲です。

——『月雲の皇子-衣外姫伝説より-』は、古代日本を舞台にした悲恋もので、珠城さんの魅力があますことなく発揮された名作でした。何か印象的なエピソードはありますか?

珠城 あの舞台は1幕と2幕で演じ分けがあり、役の人格がガラっと変わるので、自分にとって挑戦でした。そんな役を自分を信じて託してくださった演出の上田(久美子)先生への想いを感じましたね。また上田先生にとってもデビュー作だったので、先生とカンパニーのみんなで「絶対にいい作品にしてやる!」というすさまじい熱量で稽古しました。あの作品と楽曲は、今も大切な思い出です。

上田先生との作品では『桜嵐記』の歌も忘れられません。セリフも歌詞も、言葉一つひとつに力があり、稽古中はいつも「なぜ先生はこの言葉を書かれたのか」と考えて演じていました

上田先生と珠城さんのラスト公演『桜嵐記』より

音楽は人の心を絶対に動かすから、常に触れていたい

——ではクラシック音楽でお好きな曲を。

珠城 (ベートーヴェンのピアノ・ソナタ)《月光》には、特別な思いがあります。宝塚を退団前に日本物の舞台『WELCOME TO TAKARAZUKA-雪と月と花と-』でこの曲を使って、日本舞踊のレビューをしたんです。この曲の持つ物語性、緩急のつけ方に、踊りながら音楽の力を感じましたね。「New Wave!-月-」という作品でもこの曲を使ったので、ご縁を感じます。

『WELCOME TO TAKARAZUKA -雪と月と花と-』(該当シーンは5分45秒~)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調《月光》

珠城 あと、宝塚はオペラベースの作品も多いんです。音楽学校生のときにイタリア歌曲を勉強して、なかでも「カーロ・ミオ・ベン」は好きですね。この曲を聴くと、学生時代を思い出して、心がキュッとなります。

ジョルダーニ「カーロ・ミオ・ベン」

「音楽は日常から切っても切れないもの」

——珠城さんにとって、音楽とはどんな存在でしょうか?

珠城 とても不思議でミステリアスで、多面性があるものだなと感じています。明るい楽曲でも、元気なときに聴くと楽しく感じるのに、疲れているときに聴くと、なぜか涙が流れたり、歌詞の一部が心に突き刺さったりしますよね。その時々の精神状態で聴こえ方が変わるんです。あと音楽の凄いところは人の心を絶対に動かすこと。だから、常に触れていたいものだなと思います。

——最後に、今後の抱負をお願いします。

珠城 今回、ファーストコンサートということで、皆さんから「本当に楽しみにしています」という声をたくさんいただいて、すごく嬉しく思っています。今はファンの方になかなかお会いできないので、コンサートでは皆さんと思いきり楽しみたいですね。

その後、舞台『8人の女たち』で初めて女優としてステージに立ちます。お衣装がこれまで着てこなかったものなので不安もありますけれど(笑)、体当たりで演じますので楽しみにしていてください!

ジャケット¥28,600(ランバン オン ブルー/レリアン Tel03-6834-7224)
コンビネゾン¥53,900(ソブ/フィルム Tel03-5413-4141)
イヤリング¥47,300、リング¥71,500(ともにウッターズ アンド ヘンドリックス)
ネックレス¥31,900(イオッセリアーニ)
ブレスレット¥59,400(セルジュ・トラヴァル/すべてアッシュ・ぺー・フランス Tel03-5778-2022)
公演情報
珠城りょう 1st CONCERT「CUORE」

【大阪公演】
日時:
 2022年4月30日(土)~5月2日(火)
会場: 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

【東京公演】
日時: 2022年5月13日(金)~15日(日)
会場: 東京国際フォーラム ホールC

出演: 珠城りょう、上口耕平

スペシャルゲスト: 彩凪 翔(4月30日)、愛月ひかる(5月13日、14日)

詳しくはこちら

【ライブ配信決定!】
配信日時: 大阪公演4月30日 (土) 13:30 開演(スペシャルゲスト:彩凪 翔)

料金: 視聴券のみ4,000円(税込)、プログラム郵送サービス付き視聴券6,000円(税込)※送料別途

販売期間: 4月18日(月)12:00~4月30日(土)14:00

ライブ配信について詳しくはこちら

取材・文
NAOMI YUMIYAMA
取材・文
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE Japon(エル・ジャポン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

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