インタビュー
2022.09.02
宝塚OGが語る、音楽と私 Vol.14

柚希礼音「音楽は思い出と共にあるもの」~ミュージカル『COLOR』で記憶を失った主人公を支える母親役に挑む

宝塚歌劇団のOGが、お気に入りの音楽について語るインタビュー連載。
今月は、元宝塚星組トップスターで、退団後は女優として活躍中の柚希礼音さんが登場します。新作オリジナルミュージカル『COLOR』の魅力や歌への情熱、宝塚時代の思い出を語ってくれました。芸名の「礼音」に込められた想いも明らかに……!

取材・文
NAOMI YUMIYAMA
取材・文
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE Japon(エル・ジャポン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

撮影:各務あゆみ

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固定観念にとらわれず、人それぞれの「カラー」で生きていけばいい

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『COLOR』は、草木染作家の坪倉優介さんが、自身の体験をつづったノンフィクション「記憶喪失になったぼくが見た世界」(朝日文庫)をベースにした新作オリジナルミュージカル。浦井健治、成河、濱田めぐみ、柚希礼音という豪華キャストと最高のクリエーター陣で贈る“母と息子の奇跡の物語”は、9月5日から、新国立劇場 小劇場で幕を開ける。

——『COLOR』では、事故で記憶を失った主人公を支える母親役ですが、脚本を読んだときのご感想は?

柚希 最初は普通の記憶喪失の青年の話だと思って読んでいたら、人として生きるすべての記憶を失ってしまったんだと衝撃を受けました。このような体験をした方がいらっしゃるんだって。そんな草太が母の支えを受けて、「草木染め」の仕事に目覚めていくストーリーに感動しました。

——母親の葉子についてはいかがですか?

柚希 原作を読むにつれ、このお話の母親はすごくパワフルだと思いました。私も良い母親を演じてみせようとはせずに、草太のことだけを思って必死に生きている姿を見せられたらと思います。

柚希礼音(ゆずき・れおん)
大阪府出身。1999年、宝塚歌劇団に入団。2009年、星組トップスターに就任。2014年には日本武道館での単独コンサートを開催。2015年に退団後は、『ボディガード』『マタ・ハリ』などのミュージカルやストレートプレイの舞台、TVなど活躍の場を広げている。

——初共演になる草太役の浦井健治さんとはいかがですか?

柚希 浦井さんは、『ガイズ&ドールズ』を観劇して、『ガイズ』のネイサン役と草太役の彼が全然違うので、いろんな色に染まる方なんだろうなと思いましたね。柔軟な心を持っている方だと感じますし、たくさん話し合いをしながら作りたいです。そして、ダブルキャストの濱田めぐみさん、成河さんも素晴らしい役者さん。みんなで一緒に舞台を作るのが楽しみです。

——シンガーソングライターの植村花菜さんが初めてミュージカルの楽曲を手掛けるのも話題ですね。

柚希 「トイレの神様」の作曲者の植村花菜さんだけに、1曲1曲が可愛らしくて素晴らしい曲ばかりなんです。特に、草太が歌う「僕だけが描いていく未来」という曲と、「今のぼくを」という曲がお気に入りです。

——『COLOR』という舞台で伝えたい思いとは?

柚希 元の生活に戻るために記憶を取り戻そうとしていた草太は、家族が見守るなか、そのままの自分を受け入れ、海外で一人旅をすることで救われていきます。そんな草太の生き方に、たとえ辛いことがあっても固定観念にとらわれず、人それぞれの「カラー」で生きていけばいいというメッセージを受け取りました。観る方によっていろんなことを感じられる舞台ですので、ぜひご覧ください。

宝塚時代の思い出の曲と退団公演のショパン

——普段、お気に入りの曲は?

柚希 癒されたいときは、南国音楽を聴きますね。ハワイアンやボサノヴァなど。今は全然行くことができない南国を想像しています。まだ海外に行ってやりたいことがいっぱいあるんです(笑)。

——塚時代は、星組のトップスターとして数々の名舞台を残した柚希さんにとって、特に思い入れのある曲は?

柚希 なんだろう……たくさんあって選べない(笑)。そういえば最近、星組の『めぐり会いは再び next generation—真夜中の依頼人—』を観劇して、この舞台の一作目になる舞台で歌った、平井堅さんの「LIFE is…」を思い出しました。

柚希さんが観劇した舞台『めぐり会いは再び next generation—真夜中の依頼人—』舞台映像
平井堅さんの「LIFE is…」は、柚希さんが主演した「めぐり会いは再び」シリーズ第1弾に登場。

平井堅「LIFE is…」

——2011年に柚希さんが主演した『めぐり会いは再び』の第1弾ですね。

柚希 当時、私は平井さんの曲が好きで、舞台で歌いたいなと思っていたんですね。それで演出家の小柳先生と相談して、いくつか候補曲の中からこの曲に決まったんです。最初は日本のポップスが作品に合うのかと心配もありましたが、しっかりハマりました(笑)。宝塚の曲ではありませんが、今も思い出の曲です。

——では、クラシック音楽でお好きな曲は?

柚希 ショパンの「バラード第1番ト短調」。すごく好きな曲で、退団公演の『DEAR DIAMOND!!』では、この曲にあわせて黒燕尾で踊りました。大階段で一人、羽山先生の振り付けで踊りながら、清い気持ちになったのを覚えています。今もこの曲を聴くたびに、ジーンとしますね。

ショパン:バラード第1番ト短調

『DEAR DIAMOND!!』舞台映像

音楽は役作りを助けてくれる

——ところで、そもそも「柚希礼音」という宝塚時代からの芸名は、“音に礼をつくす”という思いがあったとか。

柚希 そうです。学生時代、私は人前で発言するのが凄く苦手で、話すと顔が赤くなるような子でした。そのころはバレエに夢中で、話さなくても自分を表現できたのですが、その後、入団した宝塚では、声でも表現をすることになって。「音楽の神様、どうぞお願いします」という思いで、芸名を「礼音」にしたんですよ

——宝塚時代は単独で武道館コンサートを開催するなど、パワフルで力強い歌唱力が大人気でしたが、卒業後はいかがでしたか?

柚希 もう大変でした! 男役時代は、地声を限界まで低くして歌っていたので、一からやり直しました。特に裏声を一切使ったことがなかったので、地声から裏声になってまた戻るという経験がなかったんですよね。ミュージカルの方はこんな大変なことを日々やっているんだ、すごいなと思いました。

その後トレーニングを重ね、多くの方からアドバイスも受けたあと、歌い方はそれぞれで一つじゃないと気づきました。最近では、自分の想いをぶつけることを大切に歌っています

——柚希さんにとって音楽とは?

柚希 私にとって音楽は、思い出と共にあるものです。音楽が流れるだけで、そのときどきの忘れられない思いや状況が蘇えってきます。舞台の稽古中はいつもその公演の曲だけを聴いて準備をするんです。役作りのうえで、音楽は助けてくれるものでもあって。ただ最終的には、自分の中から音楽が流れていくようにしています。

公演情報
ミュージカル『COLOR』

【東京公演】
日時: 2022年9月5日(月)~9月25日(日)
会場: 新国立劇場 小劇場

【大阪公演】
日時: 2022年9月28日(水)~10月2日(日)
会場: サンケイホールブリーゼ

【愛知公演】
日時: 2022年10月9日(日)~10月10日(月・祝)
会場: ウインクあいち

出演: 浦井健治、成河、濱田めぐみ、柚希礼音(五十音順)

取材・文
NAOMI YUMIYAMA
取材・文
NAOMI YUMIYAMA ライター、コラムニスト

大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE Japon(エル・ジャポン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...

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