愛月ひかる「音楽は思い出と結びつく」~退団後初のミュージカル『ファンタスティックス』で宝塚の経験を生かした役を演じる
宝塚歌劇団のOGが、お気に入りの音楽について語るインタビュー連載。
今月は、元星組男役スターの愛月ひかるさんが登場します。退団後、初めてのミュージカル挑戦となる舞台『ファンタスティックス』への意気込みや、日常で癒される曲、宝塚の思い出の曲について聞きました。なんと、男役を目指すきっかけとなったのはバッハの作品だった!?
大学卒業後、フランス留学を経て、『ELLE JAPAN(エル・ジャパン)』編集部に入社。 映画をメインに、カルチャー記事担当デスクとして勤務した後、2020年フリーに...
愛月さんが出演する舞台『ファンタスティックス』は、1960年にオフ・ブロードウェイで初演されて以来、史上最長のロングラン記録を樹立し、今も世界中から愛されているミュージカル。シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』と『真夏の夜の夢』を基にした若者たちの愛と成長のドラマが、「トライ・トゥ・リメンバー」を始めとする名曲の数々と共に描かれる。
10月23日から開幕する待望の日本版では、演出を上田一豪さんが担当し、主人公の若者マットを岡宮来夢さん、恋人のルイーザを豊原江理佳さんが演じる。愛月さんは物語の進行役で、登場人物たちに影響を与える流れ者のエル・ガヨ役に挑む。
宝塚で学んできたことを生かしてエル・ガヨ役を演じる
——愛月さんにとって、宝塚を退団後、初めてのミュージカルになる『ファンタスティックス』。最初に脚本を読んだときのご感想は?
愛月 すごく歴史のある作品ですけど、根底には普遍的な愛の物語が描かれていると感じました。いまもお稽古をしながら、「この気持ち、わかるな~」とか、「自分に置き換えてみたらこうだよな~」とか、どのエピソードもすごく身近に感じられて。お客様にもそんなところを1つ1つ共感していただければ、物語に入っていただけるんじゃないかなと思います。
——流れ者のエル・ガヨという役は、宝塚を退団後、初の男性役ですね。この役を引き受けた理由は?
愛月 エル・ガヨは、これまでずっと男性が演じてきた役。それを女性の私が演じることで、この作品がもつファンタジー感が増すのではと演出家の先生に言っていただき、自分が宝塚で学んできたことが生かせるんじゃないかと思って引き受けました。
男役ということについては、自然にできる範囲で演じています。あまり男女にこだわらず、さらっと男になっている感じですかね。演出家の先生からは、艶っぽさを出してと言われています。
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