牛田智大が振り返る リーズ・コンクール「自分は音楽に関してはエゴイスティック」
2024年9月11日から21日にかけて、イギリスのリーズとブラッドフォードで開催されたリーズ国際ピアノコンクール2024。1963年から3年ごとに開催され、これまでラドゥ・ルプー、マレイ・ペライア、内田光子など多くの名ピアニストを輩出してきました。セミファイナリストとなった牛田智大さんは、リストのロ短調ソナタ、シューベルトの最後のソナタといった大曲に挑み、その演奏が多くの人の心を打って、オンライン視聴者の投票によるMedici.tv聴衆賞も受賞。現地取材を行なった高坂はる香さんが、牛田さんのコンクール観、シューベルトへの思い、自身の音楽の現在地などについて、じっくり伺いました。
大学院でインドのスラムの自立支援プロジェクトを研究。その後、2005年からピアノ専門誌の編集者として国内外でピアニストの取材を行なう。2011年よりフリーランスで活動...
リーズ国際ピアノコンクールのありかたに興味を持っていた
――数あるコンクールの中で、リーズ国際ピアノコンクールに挑戦してみようと思った理由はなんでしょうか?
牛田 過去の入賞者にすばらしいピアニストがたくさんいて、しかも息の長いキャリアを築く形で成功している方ばかりだということから、とても興味深いコンクールだと思っていました。
しかもその顔ぶれには、個性がありながら楽譜に対して誠実なアプローチをする方が多く、そういう哲学のようなものがずっと受け継がれているコンクールなのだろうと感じていました。
以前、(かつて長らく審査委員長を務めていた)ファニー・ウォーターマンさんの本を読んで、彼女の考え方にも共感していました。
コンクールによっては、むしろ賞を取ったあとに注意深く過ごさないと、長いキャリアにとってリスクになりかねないケースもあります。そんな中、このリーズ国際ピアノコンクールのあり方はおもしろいなと思っていたこともあり、この機会に一度経験したいと思いました。
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