デジタル配信開始! ムーティ×ウィーンフィルのニューイヤーコンサート2021
新年恒例のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のニューイヤー・コンサート。2021年は指揮者にリッカルド・ムーティを迎え、オーストリア政府によるコロナ感染予防規定のため無観客で開催されました。
元旦の昼に放送された地元オーストリアでは、TVの視聴率がなんと54%! 120万人が見た計算となるそうです。
収録からわずか1週間、ライヴ録音されたコンサート全曲の配信が全世界で開始されました。
今年の演目のキーワードは、今年80歳を迎える指揮者ムーティの母国イタリア。
当時のイタリアの王子のために書かれたヨーゼフ・シュトラウス作曲の「マルゲリータ・ポルカ」、イタリア趣味を反映した「ヴェネツィア人のギャロップ」(ヨハン・シュトラウス1世)。ヴェルディ《リゴレット》やベッリーニ《夢遊病の女》など当時一世を風靡したイタリア・オペラの名旋律を散りばめた「新メロディ・カドリーユ」(ヨハン・シュトラウス2世)。また、2019年の生誕200周年には取り上げられなかった、フランツ・スッペの「詩人と農夫」も演奏されました。
演奏の合間には、ウィーン・フィルの楽団長ダニエル・フロシャウアーと指揮者ムーティがスピーチを行ないました。以下に全文を紹介いたします。
観客にとっても、演奏者にとっても特別なものになったニューイヤーコンサートを振り返ってみてはいかがでしょうか。
今年のニューイヤー・コンサートは異例の状況で開催されています。放送を通じて世界90か国以上の数多くのみなさんのために演奏しているのはわかっています。ですが、この美しい、歴史的なムジークフェラインザールは空っぽです。ウィーン・フィルは素晴らしい演奏をしてくださっています。それは音楽のメッセージを伝えたいからだけではなく、このオーケストラはブラームス、ブルックナー、マーラーやそのほかの多くの作曲家、そしてこのホールで歴史を刻んできた音楽家たちの精神に囲まれているからです。
昨年1年間が厳しい年であったことは改めて申すまでもないでしょう。しかし今私たちはここにいて、音楽が運んでくれるメッセージを信じて演奏しています。音楽家には武器があります。これは人を殺さない、花ともいうべき、音楽という武器です。音楽は喜びや希望、平和、兄弟愛、そして何よりも大文字のLで始まるLOVE(愛)をみなさんに届けることができます。
音楽が大切なのは、よくいわれるようにエンターテインメントであるからではありません。私たち音楽家にとって、音楽は仕事ではなく、使命なのです。その使命を伝えるために音楽家は働いているのです。では何の使命か?それはこの社会をより良いものにする、という使命です。新しい世代の若者にとってこの1年は、物事を深く考えられないままに過ぎてしまいました。自分の健康のことを始終考えていなければならなかったからです。身体の健康は大切ですが、精神の健康も同じくらいに大切です。音楽はその精神を健康に保つのに必要なのです。
世界中の知事、大統領、首相のみなさんに私からお願いしたいことがあります。将来社会をよくするためには、音楽という文化が欠かすことができない要素であるという点をどうかお考え下さい。この思いを込めて「美しく青きドナウ」を演奏いたします。この美しい曲の音の波の中に、喜びと悲しみが、生と死がいっぱいに詰まっていることをお聴きください。今年はいい年になりますように!私の仲間のウィーン・フィルのみなさんとともに、新年あけましておめでとうございます!
みなさん、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を代表して、この特別なニューイヤー・コンサートにお迎えいたします。音楽大使として、マエストロ・ムーティとともに、私たちウィーン・フィルはこのコンサートを通じて希望と明るさのメッセージをお届けいたします。私たちがこのコンサートで演奏する音楽は、暗い日々も、そして楽しい時も私たちを勇気づけてくれました。その意味で、このコンサートがみなさんにとって忘れ難いものになりますよう、また新年にあたってみなさんのご多幸と健康をお祈りしたいと思います。
デジタル配信: 2020年1月8日(通常配信・24ビット96kHzハイレゾ配信・ストリーミング)
CD: SICC-2221~22 2枚組 2021年1月27日予定 ¥2,900+税
ブルーレイ: SIXC‐37 2021年2月17日予定 ¥5,700円+税
レーベル: ソニークラシカル
関連する記事
-
ウィーン・フィル×ムーティの「第九」200周年記念公演が映画に!
-
《第九》が年末に演奏される理由とは?《第九》トリビアを紹介!
-
ベルリン・フィル×バレンボイム 60年の友情をデジタル配信でお祝い!
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly