2020.01.01
おやすみベートーヴェン 第17夜【ボンでの少年・青年時代】
《スイスの歌による6つの易しい変奏曲》——流行のスイス愛唱歌を楽しい変奏曲に
あけましておめでとうございます。
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
流行のスイス愛唱歌を楽しい変奏曲に 《スイスの歌による6つの易しい変奏曲》
ハープによる演奏
ピアノによる演奏
当時ドイツの男声合唱団で歌われていた人気のスイスの愛唱歌を主題にしたピアノ変奏曲。歌の内容は「バーベリという名の可愛い娘がいました。金色に輝く2本のお下げ髪が彼をうっとりさせました」というもの。ヘ長調の主題。第3変奏でミノーレ(長調の変奏曲に挿入される短調の変奏)のへ短調となる。第5変奏では前半が2声対位法書式で、後半は和声法書式と、2つの技法が用いられている。
解説:平野昭
もうひとつ貴族の好んだ楽器としてハープがあるが、ベートーヴェンは1790年ころに「スイスの歌による6つの易しい変奏曲」WoO64を書いている。これは98年にボンのジムロック社から出版されたときには「ハープあるいはフォルテピアノのための」と表記されているが、本来はハープのために書かれたものである。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)255ページより
ベートーヴェンも金髪おさげのかわいいバーベリちゃんのことを思い浮かべながら作曲したのでしょうか。マンドリンとともに貴族に好まれていたハープ。ハープとピアノの2種類を聴き比べてみましょう。
作品紹介
《スイスの歌による6つの易しい変奏曲》WoO64
作曲年代:1790~92年(ベートーヴェン20~22歳)
出版:1798年
平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
関連する記事
-
亡国の歴史を歩んだポーランドの独立と第1回ショパン国際ピアノ・コンクールのころ
-
第13回 調律師 岩崎俊さん——すべてのピアノに良い「響きの形」を
-
反田恭平&牛牛、今もっとも注目のピアニストがクロストーク!
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
新着記事Latest
2021.04.13
ソナチネ:ソナタ+ina=小さなソナタ!
2021.04.12
N響の首席指揮者にイタリア出身のファビオ・ルイージ〜篠崎史紀との対談公開中
2021.04.12
ムーティが来日! 記者会見とオペラ指導のオンライン配信で語ったヴェルディ《マクベ...
2021.04.11
《私たちの主は甦られた》BWV67——復活後第1日曜日
2021.04.11
ブーニンが語るショパンコンクール~ショパンが表現したかったことを表現する使命
2021.04.10
ヨハネス・フライシュマン、コルンゴルトとツァイスルのハリウッド移住と傑作を語る
2021.04.09
続・手の大きさとラフマニノフの話~第2番協奏曲の和音は練習で弾けるようになるのか
2021.04.08
ほのぼのと寄り添う漁港の猫たちと、2本の木管楽器のやりとり