おやすみベートーヴェン 第23夜【ボンでの少年・青年時代】

6つの歌(ゲザング)第3曲:蚤の歌――ゲーテの詩の音楽化構想はボン時代から

プレイリスト
2020.01.07

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

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監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
ONTOMO編集部
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神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

ゲーテの詩の音楽化構想はボン時代から――6つの歌(ゲザング)第3曲:蚤の歌

詩はゲーテの小説『ファウスト』からとられている。悪魔メフィストフェレスが、学生たちで賑わうライプツィヒの酒場アウエルスバッハで歌う、強烈な風刺の歌。『ファウスト・第1部』の出版は1808年であるが、ベートーヴェンのスケッチはすでに1790年に現れているので、歌詞は1790年にゲーテが発表した『ファウス第1稿断片』からとられたもの。

 

全6節の詩を2節ずつ組み合わせて3節の有節歌曲(詩の節をそれぞれ同じ旋律にのせる形式)としている。前奏と間奏、細かい律動とスタッカート唱、短調なのか長調なのか、大声とひそひそ声といった、多彩な表現で楽しいドラマティックな作品。

 

「むかし、ひとりの王がいて、大きな蚤を飼っていた。王はそいつを息子のように愛してた。ある日、王は仕立屋を呼び、この貴公子の服を仕立てよ、ズボンも作れと命令する。蚤は今ではビロードと絹の服をまとい、上着にリボンを飾り、おまけに十字架もぶら下げる。かくてお城の紳士淑女は蚤の苦しみ。お妃さまと侍女たちはチクリと刺されてかじられる。でも、潰してはならぬ。俺たちだったらすぐ潰す、チクリと刺されりゃすぐ潰す」

解説:平野昭

1790年、ベートーヴェンが20歳のころから構想していたゲーテの詩によるコミカルで、ドラマティックな歌曲。平野さんは、ベートーヴェンが生涯敬愛するゲーテの詩に、若いうちから音楽をつけようと試みていることに注目しています。

もうこのころからゲーテの詩を使っているんです。トゥーレの王様とか、そういった一連のなかのひとつで蚤の歌。この詩には、いろんな作曲家が曲をつけています。蚤がぴょーんって跳ぶような、描写的な曲です。

――平野昭談

作品紹介

6つの歌(ゲザング)第3曲:蚤の歌 Op.75-3

作曲年代:1790~92年スケッチ、1809年(ベートーヴェン20~22歳)

出版:1810年8月

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