「ピアノ三重奏曲第1番 変ホ長調」——記念すべき作品番号1-1
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
記念すべき作品番号1-1 「ピアノ三重奏曲第1番 変ホ長調」
「ピアノ三重奏」というジャンルは18世紀後半になるまで定着しなかったんです。当時の作品の楽器の関係性を見ても、あくまでもピアノが主役で弦楽器はそれに追従する形で、「ピアノ・ソナタ+装飾的弦楽器」という感じでしょうか。しかし、ベートーヴェンの作品はそんな概念を軽々と超えてしまいました。
このOp1の「ピアノ三重奏」はピアノ主役で弦楽器が単に追従するだけの内容ではありません。しかし、明らかにピアノ・パートが主導権を握っています。やはりベートーヴェンが自分で弾くことを想定しながら作曲していたと考えられますね。驚かされるのが、すでにこのOp1にはもう「これぞベートーヴェン!」という部分がたくさん出てくるんです。もちろん中期以降のような成熟とか密度はまだなく、若々しい音楽ではあるのですが……。
あえて「Op1」をつけて世の中に出した作品ですから、絶対に自信作だったはずです
――小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)24-26ページより
ボン時代に着手され、1793年には完成されていたとされる「ピアノ三重奏曲第1番」。Op1 のピアノ三重奏3曲セットのうちの1曲目がこの作品です。調の選定から楽章構成まで、すでにベートーヴェンの個性や強い意志が感じられるそう。若い時期の作品なのに総体的に音楽を捉えている、ベートーヴェンならではの4楽章構成にも注目です!
「ピアノ三重奏曲第1番 変ホ長調」Op.1-1
作曲年代:1792年(ベートーヴェン22歳)、94~95年改訂
出版:1795年7月
関連する記事
-
ベルリン・フィルを間近で多角的に聴くことで、音楽の未来を切り拓く若い力を育てる!
-
新世代の旗手「ほのカルテット」 二刀流で切り開く室内楽とオーケストラのキャリア
-
須田祥子が語るヴィオラの魅力〜世界でも珍しいヴィオラアンサンブルの響きとは?
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly