「ヘンデルのオラトリオ《ユダス・マカベウス》の〈見よ、勇者の帰還〉による12の変奏曲」——国王が愛したオラトリオを楽しい変奏曲に
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
国王が愛したオラトリオを楽しい変奏曲に「ヘンデルのオラトリオ《ユダス・マカベウス》の〈見よ、勇者の帰還〉による12の変奏曲」
「シェーナとアリア《おお、不実なる者よ》」のときにご紹介したように、1796年2月からベートーヴェンは5ヶ月にわたる旅に出ます。プラハから始まる旅の最後の地となったのは、ベルリンでした。
最後の訪問地ベルリンに入ったのは五月中旬。プロイセンの首都ベルリンでは国王フリードリヒ・ヴィルヘルム二世(1744~97、在位1786~97)から数度にわたって宮廷に招待され、御前演奏する機会を与えられたのである。(中略)国王が最も愛好したのは大バッハとヘンデルとモーツァルトの作品で、ベルリンの宮廷劇場ではしばしばヘンデルのオラトリオが上演されていた。ベートーヴェンがヘンデルのオラトリオ《ユダス・マカベウス》からとった《英雄、ここに征服者として来るを見よ》の主題によるチェロとピアノのための変奏曲WoO45を作曲したのは、国王に対する敬意の表明であったに違いない。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)46、47ページより
原曲となっているのは、誰もが耳にしたことのあるであろう、運動会のあの曲です。3月12日にご紹介するもう1つのピアノとチェロの二重奏曲Op.66も、国王のために作曲されています。ベートーヴェンにとって、国王との出会いはどんな経験になったのでしょう。
「ヘンデルのオラトリオ《ユダス・マカベウス》の〈見よ、勇者の帰還〉による12の変奏曲」WoO45
作曲年代:1796年(ベートーヴェン26歳)
出版:1797年
vc.とpf.の二重奏
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