プレイリスト
2020.04.16
おやすみベートーヴェン 第123夜【天才ピアニスト時代】

「新しい恋、新しい生」——ゲーテの詩に別バージョンを作曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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ゲーテの詩に別バージョンを作曲「新しい恋、新しい生」

4月13日にご紹介した、6つの歌(ゲザング)第2曲「新しい恋、新しい生」の別稿です。同じ歌詞ですが、内容はかなり違うようですよ。

ゲーテの詩によるこの作品は2つの稿が残されているが。開始部こそ同じだが、中間部ではかなり旋律に違いがある。第1稿は1798年終わりころに着手し、99年に書き上げている(1808年に出版)。この第2稿は1809年に改訂され「6つの歌曲(ゲザング)」Op.75-2として1810年に出版されている。

 

「心よ、僕の心よ、いったいどうしたのだ? 何に戸惑っているのだ? 何という未知なる新しい生命なのだろう? 僕にはもはやお前のことがわからない。お前が愛したものはすべて消え去り、お前を悲しませていたものも去り、お前の勤勉も、お前の安寧も消え去った。どうしてこんなことになったのか」

 

ハ長調、8分の6拍子で切迫したようなアジタートで歌われる。全138小節(ちなみに、1809年の改訂稿は全135小節)。

解説:平野昭

この詩は、裕福な銀行家の娘リリー・シェーネマンとゲーテの恋愛から生まれたもの。曲を大幅に書き直すとは、ベートーヴェンは、この詩をかなり気に入っていたのではないでしょうか。

作品紹介

「新しい恋、新しい生」WoO127

作曲年代:1798/99年(ベートーヴェン28/29歳)

出版:1808年

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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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