「弦楽四重奏曲第2番 ト長調」——出版前に大幅改訂、生まれ変わった作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
出版前に大幅改訂、生まれ変わった作品「弦楽四重奏曲第2番 ト長調」
本日ご紹介する作品は、昨日の弦楽四重奏曲第1番ヘ長調 op18-1に引き続き、第2番ト長調 Op18-2です。
op.18-1は、ベートーヴェンの親友アメンダに贈られたとご紹介しましたが、楽譜の初出版の直後、アメンダにこんな手紙を送っていました。
後にベートーヴェンはアメンダに宛てて一通の手紙を書いている。作品18の前半3曲を初版出版した直後の1801年7月のことだ。「親愛かつ、善良なるアメンダ、わが心の友よ」の呼びかけで始まるその手紙(BB67)の最後に「君の四重奏曲を広めないでほしい。というのは、私はそれを大幅に改変してしまったからです。今になって、ようやく正しい四重奏曲の書き方を知ったからです」と記している。これは初版出版に際して全曲を見直し、かなり手を加えて改変したことを打ち明けたものだ。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)52ページより
ベートーヴェン曰く“正しい四重奏の書き方”を知る前に贈られた「第1番」は、この手紙によって、アメンダだけが知る特別な曲となりました。
「第2番」は、豊かな表情を楽しむことができる作品です。直前に書かれた「第1番」との違いも楽しんでみてください。
「弦楽四重奏曲第2番 ト長調」Op.18-2
作曲年代:1799年4〜6月(ベートーヴェン28歳)
出版:1801年6月モロ社(ウィーン)
1800年夏改訂が決定稿
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly
関連する記事
ランキング
- Daily
- Monthly