プレイリスト
2020.06.11
おやすみベートーヴェン 第179夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調」——風変わりな構成、力強く生きていく決意表明

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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風変わりな構成、力強く生きていく決意表明「ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調」

「ハイリゲンシュタットの遺書」を書いた周辺で作曲された、3つのピアノ・ソナタop.31の3曲目。4楽章で構成されており、緩徐楽章がない作品です。

平野 (2楽章について)通常スケルツォは3拍子なのに、2拍子ですよね。この指示はスケルツォ「風」、つまり、諧謔的とかおどけた性格と思ったほうがいいかもしれません。

 

小山 第3楽章はメヌエットですね。1曲のソナタの中にスケルツォとメヌエットが並存するのも変わっていますね。

(中略)

平野 イン・テンポで進行していたものが突然立ち止まるように、唐突とも思えるような休止やフェルマータによる運動停止が出てきて、人生を一度振り返るような意思が透けて見えます。しかも、変ホ長調という英雄的な調を使用していますし、行進曲的な音型も出てきますから、(遺書内の)「強く生きていこう」という宣言とのつながりも感じますね。

——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)101ページより

変ホ長調はこのすぐあとに作曲される交響曲第3番《英雄》にも使用されることになる調性です。

作品が書かれた状況を知ると、この一見風変わりな構成も「何か新しいことをやってやろう」という挑戦にも感じられますね。細かく書き込まれ、移り変わるさまざまな表情を感じながら聴いてみましょう。

作品紹介

「ピアノ・ソナタ第18番 変ホ長調」Op.31-3

作曲年代:1802年(ベートーヴェン32歳)

出版:1803年4月ネーゲリ社、同年6月ジムロック社

小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)
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