《第九》が年末に演奏される理由とは?《第九》トリビアを紹介!
2020.12.16
弦楽五重奏曲断章ハ長調——最終回! 穏やかな雰囲気に包まれた未完の絶筆作品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
ドイツ語の歌詞、作詞者は不詳。「人生を喜ばしく生きる者は、心で心を勝ち得たものだ。分かち合う楽しみは2倍に、そして、分かち合う悩みは消え失せる」といった歌いだしからして、やや友愛を謳うフリーメイソン的な、教訓めいた内容となっている。2つの声部(ソプラノあるいはテノールを想定)とピアノ伴奏。7節の詩が有節歌曲的構成に、小さな変化を加えながら発展し、アンダンテ・クワジ・アレグレットの穏やかなテンポで歌われてゆく。1803年10月の出版では《友情の幸せ》、同年12月の出版で《人生の幸せ》と改め、歌詞内容も少し変更され、イタリア語歌詞も併記されている。
解説 平野昭
フリーメイソンは、レオナルド・ダ・ヴィンチやモーツァルトも入会していた「自由」、「平等」、「友愛」、「寛容」、「人道」の5つの基本理念をもつ秘密結社です。
ベートーヴェンがフリーメイソンに入会していた記録はないようですが、実はシラーによる「第九」の歌詞も元々はドレスデンのフリーメイソン会合のために書かれたもののようです。
伸びやかな旋律が楽しい作品です。
「ニ重唱《お前の幸せな日々に》」WoO93
作曲年代:1803年(ベートーヴェン33歳)
出版:1803年末