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2020.07.01
おやすみベートーヴェン 第199夜【作曲家デビュー・傑作の森】

オペラ《レオノーレ/フィデリオ》初稿——初のオペラ! 初演は大失敗?

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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初のオペラ! 初演は大失敗?「オペラ《レオノーレ/フィデリオ》初稿」

今日から3日間はベートーヴェン唯一のオペラ《フィデリオ》(作曲・初演時の名前は《レオノーレ》)に関連する作品をご紹介します。非常に複雑な成立経緯をもつ作品で、4つの序曲と3つの版をもっています。

本日ご紹介するのは初演で演奏されたオペラ初稿、序曲は「レオノーレ序曲第2番」と呼ばれています。

初のオペラ《ヴェスタの火》の作曲が、台本の問題で頓挫していたベートーヴェン。シカネーダーに依頼されたアン・デア・ウィーン劇場付き作曲家として、よい台本探しに苦労していました。

シカネーダーとオペラ台本探しをしている時に、ここ1、2年ウィーンで大きな人気を博しているC.F.ロローの台本にケルビーニが作曲したオペラ《ロドイスカ》と同じような救出劇を扱ったジャン・ニコラ・ブイイ(1763-1842)原作の小説『レオノール、または夫婦の愛』が急浮上してくる。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)238ページより

このフランス語の台本は、パリの作曲家によって一度オペラ化されていましたが、ベートーヴェンはドイツ語台本の作成を友人ヨーゼフ・ゾンライトナーに依頼。台本自体は1804年春には完成していたようですが、作曲・完成は1805年にずれ込みます。原因はアン・デア・ウィーン劇場の劇場経営者の交代によるシカネーダーの解雇のほか、宮廷検閲局による上演禁止命令という事件もありました。

タイトルは、初演時のポスターではすでに《フィデリオ》となっていました。ベートーヴェンは主人公の名前である《レオノーレ》というタイトルにこだわっていましたが、劇場側が以前の作品との混同を嫌がってのことです。その後も主張を続けたベートーヴェンですが、最終的には、作品中に主人公が偽名として使う《フィデリオ》で落ち着くことになります。

1805年11月20日の初演時、ウィーンはナポレオン軍の占領下にあり、観客の大半はフランス人兵士でした。

このオペラの劇内容は7年前の1798年2月にパリのフェドー座でピエール・ガヴォーが作曲した《レオノール》として上演されており、この劇を知っているフランス兵の期待もあったのだろう。しかし、ゾンライトナーによってドイツ語訳されたオペラを理解し楽しめる聴衆はほんのわずかでしかなかった。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)85ページより

続く2日間の上演の客入りはかなり悪かったようです。ベートーヴェンは、3日目の演奏が終わったあと楽譜をすべて回収し、自ら上演を打ち切りました。

作品紹介

オペラ《レオノーレ/フィデリオ》初稿 op.72

作曲年代:1804〜1805年(ベートーヴェン34〜35歳)

出版:1905年

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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