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2020.07.23
おやすみベートーヴェン 第221夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「チェロ・ソナタ第3番 イ長調」——巨匠チェリストによる演奏を想定して書かれた名作

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
ONTOMO編集部

神楽坂を拠点に、取材・編集作業をしています。

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ
編集協力:水上純奈

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巨匠チェリストによる演奏を想定して書かれた名作「チェロ・ソナタ第3番 イ長調」

交響曲第5番、第6番と並行するように1807年から翌08年にかけて作曲された作品69(チェロ・ソナタ第3番 イ長調)は、親友グライヒェンシュタインに献呈されるが、音楽を聴くだけの愛好家グライヒェンシュタインのことを念頭にではなく、おそらく巨匠チェリストのクラフトの演奏を想定して作曲されたと思われる。1808年5月にアウガルテン演奏会で《ピアノ、ヴァイオリン、チェロのための三重協奏曲》作品56の初演のチェリストを務めたクラフトとは、リヒノウスキー侯邸のサロン・コンサートでの早くからの知り合いであり、ときおりシュパンツィヒ四重奏団でベートーヴェンの弦楽四重奏曲を弾いてもいた。古今のチェロ・ソナタの名曲として知られる第3番「イ長調」作品69には、クラフトが打ち立てたウィーン・チェロ楽派の趣味が反映されていると考えられる。

——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)249-250ページより

ベートーヴェンは、チェロ・ソナタのピアノ・パートを自分が演奏することを想定して書いていたそうです。巨匠チェリストであるアントン・クラフト(1752〜1820)が演奏するチェロと、技巧的なパッセージが散りばめられているベートーヴェンのピアノ。この組み合わせで初演が実現していたとしたら、是非とも聴いてみたいものです。

チェコ出身のチェリスト、作曲家アントン(アントニン)・クラフト(1752〜1820)。ハイドンのチェロ協奏曲第2番を初演し、モーツァルトととも親交を結んだ。
作品紹介

「チェロ・ソナタ第3番 イ長調」Op.69

作曲年代:1807〜08年(ベートーヴェン37歳頃)

出版:1809年

グラィヒェンシュタィン男爵に献呈

平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)

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